名古屋家庭裁判所 平成8年(家ロ)1011号 1996年9月19日
主文
本件申立てを却下する。
理由
1 申立の趣旨
相手方は、本案の審判確定までの間、申立人に対して、申立人と未成年者とを、毎週1回面接させる。
2 当裁判所の判断
(1) 本件記録及び本案事件の記録によれば、次の事実が認められる。
<1> 申立人と相手方は、平成2年7月26日、婚姻の届出をして夫婦となり、平成3年12月24日に長男ジェド豪シェパード(以下「未成年者」という。)が生まれた。
<2> しかし、申立人と相手方は、婚姻後次第に不仲になり、相手方は、平成8年1月27日、申立人に対して離婚の意思を表明して、未成年者を伴い申立人の住居を出て、現在の住所において居住している。
<3> 申立人は、平成8年5月18日、当裁判所に、本件相手方を相手方として、夫婦関係調整(B)の調停申立をなし、未成年者との面接を強く主張し、同調停が係属中の同年7月17日に当裁判所に、本件相手方を相手方として、面接交渉の調停申立をなし、併せて本件審判前の申立をなした。
<4> 相手方は、現在、稼働しながら未成年者を監護養育しているが、申立人が日頃未成年者の監護養育に殆ど関与せず、精神的に不安定であり、虚偽の事実を主張するなど、信用できないなどの理由で、現段階で、申立人が未成年者と面接することを強く拒否している。
<5> 申立人は、現在イギリスに帰国している。
(2) 以上認定の事実に基づいて検討すると、申立人が未成年者との面接を強く希望していることが窺われるものの、上記のとおり父母が対立する状況のもとで、未成年者が現在別居している親と面接することは、その円滑な実施が望めず、かつ未成年者に心情的な混乱を与えるなど悪い影響を及ぼす虞があると考えられ、相当でなく、かつ本案の審判がなされる前に、上記のように事実上相手方によって監護養育されている未成年者と申立人が面接をしなければならない必要性があるとは認められない。
3 よって、本件申立を却下するものとして主文のとおり審判する。