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名古屋高等裁判所 平成元年(ネ)503号 判決 1990年3月13日

控訴人(原告)

藤吉良三

被控訴人(被告)

松村謙二

ほか二名

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

控訴人は、「原判決を取り消す。被控訴人らは各自控訴人に対し、金二〇〇〇万円を支払え。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人らの負担とする。」との判決を求め、被控訴人らは主文同旨の判決を求めた。

当事者双方の主張は、次に付加するほか、原判決の事実摘示のとおりであり、証拠関係は、原審及び当審訴訟記録中の証拠に関する目録記載のとおりであるから、これらを引用する。

1  原判決四枚目裏初行目の「支払う」の後に「、当事者双方は本件事故に関して以後お互いに何らの請求もしない」を加える。

2  控訴人の主張として、次のとおり加える。

「控訴人の現在の症状は、頭、目の痛み、視力、聴力の低下があり、また、顔が腫れ、首はリンパ腺が腫れてしこりとなり、硬直していて廻らず、首から喉への筋肉も硬化して激痛があり、常時口中にシビレを生じ、これにより首の動きが悪くなるばかりでなく、神経を刺激し、腱硬骨の辺りの痛み、腰痛、足の裏への神経痛となつており、しかも、これらが今後もますます悪化していくのに対し、控訴人としては、マツサージ、ハリ等の気休め程度のリハビリ治療に頼るしかない状態である。

控訴人に生じている右の後遺障害による各症状は、車間距離を取らずに運転し、赤信号にもかかわらず、「行くだろうと思つた」といういい加減な被控訴人松村の運転に起因するものであるから、被控訴人らは控訴人に対し、控訴人が死亡するに至るまでの損害賠償として、少なくとも二〇〇〇万円の支払をなすべきである。」

理由

当裁判所も、控訴人の本訴請求は失当として棄却すべきものと判断するが、その理由は、次に付加するほか、原判決の理由説示のとおりであるから、これを引用する。

1  原判決六枚目裏九行目の「支払う」の後に「、当事者双方は本件事故に関して以後お互いに何らの請求もしない」を加える。

2  同六枚目裏一〇行目の次に、行を改めて、「右事実によれば、被控訴人松村との関係においては、右調停の成立により、本件交通事故による損害賠償については金二七〇万円の支払をもつて解決済みとする旨の合意がなされたものであるから、右金員を超えて請求することは許されない。以下、その余の被控訴人らとの関係も含めて右金額の相当性につき検討する。」を加える。

3  同七枚目表四行目の「推認され」の後に「る。また、右調停額は、本件交通事故の態様、すなわち、控訴人が赤信号に従い停止したところ、被控訴人松村運転の普通乗用自動車に追突され、控訴人運転の軽四輪自動車が破損し、控訴人が頸椎捻挫等の傷害を負つたこと及び控訴人の各症状の継続状況等をも考慮して決定されたものとうかがわれる。さらに」を加え、同六行目の「事実からみると、」を「事実等諸般の事情を総合して考えると、結局、本件交通事故による損害賠償額として、」と改め、同七行目の末尾に「そして、右金員が全額控訴人に支払済みであることは前記のとおりである。」を加える。

4  同八枚目表三行目の「診断を受けた」の後に「(同症状固定日は本件事故日より約三年経過している。)」を加える。

5  同八枚目表九行目の「その後」の後に「客観的にみて通常」を、同一〇行目の末尾に「なお、成立に争いのない甲第二号証(昭和六二年九月八日付安江医師作成の診断書)によれば、控訴人には変形性頸椎症の発症が認められるが、他方、成立に争いのない乙第三号証(同月一九日付同医師作成の回答書)によれば、右頸椎症の発症は控訴人の加齢的な骨の変化によるものであつて、頸椎症の発症と本件事故との間に因果関係はないものと認められる。そして、当審における控訴人本人尋問の結果を加えて判断するも右と同様である。」をそれぞれ加える。

6  八枚目表末行目の「調停の成立後、」の後に「改めて、」を加える。

よつて、控訴人の本訴請求を棄却した原判決は相当であつて、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし、控訴費用の負担につき民訴法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 浅香恒久 窪田季夫 畑中英明)

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