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名古屋地方裁判所 昭和52年(わ)156号 決定 1977年3月01日

主文

右被告人に対しなされた昭和五二年一月三一日、名古屋地方裁判所裁判官松本哲泓発付の勾留状に基く勾留を取消す。

理由

一一件記録によると、被告人は住居侵入の被疑事実により昭和五二年一月三一日名古屋地方裁判所裁判官松本哲泓の発する勾留状に基づき勾留されたが、検察官は同年二月九日名古屋地方裁判所に対し右住居侵入の事実に常習累犯窃盗の事実を加えて公訴を提起したこと、そこで右裁判官は右公訴事件の第一回公判期日前である同月一六日(なお住居侵入を被疑事実とする勾留については同月一五日保釈決定がなされている。)、右常習累犯窃盗の事実について刑事訴訟法六〇条三号の理由ありとして職権で勾留したこと。ところが公判立会検察官は同年三月一日の第一回公判期日において住居侵入と常習累犯窃盗とは包括一罪の関係にあるとして訴因変更請求をし、当裁判所もこれを許可したことが認められる。

二従つて、本件においては右訴因変更のなされた段階で一個の罪につき二重に勾留されていることが認められるところ、当裁判所はこれが状態を解消するため、その裁量によりいずれか一方の勾留を取消すべきを相当と解する(広島高裁松江支部昭和四六年五月二二日決定)。

そこで検討するに、後になされた勾留即ち常習累犯窃盗の事実につき勾留された理由及び必要性を考えるとき、先になされた勾留即ち昭和五二年一月三一日名古屋地方裁判所裁判官松本哲泓発付の勾留状に基く勾留を取消すのが相当であると認める。

よつて、主文のとおり決定する。

(高橋一之)

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