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名古屋地方裁判所 昭和60年(わ)2304号 判決 1986年5月20日

本店所在地

名古屋市緑区大高町一番割六六番地-一

大一電機産業株式会社

右代表者代表取締役

村上卓夫こと金宅圭

国籍

朝鮮(慶尚南道晋陽郡晋城面下村里四四六)

住居

名古屋市緑区鳴海町字平手一四四番地の二

会社役員

村上卓夫こと金宅圭

一九三七年三月二五日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官岡崎真喜次出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人大一電機産業株式会社を罰金二二〇〇万円に、被告人金宅圭を懲役一年に各処する。

被告人金宅圭に対し、この裁判碓定の日から二年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人大一電機産業株式会社は、肩書地に本店を置き、パチンコ玉、コインの数字検知制御盤の設計、製造及び販売等を業とする株式会社であり、被告人村上卓夫こと金宅圭は、被告人会社の代表取締役としてその業務全般を統轄していたものであるが、被告人金宅圭は、被告人会社の業務に関し法人税を免れようと企て、外注費及び給料を架空計算するなどの方法により所得の一部を秘匿した上

第一  昭和五七年八月一日から同五八年七月三一日までの事業年度における被告人会社の実際の所得金額が二億九三〇二万五四〇七円でこれに対する法人税額が一億二一七三万五五〇〇円であるのに、同五八年九月二九日、名古屋市熱田区花表町七番一七号所在の熱田税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が九二四五万一九五八円でこれに対する法人税額が三七四九万四四〇〇円である旨の虚偽の法人税額定申告書を提出し、もって、不正の行為により被告人会社の右事業年度における法人税八四二四万一一〇〇円を免れ、

第二  同五八年八月一日から同五九年七月三一日までの事業年度における被告人会社の実際の所得金額が七六五二万二七一四円でこれに対する法人税額が三一六七万二八〇〇円であるのに、同五九年九月二八日、前記熱田税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が四〇四二万六九四五円でこれに対する法人税額が一六〇四万三三〇〇円である旨の虚偽の法人税額確定申告書を提出し、もって、不正の行為により被告人会社の右事業年度における法人税一五六二万九五〇〇円を免れたものである。

(証拠の標目)

一  被告人会社代表者兼被告人金宅圭(以下単に被告人という。)の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書二通

一  被告人の大蔵事務官に対する供述調書九通

一  本塚千代子及び金鎭甲の検察官に対する各供述調書

一  本塚千代子(二通)、但馬弘晃、金鎭甲(三通)、浅野雅也(二通)、金鶴圭(二通)、金興圭、但馬貞子、島田勝二、斉藤敏夫、小寺博治、玉越栄、大平多紀子及び埜田芳春の大蔵事務官に対する供述調書

一  大蔵事務官作成の査察官調査書九通

一  大蔵事務官作成の脱税計算算書(二通)及び同説明資料

一  熱田税務署長作成の証明書二通(ただし、昭和五八年九月二九日及び同五九年九月二八日に被告人会社が確定申告した原本についての分)

一  名古屋法務局登記官作成の登記簿謄本

(法令の適用)

被告人会社及び彼告人金宅圭の判示第一及び第二の各所為はいずれも法人税法一五九条(被告人会社については、更に同法一六四条一項)に該当するところ、被告人金宅圭の判示各罪につき所定刑中いずれも懲役刑を選択し、被告人会社及び被告人金宅圭につき以上の各罪はそれぞれ刑法四五条前段の併合罪であるから、被告人会社については同法四八条二項により各所定の罰金を合算した金額の範囲内で、被告人金宅圭については同法四七条本文、一〇条により犯情の重いと認める判示第一の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で、被告人会社を罰金二二〇〇万円に、被告人金宅圭を懲役一年に各処し、情状により同法二五条一項を適用して、被告人金宅圭に対してこの裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予することとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 小島裕史)

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