名古屋地方裁判所 昭和57年(わ)2092号 判決 1983年4月27日
本店の所在地
愛知県小牧原新田七八五番地の一
法人の名称
有限会社岩田商事
代表者の住居
愛知県小牧市大字小牧原新田七八五番地の一
代表者の氏名
岩田成市こと
金成培
国籍
韓国(慶尚南道金海郡金海邑東上洞六一六)
住居
愛知県小牧市大字小牧原新田七八五番地の一
職業
会社役員
氏名
岩田成市こと
金成培
一九三三年二月一三日生
右有限会社岩田商事並びに岩田成市こと金成培に対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官中松村夫並びに国選弁護人川上明彦各出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。
主文
被告人有限会社岩田商事を罰金一七〇〇万円に、被告人岩田成市こと金成培を懲役六月に各処する。
被告人岩田成市こと金成培に対し、この裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。
訴訟費用は被告人両名の連帯負担とする。
理由
(罪となるべき事実)
被告人有限会社岩田商事(以下「被告会社」という。)は、愛知県小牧市大字小牧原新田七八五番地の一に本店を置き、遊技場(パチンコ店)を経営するもの、被告人岩田成市こと金成培は、被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括するものであるが、被告人岩田成市こと金成培は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外し、この資金を用いて他人名義により債券等を取得するなどの方法によって所得の一部を秘匿したうえ
第一 昭和五三年一二月一日から同五四年一一月三〇日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が二一一五万七五四一円で、これに対する法人税額が七六一万六九〇〇円であるのに、同五五年一月三一日、同市大字小牧一九五〇番地所在の小牧税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一八〇万四九八六円の欠損で、これに対する法人税額は無い旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、被告会社の右事業年度における正規の法人税額七六一万六九〇〇円を免れ
第二 同五四年一二月一日から同五五年一一月三〇日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が二四八七万四三〇三円で、これに対する法人税額が九〇八万九三〇〇円であるのに、同五六年一月三一日、前示小牧税務署において、同税務署長に対し、所得金額が三六万一三六三円で、これに対する法人税額が八万〇八〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、被告会社の右事業年度における正規の法人税額との差額九〇〇万八五〇〇円を免れ
第三 同五五年一二月一日から同五六年一一月三〇日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が一億四四七二万五四六八円で、これに対する法人税額が五九七〇万六五〇〇円であるのに、同五七年一月三〇日、前示小牧税務署において、同税務署長に対し、所得金額が四九七九万二六一九円で、これに対する法人税額が一九八三万七一〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、被告会社の右事業年度における正規の法人税額との差額三九八六万九四〇〇円を免れ
もって、いずれも不正の行為により法人税を免れたものである(修正貸借対照表、ほ脱所得の内容及び脱税額計算書は別紙(一)ないし(三)のとおり)。
(証拠の標目)
一 被告会社代表者兼被告人岩田成市こと金成培の
1 当公判廷における供述
2 上申書三通(検乙第一ないし第三号証)
3 大蔵事務官に対する質問てん末書一六通(検乙第四ないし第一九号証)
4 検察官に対する供述調書(検乙第二〇号証)
一 登記官坪井久雄作成の登記簿謄本(検乙第二二号証)
一 大蔵事務官作成の
1 告発書(検甲第一号証)
2 脱税額計算書三通(検甲第二ないし第四号証)
3 脱税額計算書説明資料(検甲第五号証)
4 証明書一三通(検甲第七ないし第一六、第六八及び第六九号証)
5 臨検てん末書(検甲第一七号書)
6 検査てん末書(検甲第一八号証)
7 写真撮影報告書二通(検甲第一九及び第二〇号証)
8 査察官調査書一六通(検甲第二一ないし第二七、第二九、第三三、第四七、第四八、第五〇、第五二ないし第五五号証)
一 株式会社岩田時計舗代表取締役日比烈子作成の
1 供述書(検甲第二八号証)
2 上申書(検甲第四九号証)
一 信用組合愛知商銀一宮支店長平江清治(作成者次長井原正吉)の
1 供述書二通(検甲第三〇及び第三一号証)
2 定期積金元帳の記載証明(検甲第七一号証)
一 朝銀愛知信用組合一宮支店長任三祚作成の供述書(検甲第三二号証)
一 共済証券株式会社犬山営業所長前田威の
1 上申書二通(検甲第三四及び第三五号証)
2 大蔵事務官に対する質問てん末書(検甲第六三号証)
一 共済証券株式会社取締役管理本部長金原俊夫作成の上申書(検甲第三六号証)
一 共済証券株式会社作成者池村治の
1 供述書三通(検甲第三七、第三八及び第七二号証)
2 債権買注文伝票等による償還分証明(検甲第七〇号証)
一 株式会社日本債券信用銀行名古屋支店債券預金課長阿部雅澄作成の「証」と題する書面三通(検甲第三九ないし第四一号証)
一 株式会社日本長期信用銀行名古屋支店資金部部長代理上田修作成の供述書二通(検甲第四二及び第四三号証)
一 三洋証券株式会社名古屋支店作成者伊藤彰敏作成の証明書二通(検甲第四四及び第四五号証)
一 岡三証券株式会社名古屋支店経理課長柳岡伸治作成の供述書(検甲第四六号証)
一 福田行雄、岩田峰子こと李香善(三通)、宮地励子(二通)、坡平吉郎こと尹同伊、岩田在延こと朴在延、北川秋子こと李命善、鈴木孝の大蔵事務官に対する各質問てん末書(検甲第五一、第五六ないし第六二、第六四及び第六五号証)
一 加藤二一の
1 大蔵事務官に対する質問てん末書(検甲第六六号証)
2 検察官に対する供述書(検甲第六七号証)
(法令の適用)
被告会社の判示第一及び第二の各所為は、昭和五六年法律第五四号による改正前の法人税法一五九条一項、一六四条一項に、判示第三の所為は法人税法一五九条一項、一六四条一項に各該当するので、情状により同法一五九条二項を各適用し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから同法四八条二項により各罪につき定めた罰金の合算額以下において被告会社を罰金一七〇〇万円に処し、被告人岩田成市こと金成培の判示第一及び第二の各所為は、昭和五六年法律第五四号による改正前の法人税法一五九条一項に、判示第三の所為は法人税法一五九条一項に各該当するので、所定刑中懲役刑を各選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから同法四七条本文、一〇条により最も重い判示第三の罪の懲役刑に法定の加重をした刑期の範囲内で、被告人を懲役六月に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。訴訟費用は刑事訴訟法一八一条一項本文、一八二条により被告人両名の連帯負担とする。
よって主文のとおり判決する。
(裁判官 早瀬正剛)
別紙(一)
修正貸借対照表
昭和54年11月30日現在
<省略>
<省略>
修正貸借対照表
昭和55年11月30日現在
<省略>
<省略>
修正貸借対照表
昭和56年11月30日現在
<省略>
<省略>
別紙(二)
ほ脱所得の内容
自 昭和53年12月1日
至 昭和54年11月30日
△印は減
<省略>
<省略>
ほ脱所得の内容
自 昭和54年12月1日
至 昭和55年11月30日
△印は減
<省略>
<省略>
ほ脱所得の内容
自 昭和55年12月1日
至 昭和56年11月30日
△印は減
<省略>
<省略>
別紙(三)
脱税額計算書
自 昭和53年12月1日
至 昭和53年11月30日
△印は減
<省略>
脱税額計算書
自 昭和54年12月1日
至 昭和55年11月30日
△印は減
<省略>
脱税額計算書
自 昭和55年12月1日
至 昭和56年11月30日
△印は減
<省略>