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名古屋地方裁判所 昭和63年(行ウ)37号 判決 1991年1月25日

原告

宮崎邦彦

平山良平

藤田宏子

右三名訴訟代理人弁護士

渥美裕資

被告

名古屋市人事委員会

右代表者委員長

河野昂

右訴訟代理人弁護士

冨島照男

中山信義

宮澤俊夫

主文

一  被告が昭和六三年八月一七日付けでした原告宮崎邦彦の同年七月二六日付け要求にかかる勤務条件に関する措置の要求のうち研修承認についてはこれを取り上げない、勤務を要しない時間の指定の撤回についてはこれを認めないとの判定は、これを取り消す。

二  被告が昭和六三年八月一七日付けでした原告平山良平の同年七月二一日付け要求にかかる勤務条件に関する措置の要求は取り上げないとの決定は、これを取り消す。

三  原告藤田宏子の請求を棄却する。

四  訴訟費用は、原告宮崎邦彦、同平山良平と被告との間においては、全部被告の負担とし、原告藤田宏子と被告との間においては、被告に生じた費用を三分し、その一を原告藤田宏子の負担とし、その余は各自の負担とする。

事実

第一  当事者の求める判決

一  請求の趣旨

1  主文一、二項同旨

2  被告が昭和六三年八月一一日付けでした原告藤田宏子の同年七月二六日付け要求にかかる勤務条件に関する措置の要求は取り上げないとの決定は、これを取り消す。

3  訴訟費用は被告の負担とする。

二  請求の趣旨に対する答弁

1  原告らの請求をいずれも棄却する。

2  訴訟費用は原告らの負担とする。

第二  当事者の主張

一  請求の原因

1(一)  原告宮崎邦彦(以下「原告宮崎」という。)は、昭和四四年四月一日名古屋市教育委員会から同市公立学校教員に任命され、昭和六〇年四月一日以降同市立志賀中学校に勤務するものである。

(二)  原告平山良平(以下「原告平山」という。)は、昭和四九年四月一日名古屋市教育委員会から同市公立学校教員に任命され、昭和五五年四月以降同市立名南中学校に勤務するものである。

(三)  原告藤田宏子(以下「原告藤田」という。)は、昭和五〇年五月一日名古屋市教員委員会から同市公立学校栄養職員に任命され、昭和六三年四月一日以降同市立高針小学校に勤務するものである。

2(一)  原告宮崎、同平山は、昭和六三年八月一二日から同月一七日までの間、南京大虐殺遭難同胞記念館を始めとする中国視察海外旅行(以下「「本件旅行」という。)への参加を計画し、いずれも同年七月一一日、原告宮崎は志賀中学校校長福岡嵩之に対し、原告平山は名南中学校校長成瀬賢爾に対し、それぞれ、右旅行は教育公務員特例法(以下「教特法」という。)二〇条にいう研修に該当するとして、同条二項に基づき本件旅行を研修として承認し、右旅行期間について原告らに職務に専念する義務の免除を与えることの申請をした。右福岡校長及び成瀬校長はいずれも、右申請に対し、研修としての承認、職務に専念する義務の免除をせず、本件旅行期間中の日について、勤務を要しない時間の指定を行った。

(二)  原告藤田は、昭和六三年八月一〇日から同月一二日までの間、全国学校給食を考える会、東京都学校給食栄養士協議会及び日本教職員組合主催「八八夏期学校給食学習会」(以下「本件学習会」という。)への参加を計画し、同年七月一四日、高針小学校校長近藤幸之に対し、右学習会への参加は、職務に専念する義務の特例に関する条例(昭和二六年名古屋市条例第八号、以下「職専免条例」という。)二条三号に基づく職務に専念する義務の免除基準に関する規則(昭和二六年名古屋市人事委員会規則第一三号、以下「職専免規則」という。)二条一六号にいう「市政又は学術等に関連する講演会、討論会及び公聴会等への参加」又は同条一七号にいう「職員の職務に関連する各種の集会又は会合への出席」に該当するとして、職務に専念する義務の免除を与えることの申請をした。右近藤校長は、右申請に対し、職務に専念する義務の免除をせず、本件学習会参加期間中の日について年次有給休暇扱いとした。

3  そこで、原告らは、被告に対し、地方公務員法(以下「地公法」という。)四六条に基づき、それぞれ以下の趣旨の措置の要求を行った。

(一) 原告宮崎は、昭和六三年七月二六日付けで、

(1) 志賀中学校校長は原告宮崎の本件旅行を研修として承認すること

(2) 同校長は本件旅行期間中の日である昭和六三年八月一二日、一三日、一五日ないし一七日について行った勤務を要しない時間の指定四・五日を撤回することを求める(以下「本件措置要求一1、2」という。)。

