名古屋地方裁判所半田支部 昭和51年(ワ)11号 判決 1977年9月21日
主文
一 被告は、原告に対し、別紙目録記載の土地につき、愛知県知事に対する農地法三条所定の許可申請手続をなし、右許可があつたときは、その所有権移転登記手続をせよ。
二 原告の売買契約確認を求める訴はこれを却下する。
三 訴訟費用は被告の負担とする。
事実
第一 当事者双方の求める裁判
一 原告
主文一項、三項と同旨の判決及び被告は昭和三五年三月二五日別紙目録記載の土地を原告に対し売渡したことを確認する。
二 被告
請求棄却並びに訴訟費用原告負担の判決
第二 請求の原因
一 原告は、昭和三五年三月二五日、被告から当時訴外相羽栄の所有であつた左記の土地を金一、〇三〇、一〇〇円で買受け、当日金三〇〇、〇〇〇円の内金を支払い、残額七三〇、一〇〇円は所有権移転登記手続完了と引換えに支払うこととした。
記
1 常滑市金山字西浜三八番
田 八畝一七歩(八四九平方メートル)
2 同所三九番
田 一五歩(四九平方メートル)
3 同所四〇番
田 三畝二歩(三〇四平方メートル)
4 同所四一番
畑 三畝一六歩(三五〇平方メートル)
その後右土地は換地処分により
常滑市金山字西浜一四八番一
畑 一、二八〇平方メートル
となつた。
二 その後の昭和三六年三月一五日に至り、被告は訴外相羽栄から前項の土地を代金九六〇、〇〇〇円、手付金(内金)一〇〇、〇〇〇円、残金八六〇、〇〇〇円は所有権移転登記手続と引換えに支払うという約旨で買受けた。
三 訴外相羽栄らは、前項の売買につき昭和三六年五月一五日農地法三条の規定による許可申請書を愛知県知事に提出し、同年七月二八日右所有権移転の許可があつた。
四 ところが、訴外相羽栄は、被告に対し、買取価額の増額を求めて右所有権移転登記手続をなさず、そのまま昭和四二年六月一八日死亡した。
五 そこで、被告は、昭和四三年五月一八日当庁に、訴外相羽栄の相続人四名を共同被告として、二項記載の土地の共有持分につき、所有権移転登記手続を求める訴訟を提起した。
六 そして、控訴審の名古屋高等裁判所に係属中の昭和五〇年三月六日左記調停が成立した。
記
1 訴外相羽栄の相続人四名は、第一項記載の土地のうち、甲部分(別紙物件目録記載の土地、別紙図面参照)が昭和三六年三月一五日相羽栄から被告に有効に売却されたことを確認し、右相続人四名は被告に対し右甲部分が被告の所有に属することを認める。
2 被告は、右相続人四名に対し、第一項記載の土地のうち乙部分(第一項記載の土地から別紙物件目録記載の土地を除いた部分、別紙図面参照)が右相続人四名の共有に属することを認める。
3 右相続人四名は、第一項記載の土地を甲部分と乙部分に分筆したうえ、被告に対し、昭和五〇年四月三〇日かぎり甲部分につき昭和三六年三月一五日付売買を原因とする所有権移転登記手続をする。
以下略
七 かくして、被告は、第一項記載の土地のうち、甲部分すなわち別紙物件目録記載の土地(以下本件土地という)を自己の所有にした。
八 原告は、昭和五〇年五月五日、被告宅において、被告に対し残代金七三〇、一〇〇円を提供したがこれが受領を拒否されたので、昭和五二年一月二二日名古屋法務局半田支局に右金員を供託した。
九 よつて、原告は被告に対し、請求の趣旨記載の判決を求める。
第三 請求原因に対する答弁
一 請求一項の事実は否認する。
但し、被告は当時、原告の実父訴外竹内豊義から金三〇〇、〇〇〇円を受取つたことはあるが、右は、被告が訴外相羽栄から同項記載の土地を買受けるに際し、資金の余裕がなかつたため右竹内豊義から借受けたものであつて、原告主張のように土地売買代金の内金として受領したものではない。
二 請求原因二ないし八項の事実は認める。
第四 証拠(省略)
(別紙)
目録
愛知県常滑市金山字西浜壱四八番壱
畑 八〇八平方メートル
(別紙)
<省略>
甲部分ABCGHAの各点を結んだ線で囲れた部分
乙部分CDEFGCの各点を結んだ線で囲れた部分