名古屋高等裁判所 事件番号不詳 決定
主文
本件を最高裁判所に移送する。
理由
被告人小島孝行弁護人天羽智房の上告趣意第一点、同佐藤常弥弁護人竹下伝吉の上告趣意は、原審が本件被告人両名の所為を金融緊急措置令第一条第一項(第三条第二項)同令施行規則第一条(第六条第五号(乙)昭和二十一年二月大蔵省告示第二十六号)同令第十一条に該当すると為し同人等に対し有罪の判決をしたのは法令の解釈適用を誤つたものであると主張するのである。依つて按ずるに原審が被告人両名の所為を金融緊急措置令違反に問擬したのは従来の大審院が為した判決(昭和十一年二月十四日判決、大審院判例集刑事十五卷一一九頁参照)の趣旨に則り所謂刑法上間接正犯を以て論ずべきものと解釈したのに他ならない。然し当裁判所は金融機関でない被告人等は金融緊急措置令違反罪の直接正犯となり得ないものであるから犯罪事実の認識なき金融機関を利用して右措置令違反の結果を招来せしめても間接正犯となり得ないものと解する意見(大審院刑事判例集一巻二〇〇頁参照)を有するものであるから、本件上告事件は日本国憲法の施行に伴う刑事訴訟法の応急的措置に関する法律第十五条高等裁判所上告事件移送規則第二号に依り之を最高裁判所に移送することとする。
仍て主文の通り決定する。(昭和二三年一一月三〇日名古屋高等裁判所刑事第二部)