(二) 原告平山は、昭和六三年七月二一日付けで、名南中学校校長は同原告の本件旅行を研修として承認することを求める(以下「本件措置要求二」という。)。

(三) 原告藤田は、昭和六三年七月二六日付けで、高針小学校校長は同原告の参加する本件学習会が開催される同年八月一〇日から同月一二日までの期間について、職務に専念する義務を免除することを求める(以下「本件措置要求三」という。)。

4  これに対し被告は、

(一) 原告宮崎については、昭和六三年八月一七日、

(1) 本件措置要求一1は、地公法四六条に規定する勤務条件に関する措置の要求の対象となる勤務条件に該当するものとは認められないからこれを取り上げることができない

(2) 本件措置要求一2は、勤務を要しない時間を指定する権限は各校長にあり、志賀中学校校長が本件旅行を研修として承認しなかったという事情のもとにおいては妥当な措置であるからこれを認めることができないとの判定(以下「本件判定等一1、2」という。)

(二) 原告平山については、昭和六三年八月一七日、本件措置要求二は、地公法四六条に規定する勤務条件に関する措置の要求の対象となる勤務条件に該当するものとは認められないからこれを取り上げることができないとの決定(以下「本件判定等二」という。)

(三) 原告藤田については、昭和六三年八月一一日、本件措置要求三は、地公法四六条に規定する勤務条件に関する措置の要求の対象となる勤務条件に該当するものとは認められないからこれを取り上げることができないとの決定(以下「本件判定等三」という。)をした。

5  本件判定等一ないし三は、以下に述べるとおり法律の解釈を誤った違法なものであるから、いずれも取り消されるべきである。

(本件判定等一1、二及び三について)

(一) 措置要求の制度は、地公法が職員に対して労働組合法の適用を排除し、協約締結権及び争議権等の労働基本権を制限したことに対応して、職員の勤務条件の適正を確保するために、職員の勤務条件につき人事委員会又は公平委員会(以下「人事委員会等」という。)の適法な判定を要求し得べきことを職員の権利ないし法的利益として保障しようとするもの、すなわち、職員の労働基本権を制限する代償として設けられたものである。

このような制度の趣旨に照らすと、地公法四六条にいう勤務条件とは、一般の労使関係において団体交渉の対象とされ得る労働条件に関する事項一切を広く意味するものと解されなければならず、職員が地方公共団体に対し勤労を提供するについて存する諸条件で、職員が自己の勤務を提供し又はその提供を継続するかどうかの決心をするに当たり、一般的に当然考慮の対象となるべき利害関係事項を意味するものであり、職務に専念する義務の免除など職員の服務に関する事項もそれ自体が同時に勤務条件に関するものであれば措置要求の対象となるものである。

したがって、「勤務条件」を経済的地位の向上に関連した事項に限定することは根拠がなく、また、仮にそのように限定的に解したとしても、経済的地位という概念自体相対的なものであるから、本件の研修承認、職務に専念する義務の免除も、後記のとおり、経済的地位の向上に関連した側面を有するとみることができる。

(二) 職務に専念する義務の免除は、学校の管理運営事項としての側面を有するものであるが、一方において休暇や勤務時間の問題と類似する面がある。基本的には管理運営事項といわれるものの中にも多かれ少なかれ労働条件に影響を与えるものがあり、それらは労働条件にかかわりを持つ以上、管理運営事項の側面があっても、その労働条件性に基づいて措置要求の対象である勤務条件に該当するというべきである。

(三) 教特法二〇条二項は、校外での自主的研修を職務として保障した規定と解すべきである。なぜならば、教員はその職責を全うするために絶えず研究と修養に努めなければならないのであり、その研究は当該教員の担当する教育活動に直接関連する教育研究をするものであって、当該教員の職務内容に当然含まれるものであるからである。したがって、校外自主研修が職務行為である以上、単に職務に専念する義務が免除されるにとどまらず、旅費条例に基づく出張扱いとして公費旅費支給対象ともなり得るのであり、少なくともその意味で勤務条件性を具備する。

(四) 仮に、教特法二〇条二項を地公法上の職務に専念する義務の免除に関する特別規定と解しても、職務に専念する義務とは、地公法三五条にいう「その勤務時間及び職務上の注意力のすべてを職務遂行のために用いなければならない」義務をいうところ、これが免除される場合(在籍専従、厚生計画参加、公民権行使等)には、当該公務員は右義務から解放され自己の判断の幅を持った時間使用が許されるのであるから、職務に専念する義務の免除は休暇の問題と同質性を持つ。

本件を現実的にみても、研修承認、職務に専念する義務の免除は、年次有給休暇、勤務を要しない時間の問題と裏表の関係にあって、本件研修不承認の結果、原告宮崎及び原告平山は、本件旅行期間中の日は勤務を要しない時間の指定を受けたものであり、また、原告藤田は、職務に専念する義務の免除がされなかったため、年次有給休暇扱いとなったもので、研修承認、職務に専念する義務の免除が一面において休暇、勤務時間の問題であることは否定することができない。

