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名古屋地方裁判所 昭和56年(行ウ)7号 判決 1982年10月29日

愛知県愛知市長久手町大字熊張宇郷前二一九一番地

原告

中野伸作

名古屋市瑞穂区瑞穂町字西塚一の四番地

被告

昭和税務署長

鈴木栄

右指定代理人

岡崎真喜次

木村亘

井奈波秀雄

岡島譲

成瀬元久

主文

一  原告の請求をいずれも棄却する。

二  訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  原告の申立

1  被告が、原告の昭和五一年分ないし昭和五三年分各所得税について、昭和五五年二月二六日付でなした各更正及び過少申告加算税の賦課決定処分(但し、昭和五三年分については、国税不服審判所長の昭和五六年一月一七日付裁決により一部減額された部分を除く)を取り消す。

2  訴訟費用は被告の負担とする。

二  申立に対する被告の答弁

主文と同旨

第二当事者の主張

(原告の請求原因)

一  本件課税処分の経緯

原告は、愛知郡長久手町大字熊張宇郷前二一九一番地において建材販売業及びそれに付随する工事等を営んでいたものであるが、原告は、昭和五一年分ないし昭和五三年分(以下「本件係争各年分」という)の各所得税について昭和五一年分については、昭和五二年三月四日に、昭和五二年分については昭和五三年三月三日に、昭和五三年分については昭和五四年三月二日にそれぞれ別紙一の一ないし三「課税処分表」中各「確定申告額」欄記載のとおり各所得税の確定申告をなしたところ、被告は昭和五五年二月二六日付で本件係争各年分の各所得税について、右別紙一の一ないし三中各「更正及び賦課決定」欄記載のとおり各更正及び過少申告加算税の賦課決定処分をなした。

原告はこれを不服として同年三月一三日、被告に対し異議申立をなしたところ、被告は同年六月一三日にこれを棄却する決定をなした。

そのため、原告は同年七月五日、国税不服審判所長に対し審査請求をなしたところ、同所長は別紙一の一ないし三中各「裁決」欄記載のとおり昭和五一年分及び昭和五二年分の各所得税に対しては原告の請求を棄却する旨の裁決をし、昭和五三年分に対しては原告の請求を一部認め、更正及び過少申告加算税の賦課決定処分を一部取り消す旨の裁決をなし、それぞれ昭和五六年一月一七日付で原告に通知した。

二  本件各更正処分等の違法事由

被告は前記各更正及び過少申告加算税の賦課決定処分(但し、昭和五三年分については、国税不服審判所長の昭和五六年一月一六日付裁決により一部減額された部分を除く。以下「本件各更正処分等」という)を行うに際し、原告の営業所得金額を算定するに当り、同業者比率法による推計課税をしたが、原告は兼業農家であるから、この点に留意し、比準同業者の抽出にあたっては原告と業種、業態を同一にする兼業農家を選定すべきであるに、被告は、この点の留意を欠き、専業の同業者を抽出し、これを基準として、本件推計課税をなしたから、右推計課税は合理性を欠くものというべく、この点において、被告の本件各更正処分等は違法であるから取り消されるべきである。

(請求の原因に対する被告の認否)

一  請求原因第一項の事実は認める。

二  同第二項の事実のうち、被告が原告の営業所得金額を推計による方法(同業者比率法を用いた)により算定したことは認めるが、その余の事実、主張は争う。

(被告の主張―本件各更正処分等の適法性)

一  本件各更正処分等に至る経緯

被告は原告から提出された確定申告書を調査したところ、原告の営業の実態から見てその営業所得金額が過少と思料されたので、昭和五四年一〇月二二日及び同月二五日に被告係官は原告方に実地調査に赴いた。

そして、右係官が原告に対し営業に関する帳簿書類資料の提出を求め、かつ本件各係争年当時の原告の確定申告にかかる営業所得金額の計算根拠等について説明を求めたが、原告は帳簿等の保存がないとしてこれに応じないばかりか、その計算根拠についても何ら説明はしなかった。

そこで被告は、原告の営業所得金額を実額で計算することができなかったため、やむを得ず原告の取引先等について原告との取引状況等の調査を行ったうえ、推計により原告の本件係争各年分の営業所得金額を算定し、その金額に各係争年分において申告された農業所得金額及び不動産所得金額を加算して国税通則法二四条及び六五条の規定により、別紙一の一ないし三中の各「更正及び賦課決定額」欄記載のとおり更正及び過少申告加算税の賦課決定処分を行った。

