名古屋地方裁判所 昭和48年(わ)2070号 判決 1974年1月18日
本籍および住居
名古屋市昭和区池見二丁目二〇番地
提灯卸業
大嵜浩義
昭和七年一月八日生
右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官石黒道治出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。
主文
被告人を懲役三月および罰金二〇〇万円に処する。
右罰金を完納することができないときは、金二万円を一日に換算した期間労役場に留置する。
この裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、名古屋市熱田区金山町二丁目二三番地において、提灯卸業を営んでいたものであるが、所得税を免れようと企て、売上げの一部を除外するなどして得た収入を架空名義で預金するなどの方法により、所得を秘匿したうえ、
第一、昭和四五年分の実際総所得金額は別表のとおり金一、一六八万〇、二四八円でこれに対する所得税額が金四二二万二、〇〇〇円であるのに、右所得税の申告期限である昭和四六年三月一五日までに名古屋市熱田区花表町一丁目所在所轄熱田税務署長に対し、確定申告書を提出せず、もって右不正の行為により所得税金三七一万八、二〇〇円(控除分を差引く)をほ脱し、
第二、昭和四六年分の実際総所得金額は別表のとおり金一、八二七万二、三八七円で、これに対する所得税額が金七四二万九、八〇〇円であるのに、右所得税の申告期限である昭和四七年三月一五日までに前記所轄熱田税務署長に対し、確定申告書を提出せず、もって右不正の行為により所得税金六八二万五、二〇〇円(控除分を差引く)をほ脱したものである。
(証拠の標目)
第一の事実につき
一、第一回公判調書に引用の検察官請求証拠目録請求番号2.4.23.24.56.59.68.92.115.128.131.143.155.160.162.182ないし184.186の各証拠
第二の事実につき
一、第一回公判調書に引用の検察官請求証拠目録請求番号3.5.93ないし100.102ないし107.124ないし126.136.139ないし141.145.148.149.156.161.163の各証拠
第一、第二の事実につき
一、第一回公判調書に引用の検察官請求証拠目録請求番号6.ないし22.25.ないし55.57.58.60.ないし67.69.ないし91.101.108.ないし114.116.ないし123.127.129.130.132.ないし135.137.138.142.144.146.147.150.ないし154.157.164.ないし181.185.187.188.190.ないし203.の各証拠
一、被告人の当公判廷における供述
(法令の適用)
一、判示第一、第二の所為につき 所得税法第二三八条第一項(懲役刑と罰金刑を併科)
一、(併合加重)(懲役刑につき) 刑法第四五条前段、第四七条、第一〇条(重いと認める第二の罪の刑刑に加重)
一、(罰金刑につき) 同法第四八条第二項
一、(労役場の留置) 同法第一八条
一、(刑の執行猶予懲役刑につき) 同法第二五条第一項
(裁判官 菅本宣太郎)
ほ脱所得の内容
自 45.1.1
至 45.12.31
<省略>
A 1+4=9,993万4,927円
B 2+3+5~25=8,825万4,679円
A-B=1,168万0,248円(実際所得金額)
ほ脱所得の内容
自 46.1.1
至 46.12.31
<省略>
A 1+4=11,335万0,082円
B 2+3+5~20=9,507万7,695円
A-B=1,827万2,387円(実際所得金額)
右は謄本である。
同日同庁に於て裁判所書記官
加藤康男