(五) 教員から勤務時間内の校外自主研修承認申請がされた場合には、教特法が自主研修の機会を特に保障した趣旨に鑑みれば、校長は、授業に支障がなく、また、当該自主研修の内容が研修制度の目的を逸脱すると認められる場合でない限り、これを承認すべきである。右承認に校長の裁量的判断に委ねられるべき部分があるとしても、それは右に述べた限りにおいて認められるべきである。

原告宮崎及び原告平山が参加を計画した本件旅行は、その期間が学校の夏季休業中に当たり、授業への支障が存しないことは明らかであり、その内容は、南京大虐殺遭難同胞記念館、中国人民抗日戦争記念館の見学や記念館の職員との懇談等を通して、近代史を踏まえての中国その他アジア諸国民に対する日本のあるべき姿勢を知り、国際社会の中で日本の教育を展望する、あるいは日本社会の中での民族差別の廃絶に向けての学校教育のあり方についての問題意識を深めるといった教員の職責を遂行するための研究活動の一環であり、これが研修制度の目的を逸脱しないものであることは明らかである。

(六) 学校栄養職員の職務内容は、学校給食に関する基本計画の策定に参画すること、学校給食の食事内容及び児童生徒の食生活の改善に資するため必要な調査研究を行うこと、その他学校給食の栄養に関する専門的事項の処理に当たり、指導、助言又は協力することである。原告藤田が参加を計画した本件学習会は、「食の問題と子どもの健康を考える」という主題の下に開かれ、シンポジウム「教育としての学校給食」、講演「食べ物の選び方」「放射能と食べ物」「恐るべき食品汚染の裏側」等を内容としたものであり、右職務内容の遂行に必要不可欠であり、職専免規則二条一六号、一七号に該当するものであるうえ、その期間は夏季休業中で児童への影響は皆無である。

(本件判定等一2について)

(七) 勤務を要しない時間の指定は、四週六休制の一方式であり、教職員については、週休二日制の基本形を適用せず、夏季、冬季等の休業日に年間の勤務を要しない時間をまとめて指定する方式がとられている。しかしながら、右「まとめ取り方式」は、本来適当な間隔を置いて勤務を要しない時間を配置し、適正な勤務時間体制を採用しようとする四週六休制の趣旨に反するものである。そこで、制度趣旨に少しでも合致させるため、勤務を要しない時間の指定には最大限当該教職員の意思を反映させる運用がされており、名古屋市校長会と名古屋市教員組合との間の口頭確認事項でも、各学校長は教職員の意向を尊重して計画案を作成するが、学校運営上支障のないよう相互の理解を前提とするとされている。

現実の各学校の運用においても、各教員が夏季休暇期間中の予定表等の形式で勤務を要しない時間の希望を学校長に提出し、その希望どおり実現されている。

したがって、特段の学校運営上の理由がないのに、前記のとおり違法に研修申請を不承認としつつ、原告宮崎の意思に反して一方的に勤務を要しない時間の指定をした志賀中学校校長の措置は違法である。

よって、原告らは被告に対し、本件判定等一ないし三の取消を求める。

二  請求の原因に対する認否

1  請求の原因1(一)ないし(三)の事実は認める。

2  同2(一)、(二)の事実は認める。ただし、原告平山から、本件旅行を研修として承認するために必要な研修計画書を添付した「海外旅行について」(届け)が名南中学校校長へ提出されたのは昭和六三年七月一三日である。

3  同3(一)ないし(三)の事実は認める。

4  同4(一)ないし(三)の事実は認める。

5  同5は争う。

三  本件判定等の適法性に関する被告の主張

(本件判定等一1、二及び三について)

1  地公法四六条の趣旨についての原告の主張(請求の原因5(一)の第一段)はそのとおりであるが、右制度の趣旨及び同条が「給与、勤務時間」を例示していることに鑑みれば、措置要求の対象となる事項は、勤務の提供又はその継続の可否を決定するに当たって当然考慮の対象となるべき利害関係事項を広く指すものではなく、職員の経済的地位の向上に関連した事項に限られると解すべきである。

