名古屋家庭裁判所 昭和58年(少)7812号 決定 1983年12月16日
少年 S・A(昭四四・二・二四生)
主文
少年を初等少年院に送致する。
理由
(非行事実)
非行事実は、検察官作成の送致書(編略)記載の犯罪事実及び司法警察員作成の昭和五八年九月二二日付少年事件送致書(編略)、同年一一月二一日付追送致書(編略)記載の犯罪事実のとおりであるので、ここにこれを引用する。
(適条)
検察官作成の送致書記載の事実につき
刑法二〇四条、六〇条、暴力行為等処罰に関する法律一条、刑法二〇八条
司法警察員作成の昭和五八年九月二二日付送致書記載の事実につき
毒物及び劇物取締法三条の三、二四条の三、同法施行令三二条の2、刑法六〇条
司法警察員作成の同年一一月二一日付追送致書記載の事実につき
刑法二三五条、六〇条、同法二四三条、二三五条、六〇条
(処遇理由)
少年は中学入学後、二年生の第二学期(昭和五七年一〇月)に愛知県海部郡○○町の○○中学校から名古屋市○○区の○○中学校に転校したが、転校後、学校生活に馴染めず、不良生徒と親和し、三年生に進級してからシンナー吸入、校内の器物損壊など問題行動を起し、昭和五八年八月二九日に当庁で不処分、同年九月二七日不開始の決定を受けた。
ところが、上記決定後も、問題行動が止まず、本件暴力行為の共犯者○○○らと学校内で不良グループを作り、授業を受けず、下級生などを威嚇し、教師に反抗していた。
少年らに対しては学校、家庭から様々な指導が試みられたが、少年らが全くこれを無視し、従う意思がないため徒労に帰した。
少年の知能はIQ=100で普通域にあるが、自己統制力に乏しく刺激に対し情緒を乱し、緊張が持続しにくい少年である。
保護者は、健全であるが、母親は少年に対し期待が過大であるため、過干渉となり、少年の情緒不安定の要因となつている。
しかし、少年の非行性は比較的に軽く、短期間の教育で効果が生ずると考えられる。
本件非行は校内暴力事件であり、結果も重大であることから、他生徒に及ぼす影響が大きく、さらに、非行集団がすでに固着化しており、少年もそのリーダーの一員として活動していたことから、このまま在宅処分とすることは出来ない。
現況では、施設収容による矯正教育が必要であるが、少年の資質と、保護者の協力、学校の受け入れ協力などを勘案すると、少年に対しては、初等少年院に送致し、一般短期の処遇に復学課程を導入して矯正を試みることが、その健全育成に相当であると思料される。
よつて、少年法二四条一項三号、少年審判規則三七条一項を適用し、主文のとおり決定する。
(裁判官 坂井宰)
処遇勧告書<省略>