二  本件更正処分等の根拠

1 原告の本件係争各分の総所得金額等について

原告の確定申告及び被告主張の原告の総所得金額・その内訳及びその算定根拠並びに納付すべき税額及び過少申告加算税の額は、別紙二の一、二、同三の一ないし三、同四の一、二のとおりである。

2 営業所得金額について(別紙二の二、同三の二、同四の二)

被告は、原告の本件係争各年分の営業所得金額について、次のとおり主張する。

(一) 仕入金額について

原告は、営業に関する帳簿書類等の資料の保存もなく、また、仕入に関する納品書及び領収書等の保存もないため、被告は、仕入金額の確認ができず、かつ、原告に対して仕入金額についての説明を求めたが説明もなされなかった。

そこで被告は、やむを得ず原告の仕入先を調査して原告の仕入金額を把握した。

原告の本件係争年分の仕入先・仕入品目及び仕入金額は、別紙五の一ないし三に記載のとおりであり、これによれば、原告の本件係争年分の仕入金額は、昭和五一年分一五七〇万四七九九円、昭和五二年分一六〇五万四九七四円、昭和五三年分一七三八万二九一三円である。

(二) 売上原価率

売上原価率は、本件係争各年分を通じて、原告と類似する事業を営む個人事業者四名につき、右各個人事業者の本件係争年分ごとの仕入金額を総売上金額で除して算定された率(同業者の売上原価率という)をそれぞれの年分に応じて平均し算定したものであって、原告の本件係争各年分の売上原価率及びその算定根拠は、別紙六の一ないし三のとおり、昭和五一年分五七・九〇パーセント、昭和五二年分五一・九三パーセント、昭和五三年分五六・三〇パーセントである。

(三) 総売上金額

原告の本件係争各年分の総売上金額は、右(一)で述べた原告の仕入金額を同(二)で算定された売上原価率で除してそれぞれ算定したものであり、別紙二の二、同三の二、同四の二の総売上金額欄の記載金額のとおりである。

(四) 一般経費・一般経費率(一般経費を総売上金額で除した率)

原告の本件係争各年分の一般経費率及びその算定根拠は、別紙六の一、同六の二、同六の三のとおりであり、これに基づき算定された原告の本件係争各年分の一般経費は、別紙二の二、同三の二、同四の二の一般経費欄の記載金額のとおりである。

(五) 算出所得金額

原告の本件係争各年分の営業所得にかかる算出所得金額は、前記(三)の金額(総売上金頒)から(一)の金額(仕入金額)及び(四)の金額(一般経費)を控除したものであり、原告の係争各年分の算出所得金額は、別紙二の二、同三の二、同四の二の算出所得金額欄の記載金額のとおりである。

3 推計の合理性について

被告は、総売上金額及び一般経費の金額を売上原価率及び一般経費率をもって推計により算定したものであるが、以下右推計が合理性を有することを明らかにする。

(一) 推計の必要性

被告の担当職員が、原告に対して所得税調査に赴き、本件係争各年分の営業所得金額の計算根拠等について説明を求めたところ、原告は「帳簿書類の保存はない、記帳したものは何もない」と言ってこれに応じなかったうえ、その計算根拠についても何ら説明をしなかった。

そこで、被告は、原告の営業所得金額を実額で計算することができなかったため、やむを得ず原告の取引先等について原告の取引状況の調査を行ったうえ、推計により原告の本件係争各年分の営業所得金額を算定した。

(二) 原告の営業形態

原告は、本件係争各年分当時、原告の住所地である愛知県愛知郡長久手町大字熊張字郷前二一九一番地で主として住所地近隣を営業範囲として、別紙五の一ないし三の主な仕入物品欄記載の生コン、砂、ブロック等の建築用材料及び左官材料を販売していた。

ところで、原告の販売形態は、建築材料及び左官用材料を販売するだけでなく、注文に応じて販売とともに、これに関連する工事をなしている。

そして、原告は、販売ないし工事のためにユンボ・ブルドーザー等の土木作業用機械五台及び作業用車両三台を保有し、これらにより、販売に関連する掘削及び整地等の工事をなしている。

