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名古屋高等裁判所 事件番号不詳〔3〕 判決

主文

被告人を懲役壱年及び罰金千円に処する。

右罰金を完納し得ないときは金五拾円を壱日に換算した期間同人を労役場に留置する。

被告人が昭和二十三年六月十九日頃長男利昭(当時十四年)をして吉田栄一保管の中古自動車中袋二本を盜ませてこれを窃取したとの公訴事実については被告人は無罪。

理由

被告人は、

第一、左記の各日時頃岐阜県大垣市馬場町自動車タイヤー等修理業吉田栄一方の見習工である上田畠根(当時十七年)山田茂(当時十五年)の両名に対し被告人の肩書居宅において又は右吉田方作業場附近で同人等の帰途を擁して同作業場から自動車の中袋等を盜んで来いと使嗾し同人等をして右窃盜の決意をさせ同作業場から

(一)昭和二十三年四月下旬頃右吉田栄一保管の中古自動車中袋一本を

(二)同年同月末頃右同人所有の練ゴム生地約六百匁を

(三)同年五月上旬頃同様の練ゴム生地約一貫匁を

(四)同年同月十一日頃右同人保管の中古自動車中袋二本を

(五)同年同月末頃同様の同中袋二本を

(六)同年六月初頃同様の同中袋二本を

(七)同年同月十日頃同様の同中袋三本を

各窃取させていずれもこれを教唆し、

第二、前記の各日時頃七回に亘り肩書居宅において右上田、山田の両名より同人等が右の如く窃取した中古自動車中袋計十本及び練ゴム生地計約一貫六百匁を右窃取の都度いずれもその盜賍品であることを知りながら代金合計約千弍百円で各買受けてこれが故買を為し

たものである。

(証拠説明省略)

法律に照すと被告人の所為中判示第一の各窃盜教唆の点は各刑法第二百三十五条第六十一条第一項に該り、判示第二の各賍物故買の点は犯罪時法によれば各刑法第二百五十六条第二項に判決時法によれば同法第二百五十六条第二項罰金等臨時措置法(昭和二十三年十二月法律第二百五十一号)第二条第三条に該り犯罪後の法律に因り刑の変更があつた場合であるから各刑法第六条第十条に則り右新旧両者を比照してその軽い犯罪時法を適用すべく、被告人に前示の前科があるので刑法第五十六条第五十七条により右各罪の懲役刑に再犯加重をし、以上は同法第四十五条前段の併合罪であるから同法第四十七条第十条第四十八条第二項に従い犯情の最も重い右最後の中袋三本の賍物故買の罪の所定懲役刑に同法第十四条の制限に従い法定の加重をした刑期及び右各賍物故買の罪の所定罰金合算額の範囲内で被告人を懲役一年及び罰金千円に処し、刑法第十八条に則り右罰金を完納し得ないときは金五十円を一日に換算した期間同人を労役場に留置すべきものとする。

本件公訴事実中被告人が昭和二十三年六月十九日頃長男利昭(当時十四年)を使嗾し同人をして前記吉田栄一方作業場において同人保管の中古自動車中袋二本を盜ませてこれを窃取したとの事実についてはその証拠十分でなく結局犯罪の証明がないことに帰するので刑事訴訟法施行法第一条旧刑事訴訟法第三百六十二条により右の点につき無罪の言渡をなすべきものとする。

仍て主文の如く判決する。(昭和二五年三月二〇日名古屋高等裁判所刑事第三部)

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