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名古屋地方裁判所 昭和59年(わ)862号 判決 1984年8月10日

国籍

韓国(慶尚北道達城郡求智面烏舌洞三二五番地)

住居

名古屋市中村区寿町三〇番地

遊戯場営業

坂本正夫こと

李今述

一九二三年四月九日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は検察官森剛出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年及び罰金一、〇〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金二万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判の確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、名古屋市中村区日吉町三番地の二九において、坂本京子こと辛斗任が「福トルコセンター」の名称で営む特殊浴場業の従業者として、その業務全般を統轄するとともに、その納税事務を担当しているものであるが、右辛斗任の業務に関し、同人の所得税を免れようと企て、売上げの一部を除外する方法によって、所得の一部を秘匿した上、

第一  前記辛斗任の昭和五六年分の実際の所得金額が六、三九六万七、三七五円であり、これに対する所得税額が三、三三七万一、一〇〇円であるのに、昭和五七年三月一三日、名古屋市中村区大閣三丁目四番一号所在の名古屋中村税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二、三七七万八、三七五円であり、これに対する所得税額が八四二万二、七〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、前記辛の昭和五六年度における正規の所得税額との差額二、四九四万八、四〇〇円を免れ

第二  前記辛斗任の昭和五七年度分の実際の所得金額が七、〇四九万四、五四四円であり、これに対する所得税額が三、七七九万八、九〇〇円であるのに、昭和五八年三月一五日、前記名古屋中村税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二、六二六万五、五四四円であり、これに対する所得税額が一、〇〇〇万八、九〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、前記辛の昭和五七年度における正規の所得税額との差額二、七七九万円を免れ

もつて、いずれも不正の行為により前記辛の所得税を免れたものである。

(証拠の標目)

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書

一  被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書(一三通)

一  大野米夫こと姜石煕の検察官に対する供述調書

一  大野米夫こと姜石煕(三通)、原本大建こと梁大建、嶋田敏喜(二通)の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  大蔵事務官作成の進藤まゆみ、堀江菊江、北村サダ子、鈴木由紀子からの各聴取書

一  大蔵事務官作成の証明書(四通)、脱税額計算書(二通)及び脱税額計算書資料と題する書面

(法令の適用)

一  判示第一、第二の各所為につき

各所得税法二三八条、二四四条一項

一  (刑種の選択) 所定刑中懲役刑、罰金刑、罰金刑併科

一  (併合加重) 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(重い判示第二の罪の刑に加重)、四八条二項

一  (労役場の留置)

同法一八条

一  (刑の執行猶予)

同法二五条一項

(裁判官 西岡宜兄)

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