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名古屋地方裁判所 昭和63年(わ)1256号 判決 1988年10月21日

本籍

愛知県一宮市今伊勢町本神戸字名栗一九五番地

住居

右同

会社役員

祖父江嘉幸

昭和一一年七月三日生

右の者に対する所得税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官石田一宏出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年二月及び罰金二四〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金一〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判が確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は愛知県一宮市今伊勢町本神戸字名栗一九五番地に居住し、同市今伊勢町本神戸字寺前四二番地において、「祖父江商店」の名称で繊維販売業を営んでいたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、所得税の確定申告に際しては、仕入の水増計上をするなどの方法により、所得の一部を秘匿した上、昭和六一年分の実際の所得金額が一億五一一七万九〇一七円であり、これに対する所得税額が九二三四万五四〇〇円であるのに、同六二年三月一六日、愛知県一宮市栄四丁目五番七号所在の一宮税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二四一一万五九円であり、これに対する所得税額が八二四万七二〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告署を提出し、正規の所得税額との差額八四〇九万八二〇〇円を免れ、もって、不正の行為により所得税を免れたものである。

(証拠の標目)(注) 括弧内の甲・乙算用数字は、各証拠書類一枚目表欄外に表記された検察官証拠請求番号

(略語) 検調書 検察官に対する供述調書

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書一二通(乙2ないし13)、検調書(乙14)

一  祖父江嘉七の検調書(甲6)

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(甲1)、証明書四通(甲2ないし5)

一  祖父江嘉七作成の上申書(甲7)

一  大蔵事務官作成の査察官報告書(甲8)、査察官調査書三通(甲9、10、11)

(法令の適用)

一  判示所為 所得税法二三八条一、二項

一  刑種の選択 懲役刑、罰金刑の併科

一  労役場留置 刑法一八条

一  懲役刑執行猶予

刑法二五条一項

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 前原捷一郎)

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