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名古屋地方裁判所 昭和62年(わ)2035号 判決 1988年3月25日

本店の所在地

愛知県春日井市鳥居松町四丁目二一六番地

法人の名称

寿和工業株式会社

代表者の住居

岐阜県可児市広見一丁目四七番地

代表者の氏名

清水正靖こと韓鳳道

ほか一名

国籍

韓国(慶尚北道達城郡玄風面城下洞四一六の一)

住居

岐阜市可児市広見一丁目四七番地

会社役員

清水正靖こと

韓鳳道

一九二二年三月二八日生

右両名に対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官當山孝保出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告人寿和工業株式会社を罰金一億五〇〇〇万円に、被告人韓鳳道を懲役三年にそれぞれ処する。

被告人韓鳳道に対し、この裁判確定の日から四年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人寿和工業株式会社(以下「被告会社」という。)は、愛知県春日井市鳥居松町四丁目二一六番地に本店を置き、産業廃棄物等の処理及び砂利採取販売等を業とするもの、被告人清水正靖こと韓鳳道は、被告会社の代表取締役として、その業務全般を統括しているものであるが、被告人清水正靖こと韓鳳道は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、架空経費を計上するなどの方法により、所得の一部を秘匿した上

第一  昭和五八年四月一日から同五九年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が三億二五〇六万三七〇〇円であり、これに対する法人税額が一億三三九七万一三〇〇円であるのに、同五九年五月三一日、愛知県小牧市大字小牧字東浦一九五〇所在の小牧税務署において、同税務署長に対し、所得金額が三一〇七万二二〇〇円であり、これに対する法人税額が八三八万一〇〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、被告会社の右事業年度における正規の法人税額との差額一億二五五九万三〇〇円を免れ

第二  同五九年四月一日から同六〇年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が三億六七八五万七八九六円であり、これに対する法人税額が一億六二五五万六五〇〇円であるのに、同六〇年五月三一日、前記小牧税務署において、同税務署長に対し、所得金額が四〇五四万七七七二円であり、これに対する法人税額が一一八五万三八〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、被告会社の右事業年度における正規の法人税額との差額一億五〇七〇万二七〇〇円を免れ

第三  同六〇年四月一日から同六一年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が六億二一八七万六二五八円であり、これに対する法人税額が二億六四六四万六八〇〇円であるのに、同六一年五月三一日、前記小牧税務署において、同税務署長に対し、所得金額が七四〇九万四三七九円であり、これに対する法人税額が二三八五万三〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、被告会社の右事業年度における正規の法人税額との差額二億四〇七九万六五〇〇円を免れ

もって、いずれも不正の行為により法人税を免れたものである。

(証拠の標目)

判示事実全部について

一  被告人韓の当公判廷における供述

一  被告人韓作成の上申書

一  被告人韓の大蔵事務官(七通)及び検察官に対する各供述調書

一  朴得守、桧山三郎、林聖二、高義広、許勝夫、田中一郎、梅田昌宏、渡辺秀憲、吉田力、白山庄次、金寛三、三枝孝子(二通)、和田義一、岩田弘志、朴仁漢、三原吉城及び平野哲始郎の大蔵事務官に対する各供述調書

一  清水道雄の大蔵事務官(四通)及び検察官に対する各供述調書

一  清水多摩恵の大蔵事務官(六通)及び検察官に対する各供述調書

一  大村敏夫(昭和六二年六月一日付・((検甲二六号証))、同月二日付((検甲二八号証)))及び大前政美(同月一日付・((検甲二七号証))、同月三日付・((検甲三〇号証)))作成の各査察官調査書

一  大村敏夫作成の告発書

一  検察事務官作成の電話聴取書

一  相井孝郎作成の同月二日付(二通・((検甲三、四号証)))各証明書

判示第一の事実について

一  相井孝郎作成の同日付(二通・検甲五、五一号証)証明書

一  大村敏夫作成の脱税計算書(検甲三六号証)

判示第二の事実について

一  相井孝郎作成の証明書(検甲六、五二号証)

一  大村敏夫作成の査察官調書(検甲三一、三二号証)及び脱税計算書(検甲三七号証)

一  大前政美作成の査察官調査書(検甲三三号証)

判示第三の事実について

一  相井孝郎作成の証明書(二通・検甲七、五三号証)

一  大村敏夫作成の査察官調書(二通・検甲三二、三四号証)及び脱税計算書(検甲三八号証)

(法令の適用)

被告人らの判示各所為は各事業年度ごとに法人税法一五九条一項(被告人会社について、さらに同法一六四条一項)に各該当するが、被告人会社については情状に鑑み同法一五九条二項を適用し、被告人については所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、被告人会社については同法四八条二項により合算した金額の範囲内で被告人会社を罰金一億五〇〇〇万円、被告人については同法四七条本文、一〇条により、犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役三年にそれぞれ処し、被告人に対し情状により同法二五条一項を適用してこの裁判の確定の日から四年間右刑の執行を猶予することとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 杉山修)

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