大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

名古屋地方裁判所 昭和60年(わ)1504号 判決 1985年11月11日

本籍

三重県松阪市中町一九四八番地

住居

名古屋市中村区長筬町四丁目五〇番地の二

会社役員

森田武夫

昭和一四年一二月二日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官磯部泰一出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年及び罰金一八〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、名古屋市中村区長筬町四丁目五〇番地の二に居住し、同所において「松森商店」の名称のもとに茶道具卸商を営んでいたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、所得税の確定申告に際しては、所得金額に関する収支計算をせず適宜の金額を計上する、いわゆるつまみ申告を行う方法により所得の一部を秘匿した上、

第一  昭和五六年分の実際の所得金額が七、八〇八万二、〇九二円で、これに対する所得税額が四、三〇二万五、四〇〇円であるのに、昭和五七年三月一〇日、名古屋市中村区太閣三丁目四番一号所在の名古屋中村税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一、二九一万三、七二二円であり、これに対する所得税額が二九二万七、二〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、正規の所得税額との差額四、〇〇九万八、二〇〇円を免れ、

第二  昭和五七年分の実際の所得金額が二、七三九万八、二七一円で、これに対する所得税額が一、〇四二万一、九〇〇円であるのに、同五八年三月一四日、前記名古屋中村税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一、二九三万二、七九五円であり、これに対する所得税額が三一〇万二、三〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、正規の所得税額との差額七三一万九、六〇〇円を免れ、

第三  昭和五八年分の実際の所得金額が五、〇四八万九、五八三円で、これに対する所得税額が二、四四八万九、七〇〇円であるのに、同五九年三月一五日、前記名古屋中村税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一、四一一万一、〇四八円であり、これに対する所得税額が三六〇万九、〇〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、正規の所得税額との差額二、〇八八万〇、七〇〇円を免れ、

もって、いずれも不正の行為により所得税を免れたものである。

(証拠の標目)

判示事実全部について

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書

一  被告人の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  森田香代子の検察官に対する供述調書

一  森田香代子の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  名古屋国税局作成の調査概要書

一  大蔵事務官作成の各査察官調査書

一  被告人作成の各上申書

一  森田香代子作成の上申書

判示第一事実について

一  大蔵事務官作成の各証明書(検甲第一、四号証)

判示第二事実について

一  大蔵事務官作成の各証明書(検甲第二、五号証)

判示第三事実について

一  大蔵事務官作成の各証明書(検甲第三、六号証)

(法令の適用)

一  判示各所為につきいずれも所得税法二三八条一項、二項

一  刑種の選択 所定刑中懲役刑及び罰金刑選択

一  併合罪加重 刑法四五条前段、懲役刑につき同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第一の罪の刑に法定の加重、罰金刑につき各罪所定の罰金額合算

一  刑執行猶予 同法二五条一項

一  労役場留置 同法一八条

(裁判官 安江勤)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例