また、右のような制度の趣旨からすると、地方公共団体の事務の管理及び運営に関する事項は、措置要求の対象とはなり得ないものと解すべきである。ここに「管理運営事項」とは、地方公共団体の機関がその職務、権限として行う地方公共団体の事務の処理に関する事項であって、法令、条例、規則その他の規定及び議会の議決に基づき、地方公共団体の機関が自らの判断と責任において処理すべき事項をいうものであり、具体的には、地方公共団体の組織に関する事項、行政の企画、立案、執行に関する事項、職員定数及びその配置に関する事項、予算の編成に関する事項、懲戒処分、分限処分、職員の採用、退職、配置換え等具体的な任命権の行使に関する事項、職務命令に関する事項等が管理運営事項に当たる。もっとも、管理運営事項であっても、権限を有する機関が自らの判断で職員団体の意見を聴取し、その結果を参酌して事務を処理することまで否定すべきではなく、管理運営事項が労働条件と関連するものである場合には、むしろその方が適当であることが少なくないと考えられるが、その場合でも、最終的判断は権限を有する機関自らが行うべきものであって、他の機関の指示や勧告等によって影響を受けるべきではないから、いずれにせよ、管理運営事項は措置要求の対象には含まれない。なお、措置要求の対象となる勤務条件と管理運営事項とが密接に関連し、管理運営事項の処理によって勤務条件に影響が及ぶ場合があり得るが、その場合にも、管理運営事項そのものは措置要求の対象にはならず、管理運営事項の処理の結果影響を受けることがある勤務条件そのものにつき措置要求をすることができ、かつ、そうしなければならないと解すべきである。

2(一)  これを原告宮崎及び原告平山の研修承認についてみるに、同原告らは本件措置要求において、本件旅行への参加を職務に専念する義務の免除による研修として承認することを求めているものである。すなわち、現行法上、教育公務員の研修については、地公法三九条、教特法一九条、二〇条に規定があり、研修の方法としては、勤務時間外の自主的な研修、職務命令による研修、職務専念義務免除による研修の三種類があるところ、職務専念義務免除による研修は、教特法二〇条二項を根拠とする研修であり、同規定は職員に職務に専念する義務を課した地公法三五条の除外事由としての「法律の特別の定め」に該当し、本属長の承認があれば、右規定により直接に職務に専念する義務が免除されるものである。教特法二〇条二項は、教員が自発的な研修を受ける場合の服務上の特例を設けたものであって、教員に研修権を付与したものではない。同条項は、授業に支障がある場合には研修を承認することができないとして本属長たる学校長の承認権を拘束したものであって、授業に支障がない場合であっても、学校長は校務運営上の支障など諸般の事情を総合的に勘案して裁量により承認を行うかどうかを決めるべきものである。

(二)  研修とは、「職責を遂行するための研究及び修養」(教特法一九条一項)をいうものと解されるところ、教員の職務は、児童生徒を教育することであるから、研修の目的は、教員自身の能力を高め、その結果を児童生徒の教育に反映させることにあるから、原告宮崎及び原告平山の本件旅行を研修として承認することという事項は、同原告らの経済的地位の向上に関連した事項とはいえないのはもちろんのこと、勤務条件の意義をできるだけ広く解するとしても、原告らの給与、勤務時間等の待遇に影響を及ぼすべき利害関係事項ということはできず、地公法四六条にいう勤務条件に該当しないものと解するのが相当である。

(三)  また、研修の承認と管理運営事項との関係についてみるに、本属長は当該学校運営全般にわたりこれを総括する責務を有するところ、個々の教員の勤務場所における職務内容には、授業のほか他の学年学級との関連を考慮した教育課程の編成、右教育課程に基づく諸計画の立案、学級運営、課外の児童の生活指導、学校運営上の校務分掌に伴う各種業務があり、授業以外のこれらの校務運営上の支障を無視して研修を承認し職務に専念する義務の免除をすることはできないのであるから、教特法二〇条二項は、(一)で述べたとおり、本属長に、研修の承認に伴う授業以外の諸影響を教員の服務監督者の立場において比較考量させるための裁量判断権を付与しているものと解すべきである。したがって、本件旅行を研修として承認するか否かは、学校現場における諸事情を最もよく知り得る学校長のみが適切な判断をなし得るものであり、ここに学校における服務監督権者としての学校長の権限と責任があるのであって、管理運営事項そのものであるから、地公法四六条に規定する措置要求の対象にはならないというべきである。

3  次に、原告藤田の本件学習会に参加する日について、職務に専念する義務の免除をすることを内容とする措置要求についてみるに、その内容自体が同原告の経済的地位の向上に関連した事項とはいえないから、地公法四六条にいう「勤務条件」に関するものには当たらない。

また、職務に専念する義務が免除されるのは、公務優先という基本原則に対する例外であり、法律又は条例に特別の定めがある場合に限り、勤務時間及び職務上の注意力のすべてを職務遂行のために用いる義務が特例的に免除されるものであり(地公法三五条)、具体的には、労働基準法に基づく休暇、育児時間、地公法に基づく休職、在籍専従、適法な交渉への参加、条例に基づく厚生計画への参加など、その根拠を異にする種々の性質のものがある。本件学習会への参加は、職専免条例及び職専免規則に具体的に明文化されていないものであるところ、明文化されていない事項について、職務専念義務免除事由のいずれかに該当するか否かを判断することは、任命権者等の裁量に委ねられており、さらに、仮にいずれかの事由に該当するとしても、職務専念義務の免除を認めるか否かは、任命権者等が諸般の事情を考慮して判断すべきものである。したがって、原告藤田の要求事項は、学校における服務監督権者である学校長が自らの判断と責任において決定すべき管理運営事項であり、措置要求の対象となるものではない。なお、職務専念義務免除事由に該当すると判断された場合には、その結果として職務に専念する義務が免除されることがあるが、職務専念義務免除事由に該当するとの判断と結果としての職務に専念する義務の免除とは不可分一体をなすものであり、両者を分離して審査すべきものではないのであり、免除事由該当性についての判断が管理運営事項である以上、結果としての職務専念義務免除を含めてすべてが管理運営事項と解すべきである。