(三) 比準同業者について

(1) 原告は、前述したように、生コン、砂、ブロック等の建築用材料及び左官用材料を販売していること。

(2) 販売に関連して工事を行っていること。

(3) 従業員数は、原告と妻の二名であること。

(4) 仕入金額は、前述した二の1のとおり約一五〇〇万円ないし一八〇〇万円であること。

等から原告に類似すると考えられる同業者は、次の四名である。

同業者四名は、いずれも原告と同様の物品を販売するとともに、これに関連する掘削及び整地等の工事を営んでいるものであるが、その営業形態等は次のとおりである(以下、同業者について、A・Bは昭和税務署管内に居住する者、Cは熱田税務署管内に居住する者、Dは小牧税務署管内に居住する者である)。

<省略>

(四) 推計資料の正確性

推計が合理的であるためには、その推計に用いられた資料が正確であることを要することは勿論であり、本件比準同業者はいずれも所得税法(以下「法」という)一四三条による青色申告者であり、その申告が正確であることは法的に担保されているものであるから、本件推計に用いた基礎資料は正確である。

なお、いうまでもないことであるが、青色申告者のうち、年の中途において開廃業、転業又は業態を変更した者、他の業種目を兼業している者、小規模事業者で帳簿組織が簡易な記帳の方法(現金主義)によっている者、期間損益が明確にされていない者、更正又は決定処分が行われたもののうち、国税通則法の規定に基づく不服申立期間及び出訴期間を経過していない者、不服申立又は訴訟中の者等は比準同業者から除いた。

4 譲渡所得金額について

原告の本件係争年分のうち、譲渡所得について問題となるのは、昭和五二年分のみであり、原告の昭和五二年分の譲渡所得の算定根拠は別紙三の三のとおりである。

(被告の主張に対する原告の認否)

一  被告の主張一項の事実は認めるが、推計の合理性・正当性は争う。

二  被告の主張二項1及び2の事実について

1 原告が本件係争年分につき、確定申告の際に申告した原告の総所得金額・その内訳及び算定根拠並びに納付すべき税額が別紙二ないし四の各一中各「確定申告額」欄記載のとおりであることは認める。また同別紙中の各「被告主張額」いずれも各「不動産所得金額」、各「農業所得金額」及び各「所得控除額」を認める以外は全て争う。

2 本件係争各年分の各営業所得金額のうち、各仕入金額(被告の主張二項2(一))及び特別経費(以下別紙二ないし四の各二「二仕入金額」及び「七特別経費」欄記載の金額)が被告主張の額であること並びに係争各年分の仕入金額の明細が別紙五の一ないし三記載のとおりであることは認める。

3 別紙六の一ないし三の記載事項については不知である。

三  被告の主張二項3(推計の合理性)について

1 同項3の(一)の推計の必要性は認める。

2 同項3(二)の原告の営業形態については注文に応じて工事をなしたとする点は否認し、その余は認める。

3 同項3の(三)中(1)(3)(4)は認め、(2)は否認する。

4 原告の本件係争年分の営業所得の算定につき推計の必要性があったことは認めるが、本件係争各年度において原告は田畑を約二町歩所有し、いわゆる兼業農家であったのであるから、推計に用いる比準同業者は兼業農家を選定すべきところ、被告はこれを比準同業者として選定しておらず、この点において本件推計は合理性を欠く。

第三証拠

一  原告

乙第六号証の一ないし九の成立は不知。その余の乙号各証の成立はいずれも認める。

二  被告

1  乙第一ないし第四号証の各一ないし三、第五号証、第六号証の一ないし九、第七号証の一ないし三、第八号証の一、二、第九号証の一ないし三を提出。

2  証人柳沢敏春の証言を援用。

三  職権

原告本人尋問の結果を援用。

理由

一  本件課税処分の経緯(請求原因一項)、本件各更正処分等に至る経緯(被告の主張一項)の事実については当事者間に争いがなく、また、本件係争各年分の各総所得金額中、各営業所得金額及び昭和五二年分の譲渡所得金額を除いて、その余は、被告主張額となることは原告の自認するところである。

二  本件係争各年分の営業所得金額推計の合理性について

被告は、原告の本件係争各年分の営業所得金額算定につき、同業者比率により推計課税をなしたことは、被告の主張自体から明らかなところ、原告は、推計の必要性の存することは認めているから、進んで、推計の合理性について判断する。

1  本件係争各年分の原告の仕入先、主な仕入品、仕入金額が別紙五の一ないし三記載のとおりであることは当事者間に争いがなく、右事実によれば原告の本件係争各年分の仕入金額は約一五〇〇万円ないし一八〇〇万円であることが明らかである。

