名古屋地方裁判所 昭和61年(わ)2154号 判決 1987年2月09日
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(一) 本店所在地
名古屋市西区那古野二丁目二番一号
法人の名称
カトウ美装株式会社
(右代表取締役 加藤徳蔵)
(二) 本籍
名古屋市西区那古野一丁目一四番地
住居
東京都港区芝浦四丁目四番二七の八一三号
会社役員
若林孝男
昭和九年四月二二日生
右の者らに対する各法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官赤根智子出席の上審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人カトウ美装株式会社を罰金二五〇〇万円に、被告人若林孝男を懲役一年六月にそれぞれ処する。
被告人若林孝男に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する
理由
(罪となるべき事実)
被告人カトウ美装株式会社(以下「被告会社」という。)は、名古屋市西区那古野二丁目二番一号に本店を置き、商店建築及び各種内装工事請負等を業とするもの、被告人若林孝男は、昭和六〇年一一月四日まで、被告会社の代表取締役としてその業務全般を統轄していたものであるが、被告人若林孝男は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、決算に計上する売上合計金額の圧縮及び架空外注費の計上をするなどの方法により所得の一部を秘匿した上、
第一 昭和五六年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における同会社の実際の所得金額が三億六九九三万五四八四円で、これに対する法人税額が、一億四六二八万五六〇〇円であるのに、同五七年三月一日、名古屋市西区押切二丁目七番二一号所在の名古屋西税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二億五九七一万八二二五円でこれに対する法人税額が九九九九万九九〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、被告会社の右事業年度における正規の法人税額との差額四六二八万五七〇〇円を免れ、
第二 昭和五八年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における同会社の実際の所得金額が二億七九二六万一六〇八円で、これに対する法人税額が、一億九三三万一三〇〇円であるのに、同五九年二月二九日、前記名古屋西税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一億六一七四万二一〇円でこれに対する法人税額が五九九八万八〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、被告会社の右事業年度における正規の法人税額との差額四九三五万五〇〇円を免れ、
もつて、それぞれ不正の行為により法人税を免れたものである。
(証拠の標目)
判示事実全部について
一 被告会社代表者加藤徳蔵及び被告人若林孝男の当公判廷における各供述
一 被告人若林孝男の検察官に対する供述調書
一 被告人若林孝男の大蔵事務官に対する質問てん末書
一 加藤健次、和久田紀一、上山光明の大蔵事務官に対する各質問てん末書
一 和久田紀一作成の各上申書(検甲12、16号証)
一 大蔵事務官作成の各査察官調書
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書説明資料
一 名古屋法務局登記官作成の商業登記簿謄本
判示第一の事実について
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書(検甲2号証)、証明書二通(検甲5、6号証)
判示第二の事実について
一 清水恵子の大蔵事務官に対する各質問てん末書
一 和久田紀一作成の上申書(検甲13号証)
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書(検甲3号証)、証明書三通(検甲7ないし9号証)
(法令の適用)
被告人らの判示各所為は、各事業年度ごとに法人税法一五九条一項(被告会社については、さらに同法一六四条一項)に該当するところ、被告会社については情状により同法一五九条二項を適用し、被告人若林については所定刑中懲役刑を選択し、被告人らの以上の各罪は刑法四五条前段の併合罪であるから、被告会社については同法四八条二項により罰金額を合算した範囲内で罰金二五〇〇万円に、被告人若林については同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で懲役一年六月に処し、被告人若林に対し、同法二五条一項を適用してこの裁判の確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとする。
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 安江勤)