さらに、職務に専念する義務の免除と勤務条件である休暇とを比較すると、職務専念義務免除は公務優先という基本原則に対する限定的例外的特例であり、免除された理由目的の範囲内での行動が要請されるものであるのに対し、休暇は労働基準法等によって認められた労働者の基本的権利であり、原則として労働者の指定した日に与えられるべきであり、休暇中には全く自由な時間使用ができるのであって、両者は全く異なる制度である。したがって、ある程度自己の裁量をもって時間使用をすることが許されるという点で両者が類似しているからといって、右の点だけに着目して職務専念義務免除の問題は休暇と同様に勤務条件であると結論付けることはできない。

(本件判定等一2について)

4(一)  原告宮崎は、昭和六三年七月一一日、志賀中学校教頭を通して同校校長福岡嵩之(以下「福岡校長」という。)に対し、日程表を添付した海外旅行届を提出し、同年八月一二日から同月一七日までの六日間の中国(上海、南京、北京)旅行を研修として行きたいとの申出をした。福岡校長は、右日程表では万里の長城、玄武湖公園、中山陵見学など通常の観光旅行と異ならないものであったため、研修として何をし何を学ぶかを説明できる資料の提出を指導し、同年七月二二日までに原告宮崎から海外研修計画書等の資料が提出されたが、それらの資料をもってしても、数学を担当している同原告に本件旅行を研修として承認できるだけの内容を備えている資料とは認め難かったため、最終的に本件旅行を研修として承認しないことを決定し、同月二五日その旨を原告宮崎に伝えた。

(二)  勤務を要しない時間の指定は、「職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例」(昭和四二年愛知県条例第四号)に基づき、市町村立学校職員給与負担法一条及び二条に規定する職員について実施されている四週六休制の一方式である。右職員の四週六休制は、毎四週間につき名古屋市教育委員会が愛知県教育委員会の定める基準に従い、職員ごとに指定する二の土曜日等の勤務時間を勤務を要しない時間とすることをその基本形としているが、名古屋市立中学校の教諭の四週六休制については、その職務の特殊性によりこの方式により難いため、昭和六三年四月一三日付け六三教学教第一二五号名古屋市教育委員会教育長通知において、学校職員の勤務を要しない時間の指定に関する取扱要領で、愛知県教育委員会が定めた例を基準として、各校長が、毎五二週間につき勤務を要しない時間として指定される時間数が一〇四時間となるように、当該学校の夏季、冬季等の休業日における勤務時間を指定するものと定められている。したがって、勤務を要しない時間に関する決定権は各校長にあり、校長は四週六休制を校務に支障を与えることなく円滑に実施していくために、自らの判断と責任において学校運営上の観点から行うもので、指定に当たって教諭本人の希望を徴することが要件とされているわけではない。

(三)  志賀中学校においては、夏季休業中の勤務を要しない時間の指定をするに当たり、職員に出勤簿整理補助表の指定希望日に印を付けて提出させ、学校長が他の職員の指定希望日との競合などの調整を行い、原則として希望日に指定する方法で行ってきた。原告宮崎は、昭和六三年度夏季休業日には、勤務を要しない時間の指定希望日として、七月二五日などに印を付け、八月一二日、一三日、一五日ないし一七日を研修として職務専念義務免除の日として希望してきた。福岡校長は、原告宮崎の本件旅行参加を研修として承認しないことを決定したが、右旅行期間中の日について原告宮崎が年次有給休暇の請求をしていなかったため、本件旅行を実質的に可能にし、その旅行期間中の日の職務に専念する義務を免除し得る最善の方法として、当該旅行期間中の日について勤務を要しない時間の指定を行ったものであり、右事情のもとにおいては、福岡校長が本件旅行期間中の日について勤務を要しない時間の指定を行ったことは、合理性があり、妥当な措置といわなければならない。

よって、被告の本件判定等一ないし三はいずれも正当であって、その取消を求める本件請求は理由がない。

第三  証拠<省略>

理由

一請求の原因1ないし4の各事実については、いずれも当事者間に争いがない(ただし、同2(一)のうち、原告平山が名南中学校校長に本件旅行を研修として承認することを求める申請をした日が、昭和六三年七月一一日であったのか、同月一三日であったのかについては争いがある。)。

