名古屋家庭裁判所 昭和45年(少ハ)23号 決定 1970年11月04日
本人 K・O(昭二四・七・二一生)
主文
本人の収容を継続しない。
理由
本件申請の要旨は、「本人は昭和四三年一二月一九日名古屋家庭裁判所において特別少年院送致の決定を受けて、愛知少年院に収容され、昭和四四年一二月二二日収容継続の決定を受け、その後精神病質兼心気症および自傷行為の診断がなされたため昭和四五年三月一一日宮川医療少年院へ移送され、同年八月一八日期間満了の予定となつていたものであるが、性格の矯正は未だ完了せず、家庭の保護態勢が不十分なうえ、交友関係特に組織暴力団との絶縁ができていない等の理由により、更に院内教育を続ける要が認められるため、満期より一ヶ年の収容継続の必要がある。」というものである。
ところで少年は昭和四五年五月一九日同院を逃走し、目下所在不明の状態にあるが逃走後組織暴力団である名古屋市の○○組、○組に立ち寄り、同組員○武○が少年を同行したまま行方をくらまし、その後家庭にも何ら音信はなく、相当の期間内に本人を復院させる可能性があるものとは認められない。
本件社会記録によれば、本人の矯正教育を継続すべき必要性は認められるが、本件申請の相当性は少年が少年院に在院するか、復院の可能性があつて適切な矯正教育を継続しうる見通しのある場合であることを当然の前提としてはじめて肯定されるものと考えられる。然るに前記の如く復院のめどがたたない以上、収容を再度継続する相当性も認められず、継続の期間の判断もなしえない。
従つて本人について再度の収容継続を求める本件申請は理由がないものと思料し主文のとおり決定する。
(裁判官 柄多貞介)