大判例

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名古屋地方裁判所一宮支部 事件番号不詳 判決

主文

被告丹羽精麦株式会社を罰金拾万円に

被告人吉田友信を懲役拾月及罰金弐万円に

被告人山田保を罰金壱万円に処する

但し被告人吉田友信に対する懲役刑に付ては本裁判確定の日より弐年間執行を猶予する

被告人吉田友信山田保に於て右の罰金を納めることが出来ないときは金二百円を壱日に換算した期間当該被告人を労役場に留置する

被告人吉田友信に対する公訴事実中押麦参拾俵及玄小麦拾壱俵(拾五俵の内)を業務上横領の点は無罪

理由

被告丹羽精麦株式会社は愛知県丹羽郡扶桑村柏森戸白百四十六番地に営業所を有し政府よりの主要食糧の委託加工を業とするもの被告人吉田友信は右被告会社の代表取締役にして同会社の業務一切を主宰し居るもの被告人山田保は大日本紡績株式会社の用度掛であるが何れも法定の除外事由がないのに拘らず

第一被告会社及被告人吉田友信は

(イ)昭和二十二年十二月頃被告会社の営業所に於て愛知県丹羽郡犬山町大字上野字前川田千二百四十五番地高木明に対し同二十年八月十五日以降輸入された主要食糧である雑穀マイロ(モロコシ)二十九俵(一俵五十瓩入)を代金四万三千五百円にて売却し

(ロ)同二十三年二月十九日頃前記場所に於て愛知県丹羽郡羽黑村大字羽黑字二日町三十九番地宮地賢市に対し同二十年八月十五日以降輸入された主要食糧である雑役マイロ(モロコシ)三十六俵(一俵五十瓩入)を代金五万四千円にて売却し

第二 被告人吉田友信は

(イ)昭和二十三年二月十八日頃被告会社の営業所に於て愛知県丹羽郡大口村大字豊田字西屋敷十九番地社本精麦所事社本〓郞に対し業務上自己の保管に係る政府所有の玄小麦四俵(一俵六十瓩入)をマイロ三十六俵の担保として入質横領し

(ロ)同二十二年十二月四日頃前同所に於て愛知県丹羽郡犬山町大字犬山字北天神一番地大日本紡績株式会社用度係山田保に押麦三十俵(一俵五十瓩入)を公定価格合計金一万九千五十円(統制額正味十瓩当百二十七円と指定)より金一万九百五十円を超過した代金三万円にて売却し

第三 被告人山田保は

前記日時場所に於て大日本紡績株式会社の業務に関して右吉田友信より前示の如く押麦三十俵(一俵五十瓩入)を公定価格合計金一万九千五十円(統制額は正味十瓩当百二十七円と指定)より金一万九百五十円超過した代金三万円にて買受け

たものである。

右の事実は

一、被告人等の当公判廷に於ける供述

一、証人後藤史朗広瀨昇の当公判廷に於ける証言

一、被告人吉田友信に対する検察官及司法警察官の聴取書中判示に照応する旨の陳述記載

一、被告人山田保に対する司法警察官の聴取書中判示に照応する旨の陳述記載

一、高木明に対する司法警察官の聴取書中判示に照応する旨の陳述記載

一、社本〓郞に対する検察官及司法警察官(第二回)の聴取書中判示に照応する旨の陳述記載

一、後藤史朗、松永忠生に対する検察官の聴取書中判示に照応する旨の陳述記載

一、被告人吉田友信提出の販売顛末書(二通)

一、高木明、宮地賢市提出の始末書

一、社本〓郞、後藤史郞、長谷川正治提出の上申書

一、愛知食糧事務所長桑原信雄提出の被害上申書(二通)

一、加藤捨一提出の上申書及貨物運送状写

を綜合してこれを認めることが出来る

法律によると判示所為中被告丹羽精麦株式会社及被告人吉田友信の判示第一の点は食糧管理法第九条第三十一条(被告会社に対しては同法第三十七条を適用)同法施行令第十条に被告人吉田友信の判示第二の(イ)の点は刑法第二百五十三条に被告人吉田友信の判示第二の(ロ)の点及被告人山田保の判示第三の点は物価統制令第三条第四条第三十三条昭和二十二年十一月一日物価庁告示第九百六十一号に夫々該当するのであるが被告丹羽精麦株式会社の食糧管理法違反罪に付ては所定刑中罰金刑を選択し右は刑法第四十五条前段の併合罪であるから同法第四十八条第二項を適用し其の罰金額の範囲内に於て被告会社を罰金拾万円に処し被告人吉田友信の食糧管理法違反罪及物価統制令違反罪に付ては何れも情状により懲役及罰金を併科するを相当と認め食料管理法第三十四条物価統制令第三十六条を適用し同人の判示各所為は刑法第四十五条前段の併合罪であるから懲役刑については同法第四十七条第十条により犯情の重いと認められる判示第一の(イ)の罪の刑の法定の加重を為し罰金刑については同法第四十八条第二項を適用し其の刑の範囲内に於て同人を懲役拾月及罰金二万円に処し被告人山田保の物価統制令違反罪に付ては所定刑中情状により罰金刑を選択して其の罰金額の範囲内に於て同人を罰金一万円に処し被告人吉田友信の懲役刑に付ては諸般の情状に鑑みて執行を猶予するを相当と認め刑法第二十五条に則り、本裁判確定の日から二年間執行を猶予し被告人吉田友信同山田保に於て右の罰金を納めることが出来ないときは同法第十八条により金二百円を一日に換算した期間当該被告人を労役場に留置する

次に本件公訴事実中被告人吉田友信は

(一)昭和二十二年十二月四日頃前示被告会社の営業所に於て愛知県丹羽郡犬山町大字犬山字北天神一番地大日本紡績株式会社用度係山田保に対し政府より委託を受け業務上自己の保管に係る押麦三十俵(一俵五十瓩入)を代金三万円にて売却横領したとの点

(二)判示第二の(イ)の日時場所に於て社本〓郞に対し業務上保管に係る政府所有の玄小麦十五俵(一俵六十瓩入)をマイロ三十六俵の担保として入質横領したとの点の内玄小麦十一俵

に付ては何れも犯罪の証明が十分でないので旧刑事訴訟法第三百六十二条刑事訴訟法施行法第二条に則り此の点については無罪の言渡をしたのである

よつて主文の如く判決した次第である(昭和二四年四月二二日名古屋地方裁判所一宮支部)

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