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名古屋地方裁判所 昭和63年(わ)1116号 判決 1988年9月14日

本籍

愛知県海部郡佐織町大字勝幡字塩畑二、五二〇番地

住居

右同

会社員

伊藤清隆

大正一五年六月六日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は検察官富山孝保出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年二月及び罰金二一〇〇万円に処する。

この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

右罰金を完納することができないときは、金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、愛知県海部郡佐織町大字勝幡字塩畑二、五二〇番地に居住し、同県同郡佐織町大字佐折字東川九五番地において、「丸越」の名称で体育衣料製造卸業を営んでいたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、所得税の確定申告に際しては、売上の一部を除外するなどの方法により、所得の一部を秘匿した上

第一  昭和五九年分の実際の所得金額が五八九七万九九一九円であり、これに対する所得税額が二九一七万三八〇〇円であるのに、同六〇年三月八日、愛知県津島市良王町二丁目三一番地の一所在の津島税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一八三八万二二八三円であり、これに対する所得税額が五三六万二五〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、正規の所得税額との差額二三八一万一三〇〇円を免れ

第二  同六〇年分の実際の所得金額が六二三四万一〇八〇円であり、これに対する所得税額が三一四五万一九〇〇円であるのに、同六一年三月七日、前記津島税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一七九三万七七九九円であり、これに対する所得税額が五三〇万二〇〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、正規の所得税額との差額二六一四万九九〇〇円を免れ

第三  同六一年分の実際の所得金額が五三四一万九八五六円であり、これに対する所得税額が二五七八万七五〇〇円であるのに、同六二年三月一二日、前記津島税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一三八〇万五一八〇円であり、これに対する所得税額が三三八万二四〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、正規の所得税額との差額二二四〇万五一〇〇円を免れ

もって、いずれも不正の行為により所得税を免れたものである。

(証拠の標目)

判示事実全部について

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書一〇通

一  被告人の検察官に対する供述調書

一  伊藤美代子、伊藤本章(二通)、塚本かおり、土井幸三郎、川合正一、林嘉子、近沢和夫及び堀田節子の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  伊藤本章の検察官に対する供述調書

一  石黒清、平野正行及び山河寛作成の各申述書

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書説明資料

一  大蔵事務官作成の昭和六二年一〇月一六日付二通(検甲一一、一二号証)、同月一九日付(検甲二二号証)、同月二一日付(検甲一〇号証)及び同月二二日付(検甲一六号証)各査察官調査書

一  大蔵事務官作成の証明書三通(検甲二〇、二一、四六号証)

判示第一の事実について

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(検甲七号証)

一  大蔵事務官作成の証明書三通(検甲三、一七、四三号証)

判示第二、第三の各事実について

一  大蔵事務官作成の同月一九日付査察官調査書(検甲二三号証)

判示第二の事実について

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(検甲八号証)

一  大蔵事務官作成の証明書四通(検甲四、一八、四四、四七号証)

判示第三の事実について

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(検甲九号証)

一  大蔵事務官作成の証明書三通(検甲五、九、一九号証)

(法令の適用)

被告人の判示第一、第二、第三の各所為は所得税法二三八条一項、二項に該当するが、懲役と罰金を併科すべく、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、懲役刑については同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第二の罪の刑に法定の加重をし、罰金刑については同法四八条二項により判示第一、第二、第三の各罪所定の罰金額を合算した、その刑期及び金額の範囲内で被告人を懲役一年二月及び罰金二一〇〇万円に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予し、右罰金を完納することができないときは、同法一八条により金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置することとする。

よつて、主文のとおり判決する。

(裁判官 杉山修)

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