2  つぎに、原告が生コン・砂・ブロック等の建築用材料の販売をしていること、従業員は、原告と妻の二人であること、原告が土木作業機械五台及び作業用車両三台を保有していることは当事者間に争いがなく、成立に争いのない乙第一号証の一、証人柳沢敏春の証言、原告本人尋問の結果によれば、原告は建築用材料及び左官用材料の販売をするとともに、これに関連して前記車両等を使用し若干の工事も行っていたこと、原告の当時の所有田畑は二・五反にすぎないことが認められ、他に、右認定を左右するに足りる証拠は存しない。

3  つぎに、証人柳沢敏春の証言、その方式及び趣旨により公務員が職務上作成したものと認められるから真正な公文書と推定すべき乙第六号証の一ないし九によれば、被告が、名古屋国税局長名義による「税務訴訟に関する資料の報告方について(一般通達)」と題する書面により収集し選定した比準同業者は、被告主張のとおり、原告と同業の昭和・熱田・小牧各税務署管内の青色申告者四名であること、これら比準同業者の本件係争年分の仕入金額・主な販売物品・従業員数・土木作業用機械・作業用車両の保有台数等はすべて被告主張のとおりであることが認められ、他にこれに反する証拠は存しない。これら事実によれば、選定された右比準同業者らは、原告と営業内容・規模・年間仕入高・従業員数・保有車両等の業種・業態が類似し、その裏付け資料も正確であると認められ、加えて、比準同業者の抽出過程に被告の恣意等が介入する余地はなかったと認められる。従って、比準同業者の選定過程はすべて合理的なものと認め得る。

4  そして被告は、これら比準同業者らの総売上金額・仕入金額・一般経費等に基づき別紙六の一ないし三のとおり売上原価率・一般経費率を算出し、これを原告に適用し、本件係争各年分の原告の総売上金額・一般経費を算出し、これに基づき別紙二の二、三の二、四の二のとおり本件係争各年分の原告の営業所得金額を算出したことは、被告の主張自体から明らかであり、右推計課税は合理的と認めるのが相当である。

5  原告は本件係争各年当時田畑を約二町歩所有し、いわゆる兼業農家であったから比準同業者として兼業農家を選定すべきであると主張するが、前記のとおり当時原告は、田畑約二・五反を有するにすぎなかったことが認められ、また、右田畑による農業所得が昭和五一年分は一四万二二五〇円、昭和五二年分は一五万円、昭和五三年分は一〇万円であることは当事者間に争いがなく、この程度の農家兼業は被告の前記推計課税を不合理ならしめる程度の特殊事情ということはできず、他に前記推計課税を不合理ならしめるに足る特殊事情の主張・立証もないから、原告の主張は失当である。

三  昭和五二年分の譲渡所得金額について

被告主張の別紙三の三記載の資産の譲渡による利益は、法三三条一項により譲渡所得の対象となるところ、

1  証人柳沢敏春の証言並びに成立に争いのない乙第七号証の一、第八号証の一、二及び第九号証の一ないし三によれば、同別紙記載の資産のうち「二トンダンプ」及び「タイヤショベル」についての譲渡年月、譲渡収入金額・取得年月・取得価額が被告主張のとおりであることが認められ、法二条一項一九号、所得税法施行令(以下「令」という)六条三号、六号によれば、右二トンダンプ及びタイヤショベルは減価償却資産に該り、これらは定額法により減価償却を行うことになり(法四九条一項、令一二五条一号、一二〇条一項一号イ)、減価償却資産の耐用年数等に関する省令(以下「省令」という)一条一項一号、別表第一、省令一条一項二号、別表第二、省令四条一項、別表第一〇によれば、前者の耐用年数は四年、償却率は〇・二五、後者の耐用年数は五年、償却率は〇・二となり、また省令五条一項、別表第一一によれば残存価額は取得価額に一〇〇分の一〇を乗じて算定した額となるから、両者の残存価額・経過期間・償却費の累計(なおタイヤショベルについては令一三四条一項一号により取得価額の一〇〇分の九五に相当する金額となる)、譲渡時の価額・譲渡益は被告主張のとおりとなる。そして、タイヤショベルの譲渡は取得後五年を経過して行われているので、法二二条二項二号、三三条三項二号により課税標準となる長期保有に係る分の譲渡所得金額は八万円となる。

