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名古屋地方裁判所 昭和47年(わ)2529号 判決 1973年8月06日

本店所在地

愛知県瀬戸市北脇町一一六番地

若尾鉄工建設株式会社

右代表者代表取締役

赤尾保

若杉博夫

本籍

愛知県瀬戸市宮里町一番地

住所

同市北脇町一一六番地

会社代表者

若杉博夫

昭和二年一月三日生

右被告人両名に対する法人税違反被告事件について、当裁判所は、検察官石黒道治出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告会社を罰金四〇〇万円に、

被告人若杉博夫を懲役三月に、

各処する。

被告人若杉博夫に対し、この裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社若尾鉄工建設株式会社は、愛知県瀬戸市北脇町一一六番地に本店を置き、窯業機械、理化学機械の製作および土木、建築、不動産売買その他以上に付帯する一切の業務を営業目的とする資本金一、九五〇万円、事業年度を毎年四月一日から翌年三月三一日までとする株式会社であり、(なお、被告会社の商号は、若尾鉄工株式会社であったが、昭和四七年四月五日現商号に変更)、被告人若杉博夫は、同会社代表取締役専務としてその営業経理等の業務一切について専らこれを掌理するとともに、同会社の業務全般にわたって、同会社代表取締役社長赤尾保を補佐していたものであるが、被告人若杉は、右赤尾保および同会社総務部長田中清志らと共謀のうえ、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上収益の一部を除外し、あるいは、別表記載のとおり、取引先から請求される外注費を計上するなどし、かくして得た帳簿外の収益を架空名義で預金するなどした結果、昭和四五年四月一日から同四六年三月三一日までの事業年度における被告会社の所得金額は、金六〇七八万四一六七円であり、これに対する法人税額は金二一六二万五一〇〇円であるにかかわらず、所得の一部を秘匿して、昭和四六年五月三一日同市熊野町七六番地所在尾張瀬戸税務署において、同署長に対し、右事業年度における所得金額を金二八〇〇万七四三三円とし、これに対する法人税額を金九五八万四八〇〇円である旨の過少に虚偽の記載をした確定申告書を提出し、もって右不正の行為により、正規の法人税額との差額金一二〇四万〇三〇〇円を免れたものである。

(証拠の標目)

一、尾張瀬戸税務署長作成の証明書

一、加藤かずえの大蔵事務官に対する質問てん末書

一、可児藤樹作成の上申書

一、谷口和男、松田上、堂端光雄作成の各証明書(堂端については、昭和四六年一二月一三日付)

一、加藤啓、山本武、吉川鉄男作成の各上申書

一、大蔵事務官作成の調書報告書

一、田中清志の大蔵事務官に対する質問てん末書

一、友野富士男作成の回答書

一、川本昭悟作成の上申書

一、藤間栄、佐合哲輔作成の各証明書

一、安田秋男作成の「手形小切手裏書等調べ」と題する書面

一、宮地正雄作成の証明書

一、松本正孝の大蔵事務官に対する質問てん末書

一、山田清、大野勝已作成の各上申書

一、大蔵事務官作成の未納法人事業税に関する調査報告書

一、堂端光雄作成の証明書(昭和四六年一二月二一日付)

一、安田秋雄の大蔵事務官に対する質問てん末書

一、内藤輝一、永田榛之、角野光弘、友野富士男(二通)、加納周一、加藤勝利、水野忠男、谷口和男(三通)戸田尊久作成の各証明書

一、登記官作成の被告会社の商業登記簿謄本二通

一、大野勝已、赤尾保、田中清志の検察官に対する各供述調書

一、大蔵事務官作成の脱税額計算書および「脱税額計算書説明資料」と題する書面

一、赤尾保、田中清志、赤尾よね子の大蔵事務官に対する各質問てん末書(各二通あて)

一、被告人若杉博夫作成の上申書八通

一、被告人若杉博夫の大蔵事務官に対する質問てん末書九通

一、被告人若杉博夫の検察官に対する供述調書

一、被告人若杉博夫の当公判廷における供述

(法令の適用)

被告会社の判示所為は、法人税法第一六四条第一項、第一五九条第一項に該当するので、その所定罰金額の範囲内で、被告会社を罰金四〇〇万円に処し、被告人若杉博夫の判示所為は、同法第一五九条第一項、刑法第六〇条に該当するので、所定刑中懲役刑を選択し、その所定刑期範囲内で、被告人を懲役三月に処し、情状により、刑法第二五条第一項により、この裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 菅本宣太郎)

ほ脱所得の内容

自 四五、四、一

至 四六、三、三一

<省略>

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