二そこで、まず、本件措置要求一1及び同二が地公法四六条にいう「勤務条件」に関するものであるか否かについて検討する。

1  憲法二八条は、同法二五条に定めるいわゆる生存権の保障を基本理念とし、勤労者に対して人たるに値する生存を保障すべきものとする見地に立ち、経済上劣位に立つ勤労者に対して実質的な自由と平等とを確保するための手段として団結権、団体交渉権及び争議権(いわゆる労働基本権)を保障した規定であるが、一般職に属する地方公務員すなわち職員については、地公法五五条二項及び三七条により労働組合法の適用が排除され、団体協約締結権及び争議権が否定されている。地公法四六条の趣旨は、右のとおり労働基本権を一部制限したことに対応して、職員の勤務条件の適正を確保するため、議会の議決による条例で定めることを基礎としつつ(同法二四条六項)、職員団体との交渉によって職員の意見を十分に聞くこととしてこれを補完するとともに(同法五五条)、職員の勤務条件につき人事委員会等の適法な判定を要求し得べきことを職員の権利ないし法的利益として認めることにより、保障を強化しているものである。すなわち、人事委員会等に対する措置要求の制度は、職員の労働基本権制限の代償として設けられたものである。

右制度趣旨に鑑み、地公法四六条にいう基本条件とは、職員が地方公共団体に対して自己の勤務を提供し、又はその提供を継続するか否かの決心をするに当たり、一般的に当然考慮の対象となるべき利害関係事項を意味するものであり、給与、勤務時間、休暇等職員がその勤務を提供するに際しての諸条件のほか、宿舎、福利厚生に関する事項等勤務の提供に関連した待遇の一切を含むものということができる。

2  管理及び運営に関する事項との関連について考察するに、地公法五五条三項は、地方公共団体の当局と職員団体との交渉事項について、「地方公共団体の事務の管理及び運営に関する事項は、交渉の対象とすることができない。」と規定するが、右規定の趣旨は、管理運営事項は法令に基づき権限を有する地方公共団体の機関が自らの責任で処理すべきものであり、これを私的利益のための団体である職員団体と交渉して決めるようなことがあれば、法治主義に基づく行政の本質に反すると考えられるところから、職員の勤務条件に関連する事項であっても、地方公共団体の管理及び運営に関する事項については団体交渉の対象とすることができないとしたものと解することができる。これに対し、人事委員会等は、給与、勤務時間その他の勤務条件、福利厚生制度その他職員に関する制度について研究を行い、その成果を地方公共団体の議会等に提出すること(地公法八条一項二号)、職員に関する条例の制定等に関し地方公共団体の議会等に意見を申し出ること(同三号)、人事行政の運営に関し任命権者に勧告すること(同四号)等の権限を有するものであり、人事委員会等は、措置の要求があったときはその判定の結果に基づいて当該事項に関し権限を有する地方公共団体の機関に対し必要な勧告をするものとされている(同法四七条)のであるから、人事委員会等が関与する地公法四六条の措置の要求においては、同法五五条三項にいう管理運営事項であるからといって、その一事により一切対象事項とすることができないと解する必然性はなく、管理運営事項に該当する場合であっても、同時に前記の意味における職員の勤務条件にも関連する事項については、措置要求の対象とすることができると解すべきである。

3  そこで、本件措置要求一1及び同二の場合について具体的に検討するに、原告宮崎及び原告平山は、各所属学校長が、同人らの本件旅行参加を教特法二〇条二項の研修として承認しなかったことを不服として、地公法四六条に基づき措置の要求をしたものである。原告らは、教特法二〇条二項は校外での自主的研修を職務として保障した規定と解すべきであり、校外自主研修が職務行為である以上、単に職務に専念する義務が免除されるにとどまらず、旅費条例に基づく出張扱いとして公費旅費支給対象ともなり得るのであるから、少なくともその意味で勤務条件性を具備すると主張する。しかしながら、教特法二〇条二項の前提となる同法一九条一項は、教育公務員が「その職責を遂行するため」に研究と修養に努める無限定の職業倫理的義務を負うことを規定しているが、職務の遂行として研究と修養を行うことを義務付けているわけではないのであり、職務命令により研修を行う場合は格別、その余の自主的研修を職務行為そのものと解することはできない。教特法二〇条二項の趣旨は、同項の文言並びに同法一九条及び二〇条一項との関係に照らし、教員の職務の特殊性に基づき、右無限定の倫理的研修義務に対応して、職務としての研修のほかに自発的な研修を奨励し、勤務時間中にもでき得る限り便宜を図るため、服務上の特例を設けたものと解すべきである。すなわち、地方公共団体の職員は、法律又は条例に特別の定めがある場合を除き、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、当該地方公共団体がなすべき責めを有する職務にのみ従事すべき義務、すなわち職務専念義務を負うものであり(地公法三五条)、一般の地方公務員については、条例の特別の定めとして「職務に専念する義務の特例に関する条例」が定められており、職務命令による研修以外の研修を勤務時間中に受けようとする場合には、この条例に基づき職務専念義務の免除を受ける必要があるのに対し、教員の場合には、教特法二〇条二項が地公法三五条にいう法律の特別の定めに該当するので、自ら行う研修であっても、本属長(学校においては校長)の承認があれば、条例の適用を待つまでもなく直接に教特法二〇条二項により職務専念義務が免除されるのである。