2  証人柳沢敏春の証言、前掲乙第七号証の一及び成立に争いのない乙第七号証の二、三によれば、ブルドーザーの譲渡年月は昭和五二年二月、譲渡収入金額は五〇万円、取得年月は、昭和四七年四月、取得価額は一二〇万円であることが認められ、前記1同様法二条一項一九号、令六条三号、法四九条一項、令一二五条一号、一二〇条一項一号イ、省令一条一項二号、別表第二、省令四条一項、別表第一〇、省令五条一項、別表第一一によれば、右資産の償却方法は定額法で行われ、耐用年数は五年、償却率は〇・二、残存価額は一二万円、経過期間は四年一一月、償却費の累計は一〇六万二〇〇〇円、譲渡時の価額は一三万八〇〇〇円となるから譲渡益は三六万二〇〇〇円となる。

3  右ブルドーザー及び二トンダンプの譲渡については、いずれも右取得日より五年内に譲渡しているので法三三条三項一号の短期保有に係る譲渡所得に該り、その譲渡益の累計は五五万二六七一円となり、法三三条四項、五項により特別控除額五〇万円を控除した金額五万二六七一円が、課税標準となる短期保有に係る分の譲渡所得金額である。

4  以上によれば、昭和五二年分譲渡所得金額は、一三万二六七一円となる。

従って、被告主張別紙三の三中合計譲渡所得金額は、正確には、右説示のとおり増額されることになる(右のように増額された明細は別紙三の四のとおりとなる)。

してみると、昭和五二年分の譲渡所得金額は、被告主張別紙三の三の金額を下らないことは明らかであるから、被告の右譲渡所得金額の主張は正当と認める。

四  以上によれば、原告の本件係争年分の総所得金額は、昭和五一年分は被告主張のとおり五八八万五八九〇円となり、昭和五二年分は被告主張の八四七万三六九円を下らず、昭和五三年分は被告主張のとおり七五一万五五六一円となるところ、係争各年分の各所得控除額については被告主張のとおりであることにつき当事者間に争いがないから、本件係争年分の各課税所得金額は、昭和五一年分は被告主張のとおり四六八万七〇〇〇円となり、昭和五二年分は被告主張の七〇八万八〇〇〇円を下らず、昭和五三年分は被告主張の七〇八万八〇〇〇円を下らず、昭和五三年分は被告主張のとおり六〇四万七〇〇〇円となるから、右各総所得金額の範囲内でなされた本件各更正処分及び右各更正処分を基になされた各過少申告加算税の賦課決定処分はいずれも適法である。

五  結論

以上の次第であるから、本件各更正処分等の取消しを求める原告の本訴請求はいずれも失当であるから、これを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民訴法八九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 松本武 裁判官 澤田経夫 裁判官 加登屋健次)

別紙一の一 課税処分表 (一)

昭和五一年分

<省略>

(注)一 昭和五二年五月四日法律第三四号による。

(注)二 四―五

別紙一の二 課税処分表 (二)

昭和五二年分

<省略>

(注)一 昭和五三年五月一五日法律第四五号による。

(注)二 四―五―七

別紙一の三 課税処分表 (三)

昭和五三年分

<省略>

別紙二の一 昭和五一年分確定申告額及び被告主張額表

<省略>

別紙二の二 昭和五一年分営業所得金額計算表

<省略>

別紙三の一 昭和五二年分確定申告額及び被告主張額表

<省略>

別紙三の二 昭和五二年分営業所得金額計算表

<省略>

別紙三の三 昭和五二年分譲渡所得金額表

<省略>

(注)(一) 保有期間(六の5)が五年以内のものをいう。

(注)(二) (五-六の4)×六の三(一円未満切捨)×六の5

(注)(三) 保有期間(六の5)が五年超のものをいう。

(注)(四) 取得価額(五)に九五を乗じて一〇〇で除した数額を限度とする。

別紙三の四 昭和五二年分譲渡所得金額表

<省略>

別紙四の一 昭和五三年分確定申告額及び被告主張額表

<省略>

別紙四の二 昭和五三年分営業所得金額計算表

<省略>

別紙五の一 昭和五一年分仕入金額明細表

<省略>

(注) 右表の(株)は株式会社、(有)は有限会社を意味する。

別紙五の二 昭和五二年分仕入金額明細表

<省略>

(注) 右表の(株)は株式会社、(有)は有限会社を意味する。

別紙五の三 昭和五三年分仕入金額明細表

<省略>

(注) 右表の(株)は株式会社、(有)は有限会社を意味する。

別紙六の一 昭和五一年分売上原価率及び一般経費率表

<省略>

別紙六の二 昭和五二年分売上原価率及び一般経費率表

<省略>

別紙六の三 昭和五三年分売上原価率及び一般経費率表

<省略>

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