名古屋地方裁判所 昭和56年(ワ)917号 判決
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【判旨】
二(1) しかるところ抗弁1(手形金債権の消滅時効)の(一)の事実は当事者間に争いがなく、右事実によれば本件手形金債権は昭和四八年六月一日(満期の日の翌日)より三年の時効が進行した。
(2) そして、右に対する再抗弁1(破産債権届出による時効中断)の事実は当事者間に争いがなく、右事実によれば、原告は本件手形金及び遅延損害金について破産会社に対する保証債務履行請求権について破産手続に参加したものというべく、これにより右請求権の時効中断の効力が生じた。
(3) さらに再々抗弁(破産債権届出に対する破産管財人の異議)の事実は当事者間に争いがないので、右の異議が時効中断の効力を失わしめるか否かについて判断する。
破産債権の届出による破産手続参加は、破産債権者の権利行使としての実質を有し、民法一五二条の規定によつて破産手続参加に認められる時効中断の効力は、右権利行使が継続している限り維持されるものであるところ、破産法二七〇条、同法一八二条二項の規定からすれば、破産債権者(執行力のある債務名義又は終局判決を有しない破産債権者。以下同様。)は破産債権の届出により破産手続に参加し破産債権者としてその権利を行使していることになるのであつて、債権調査期日において破産管財人から異議が述べられても、破産債権者が権利主張を取下ないし撤回したとみることのできないのはもちろん、同人が権利についての公権的判断を受ける機会を放棄したものでもないのであるから、同人は依然として権利を行使していることに変りはなく、右異議は、単に破産債権の確定を阻止する効力を有するにとどまり、これによつて破産債権届出の時効中断の効力を失わしめるものではないと解すべきである(最高裁昭和五五年(オ)第六六六号同五七年一月二九日第二小法廷判決・民集三六巻一号一〇五頁参照)。
右と異なる被告の主張は採用できず、被告主張の事実(債権調査期日における異議)は再々抗弁たりえないものである。
(4) したがつて、結局、被告の手形金債権の消滅時効の主張(抗弁1)は理由がない。
(浅野達男 岩田好二 藤田敏)