ところで、教特法二〇条二項の性格が右のようなものであるとしても、職務専念義務免除による研修は、勤務時間中の服務に関する事項であり、校長が右研修を承認するに当たっては、授業への支障にとどまらず、授業以外の児童生徒の生活指導、学校運営上の校務分掌等校務運営上の支障等をも考慮して判断しなければならないもので、これを承認する否かは学校の管理運営事項であるといわなければならない。しかしながら、管理運営事項であることによって当然に勤務条件性が否定されるものでないことは前記のとおりであるところ、教特法二〇条二項よる校外自主研修は、前記のとおり教員の職務そのものではないにもかかわらず、職務に専念する義務を免除され、通常は条例等により有給の扱いを受けて行うものであり、それ自体休暇と類似した性格を有するだけでなく、教員には倫理的なものとはいえ無限定の研修義務が課せられているのであるから、校長の裁量権の濫用により真に必要な研修が教特法二〇条二項の研修として承認されないときは、無断欠勤による処分を受けることなくこれを行うため、年次有給休暇を使用するか、勤務を要しない時間の指定を受けるかして実質的に休暇等を返上せざるを得ないことになるのであり、これらに鑑みると研修承認は管理運営事項であると同時に勤務条件と密接に関連する事項であるといわなければならない。

ところで、被告は、勤務条件と管理運営事項とが関連し、管理運営事項の処理によって勤務条件に影響が及ぶ場合には、管理運営事項の処理の結果影響を受けることがある勤務条件そのものにつき措置要求をすべきであり、管理運営事項そのものは措置要求の対象にならないと主張する。右は地公法五五条三項に関して、管理運営事項が勤務条件と密接に関連する場合に、交渉の対象になるか否かの問題として議論されているところであり、一般に、給与の改善は予算の編成と関連することが多く、職員に対する転任命令が職員住宅の支給と関係する場合があるが、予算の編成や転任命令は管理運営事項であり、その事務の処理自体は交渉の対象とすることはできないが、給与の改善又は職員住宅の支給は勤務条件であり、勤務条件である以上交渉の対象にすることができるとされている。しかしながら、勤務条件と管理運営事項とが表裏一体をなしており、かつそれ自体を問題とすることなく周辺の関連する勤務条件を措置要求の対象としてみても意味がない場合もあるのであり、本件はまさにそのような場合に該当するといえる。すなわち、原告宮崎及び原告平山の各所属学校長は、いずれも本件旅行を研修として承認せず、旅行期間中の日について勤務を要しない時間の指定を行ったものであり、右勤務を要しない時間の指定が勤務条件に当たることは明らかであるが、仮に原告宮崎及び原告平山の要求により、勤務を要しない時間指定の取消を勧告する旨の判定がなされ、所属学校長が右判定に従ったとしても、研修としての承認がなされない限り、同原告らは右旅行期間中の日について無断欠勤をしたことになってしまい、その目的を達することができないし、明示又は黙示の請求により年次有給休暇として取り扱われた場合には、勤務条件の側面から措置要求をすることは困難である。右のように勤務条件が管理運営事項と不可分一体をなしている場合、それが管理運営事項である以上、地公法五五条三項の団体交渉の対象にはならないと解さざるを得ないが、措置要求の制度については、それが労働基本権制約の代償として設けられたものであるからといって措置要求の対象事項を地公法上職員団体に認められた団体交渉事項に限定すべきいわれはないのであり、かえって、地公法五五条三項が前述のとおり行政上の公益目的から職員団体の交渉事項を制限したことに照らすと、その代償措置として、管理運営事項に属する勤務条件に関する事項を措置要求の対象とすることこそ措置要求制度の趣旨に合致するものである。

したがって、教特法二〇条二項による研修の承認に関しては、端的に研修承認自体を対象として措置の要求をすることができると解すべきである。

4  以上によれば、本件措置要求一1及び同二につき、地公法四六条に規定する勤務条件に関する措置の要求に該当しないとの理由でこれを取り上げないとした本件判定等一1及び同二は違法であり、取消を免れない。

