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名古屋家庭裁判所 平成13年(少ロ)1号 2001年1月22日

主文

本件については、補償しない。

理由

1  当裁判所は、平成13年1月22日、本人に対する平成12年(少)第5193号窃盗・傷害保護事件において、送致された事実のうち、1件の傷害(以下「本件傷害」という。)の事実を認定した上、本人を名古屋保護観察所の保護観察に付する旨の決定をするとともに、平成12年8月19日の窃盗の事実(以下「本件窃盗」という。)については、その事実が認められないことを理由として、本人を保護処分に付さない旨の決定をした。

同保護事件及び抗告事件の記録によれば、本人は、平成12年10月2日、強盗致傷の被疑事実(本件傷害及び本件窃盗の事実を併せて強盗致傷としたものであり、本件傷害及び本件窃盗の事実と公訴事実の同一性の範囲内にあるものと認められる。)に基き通常逮捕され、同月4日、上記強盗致傷の事実に基き勾留され、同月13日、名古屋家庭裁判所岡崎支部において、本件傷害及び本件窃盗の事実に基き観護措置を受け(同月19日に更新)、少年鑑別所に収容され、同年11月7日、中等少年院送致決定(特修短期処遇勧告)を受けて、同年12月5日まで中等少年院に収容されたことが認められる。

2  そこで検討すると、上記身柄拘束は、抗告審及び差戻後の審判においても存在が認められた同年(少)第5193号事件の傷害の事実をも理由として行なわれたものであり、同事件の記録によれば、本件傷害の事実だけでも、前記身柄拘束がされていたことは明らかである。 3 よって、少年の保護事件に係る補償に関する法律3条2号に該当するので同条本文により本人に対し補償の全部をしないこととし、同法5条1項により主文のとおり決定する。

(裁判官 細野なおみ)

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