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名古屋地方裁判所 昭和54年(ワ)3009号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判旨】

<証拠>によると、前記のように原告らは本件各仮換地指定処分を受け、かつ同処分においてその効力発生の日は昭和五二年七月一五日と定められたが、原告らは依然従前の土地に家屋を所有居住して同地を使用していて、本件仮換地に移転しないこと、そして原告らは同月一二日本件各仮換地指定処分について名古屋市長に対し行政不服審査法による審査請求をし、現在その審理を受けていることが認められ、右認定をくつがえすに足りる証拠はない。

そこで右事情が原告らに対する本件宅地整備補償金の支払を拒絶し得る正当な事由になるかどうかについてみる。

<証拠>によると、原告らに対する本件仮換地は飛換地であつて、将来被指定者である原告らの換地となるべき予定のもとに指定されたものであり、また原告ら夫婦が従前の土地に所有して居住している建物の移転を伴うものであること、しかして本件仮換地を含む周辺一帯の仮換地は、区画整理事業による宅地造成工事の施工前は高低差約三〇メートルもある丘陵地帯であつたが、被告組合の右宅地造成工事の施工後においても、なお高低差は約二〇メートルに達しているため、本件仮換地を含む各筆の各仮換地はいずれも相当の法面(傾斜面)を有していること、このため各仮換地を宅地としてその安全かつ有効な利用を計るためには土留め、擁壁等による法面の保護工事を施す必要があるとともに、造成宅地(仮換地)の地盤をさらに整備する必要があつたが、被告組合は右工事を被告の画一的な整備工事によらずに、仮換地の指定を受けた者のそれぞれに当該仮換地の利用状況に応じて適宜施工させるのが相当と認め、その工事費用として本件宅地整備補償金を支給するものとしたことが認められ、右認定をくつがえすに足りる証拠はない。

ところで仮換地指定処分がなされた場合、右処分の効果として、従前の土地について所有権等の権原に基づいて使用収益権を有した者は、仮換地指定の効力発生の日から右使用収益権能を停止され、仮換地について右使用収益権を取得するものである(土地区画整理法九九条)。従つて仮換地の指定を受けた者がその処分に従い従前の宅地から仮換地に移転する必要上、仮換地を宅地として使用できるように、本来仮換地の宅地造成工事は事業施行者が仮換地指定に伴つて先ずなすべきものであり、そして前認定の事実によれば、本件宅地整備補償金はいわば事業施行者である被告組合のなすべき前記工事に代わるものといえる。右補償金のかような実質的性質と、被告組合では、その受給資格について前記(請求原因1)のように仮換地指定処分時における従前の土地所有者であつて仮換地指定を受けた者と定めたほかには、受給について特別の要件、制限等の定めをしていないことを考慮すると、仮換地の指定を受けた原告らが右処分に不服を唱えて、事実上未だ従前の土地に居住使用して仮換地に移転しないという事情は本件補償金め支払を拒絶する正当な事由にはならないものと解する。

三そうすると被告は本件宅地整備補償金として原告幸枝に対し金三四万三、八〇〇円、同宗保に対し金一八一万七、九六四円を支払うべき義務がある。そして被告が原告ら以外の各権利者に対しては右補償金を昭和五四年九月一四日支払つたことは当事者間に争いがないから、他に特段の資料がない限り、右補償金の支払期日を同日と認める。従つて被告は原告らに対しそれぞれ右補償金に対する支払期日の翌日である同月一五日から完済に至るまで年五分の割合による遅延損害金を付して支払うべき義務がある。

(田辺康次)

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