三次に、原告宮崎の本件措置要求一2は、本件旅行期間中の日について福岡校長が勤務を要しない時間の指定をしたことを不服として、その撤回を求めているのであるが、右要求は福岡校長による本件旅行の研修不承認が違法であるとしてその承認を求める本件措置要求一1につき実質的な判定がなされることを前提とするものであることが主張自体から明らかである(前記研修承認と勤務を要しない時間の指定との表裏一体性)ところ、被告は本件措置要求一1を取り上げず、かつ、<証拠略>によれば、本件措置要求一2の判定をする際にも、福岡校長による研修不承認は所与のものとしてその当否については判断していないのであるから、判断過程に考慮すべき事項(研修不承認の相当性)の考慮を遺脱した瑕疵があり、本件判定等一1を取り消し実体判断に入ることを求める以上、本件判定等一2も取消を免れない。

四1  最後に、本件措置要求三が地公法四六条にいう「勤務条件」に関するものであるか否かについて検討するに、原告藤田は、本件学習会への参加が職専免規則二条一六号又は一七号に該当するとして、参加期間中の日について職務に専念する義務の免除の申請をしたのに対し、高針小学校長が右義務の免除を与えなかったことを不服として、地公法四六条に基づき措置の要求をしたものである。ところで、職専免条例及び職専免規則によれば、職務専念義務の免除事由には、「生後満一年に達しない生児のほ育」(職専免規則二条七号)、「傷病の療養」(同八号)のように、通常、休暇に関する条例においても特別休暇や療養休暇として定められるもの、「厚生に関する計画の実施に参加する場合」(職専免条例二条一号)のように実質的には休暇と変わりないものから、「市長の指定する団体の業務に、職員の職務に関連して従事する場合」(同二号)のように本来の職務に専念する義務が免除されるにとどまり、休暇とは全く性質を異にするものまで種々雑多なものが含まれている。したがって、職務専念義務の免除については、免除事由ごとに個別に勤務条件に当たるか否かの判断をしなければならず、職務専念義務の免除が勤務時間中の服務に関する事項であり、これを承認するか否かの判断が必然的に公務の管理及び運営に関連するからといって、当然に勤務条件に当たらないということにはならないと同時に、職務専念義務の免除がされた場合、職員は勤務時間中であっても、その勤務時間及び注意力のすべてを職責遂行のために用いて職務に従事すべき義務から解放され、職務上の上司の直接の監督から離れ、免除がされた目的の範囲内において一定の裁量の幅をもって時間使用することが許され、多くの場合実質的に休暇又は勤務を要しない時間の指定がなされた場合と大差がないことになるからといって、職務専念義務の免除がすべて勤務条件に当たると解することはできない。

2  そこで、職専免規則二条一六号及び同一七号についてみるに、同条一六号は「市政又は学術等に関連する講演会、討論会及び公聴会等への参加」、一七号は「職員の職務に関連する各種の集会又は会合への出席」であり、職務と関連した又は職務の遂行に資する会合等への出席参加に関する規定と考えられ、先に二1で述べた勤務条件の定義に照らし、右規定に基づく職務専念義務の免除自体を勤務条件と解することは困難である。さらに、昭和六一年三月一三日文部省体育局長通知文体給第八八号によれば、学校栄養職員の職務内容として、「学校給食の食事内容及び児童生徒の食生活の改善に資するため、必要な調査研究を行うこと」「その他学校給食の栄養に関する専門的事項の処理に当たり、指導、助言又は協力すること」が含まれており、同年九月一日名古屋市教育長通知六一教学体第二二一号においても、名古屋市学校栄養職員の職務内容の一つとして調査研究等が挙げられ、その中に「し好調査、残量調査及び家庭の食事調査等、必要に応じて調査研究を行うこと」「調理、献立について研究改善に努めること」が含まれているが、教育公務員と異なり、学校栄養職員には無限定の研修義務が課せられているわけではないから、校長の裁量権の濫用により職務に専念する義務が免除されなかったとしても、必然的に年次有給休暇を使用するか、勤務を要しない時間の指定を受けるかして実質的に休暇等を返上せざるを得ないことになるとまではいえないのであり、職専免規則二条一六号、一七号による職務専念義務の免除が勤務条件と密接に関連するとまではいえない。

3 したがって、本件措置要求三において原告藤田が求めた職務専念義務の免除の問題は、もっぱら学校の管理及び運営に関する事項であって、地公法四六条の勤務条件に関する事項とはいえず、措置要求の対象になるものではないから、地公法四六条に規定する勤務条件に関する措置の要求に該当しないとの理由でこれを取り上げないとした本件判定等三は違法なものとは認められない。

五結論

以上説示したところによれば、原告宮崎及び原告平山の本訴請求はいずれも理由があるからこれを認容し、原告藤田の本訴請求は理由がないからこれを棄却し、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条、九二条本文を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官清水信之 裁判官遠山和光 裁判官後藤眞知子)

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