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名古屋地方裁判所 昭和63年(わ)1028号 判決 1988年10月27日

本籍

名古屋市東区車道町二丁目二八番地

住居

同市千種区猫洞通二丁目二八番地

ヒルサイド猫ケ洞六〇一号室

会社役員

尾関擁一

昭和二四年一二月九日生

右の者に対する所得税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官武田みどり出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年及び罰金一、〇〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判が確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は愛知県名古屋市千種区猫洞通二丁目二八番地ヒルサイド猫ケ洞六〇一号室に居住し、同市東区筒井三丁目四番一四号において、「フアイナル尾関」の名称を用いて個人で遊技機リース業を営んでいたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、所得税の確定申告に際しては、所得金額に関する収支計算をせず適宜の金額を計上するところのいわゆる「つまみ申告」を行なう方法により、所得の全部又は一部を秘匿した上、

第一  昭和五八年分の実際の所得金額が二、二七一万三六〇円であり、これに対する所得税額が八二九万八、九〇〇円であるのに、リース収入の全部を除外するためゲーム機の仕入先に対し、自己への売上を除外するよう依頼するなどして所得を秘匿した上、所得税の確定申告期限である昭和五九年三月一五日までに名古屋市東区主税町三丁目一八番地所在の名古屋東税務署長に対し、所得税確定申告書を提出せず正規の所得税額八二九万八、九〇〇円を免れ

第二  同五九年分の実際の所得金額が三、三〇二万八、六六四円であり、これに対する所得税額が一、三九二万六、七〇〇円であるのに、同六〇年三月一四日、前記名古屋東税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一四四万円であり、これに対する所得税額が七万二、四〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、正規の所得税額との差額一、三八五万四、三〇〇円を免れ

第三  同六〇年分の実際の所得金額が四、九二八万九、五九一円であり、これに対する所得税額が二、三六五万三、三〇〇円であるのに、同六一年三月一四日、前記名古屋東税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二一八万円五、〇〇〇円であり、これに対する所得税額が一五万七、五〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、正規の所得税額との差額二、三四九万五、八〇〇円を免れ

もって、いずれも不正の行為により所得税を免れたものである。

(証拠の標目)

判示全事実について

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官及び大蔵事務官(一一通)に対する各供述調書

一  伊藤晴男の検察官に対する供述調書

一  大蔵事務官作成の昭和六二年七月一六日付、同月一七日付(二通)、同月二〇日付(甲第九号証、同第一一号証)、同月二一日付(同第一二号証)、同月二四日付(二通)及び同月三〇日付査察官調査書

同第一及び第三の事実について

一  大蔵事務官作成の同月二一日付(甲第一六号証)査察官調査書

同第一の事実について

一  鹿島久子の大蔵事務官に対する供述調書

一  大蔵事務官作成の脱税計算書(同第四号証)

一  前同作成の証明書(同第一九号証)

同第二の事実について

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(同第五号証)

一  前同作成の証明書(同第二号証、同第二〇号証)

同第三の事実について

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(同第六号証)

一  前同作成の証明書(同第三号証、同第二一号証)

(法令の適用)

一  判示所為 いずれも所得税法二三八条

一  刑種の選択 所定刑中懲役刑及び罰金刑選択

一  併合罪加重 刑法四五条前段、四七条、一〇条、四八条二項

一  換刑処分 同法一八条

一  刑執行猶予(懲役刑)

同法二五条一項

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 伊藤新一郎)

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