大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

名古屋高等裁判所 平成13年(行ス)2号 決定 2001年5月21日

抗告人

相手方

名古屋中村税務署長

同指定代理人

瀬戸茂峰

松井保之

新留博士

柳原国良

主文

1  本件抗告を棄却する。

2  抗告費用は抗告人の負担とする。

理由

第1本件抗告の趣旨及び理由

別紙抗告状写し記載のとおりである。

第2判断

1  当裁判所も、抗告人の本件文書提出命令申立は理由がないものと判断する。その理由は、次に訂正するほか、原決定「理由」欄の「第2 当裁判所の判断」のとおりであるから、これを引用する。

原決定3頁3行目「該当する」以下同4行目「主張しないし、」でを次のとおり改める。

「該当するとして、別紙抗告状写し3丁(本決定5頁)7行目冒頭以下同17行目末尾までに記載のとおり主張するけれども、」

2  一件記録によるも、本件文書に関する原審証人丙の証言が民訴法220条1号所定の文書引用行為に該当すると認めることはできないこと、抗告人に本件文書の閲覧請求権を認めるごとき法令上の根拠規定は存しないこと、本件文書は、税務調査に当たり専ら課税権を適正に行使する等の目的で調査官である丙により作成されたもので、抗告人の権利・法的地位等を基礎づける目的で作成されたなどとは認められないことに照らし、抗告人の当審における主張は、全て理由がない。

3  結論

よって、原決定は相当であり、本件抗告は理由がないからこれを棄却することとし、抗告費用は抗告人に負担させることとして、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 笹本淳子 裁判官 鏑木重明 裁判官 戸田久)

抗告状

平成13年3月27日

抗告人(原告) 甲

相手方(被告) 名古屋中村税務署長

文書提出命令申立却下決定に対する即時抗告申立

上記原告と被告間の名古屋地方裁判所平成12年(行ク)第18号文書提出命令申立事件(本案事件平成8年(行ウ)第40号課税処分取消請求事件)について、名古屋地方裁判所民事九部が、原告の文書提出命令申立に対し、平成13年3月23日に為した却下決定に対して不服であるから、即時抗告の申立をいたします。

第1 原決定の表示

事件番号 平成12年(行ク)第18号

主文

本件申立てを却下する。

第2 抗告の趣旨

1 原決定を取り消す。

2 原告が申立てた後記表示の文書の提出を認める。

との裁判を求める。

第3 抗告の理由

1、民事訴訟法220条1号に該当する。

相続税は申告納税方式で、国税通則法第16条によれば、税務署の調査と原告の修正申告が違っているから更正処分を受けたもので、現在税務署より提出されている戊の遺産明細は、利害が反する相続人の1人の修正申告書です。原告が求めている文章は、更正処分の理由の調査書類です。

戊の相続税を担当された丙氏は、更正処分をしたのだから、実質上訴訟本人と言える。原告は尋問で戊の遺産であると確定された個々の財産明細の帰属について、税法上の根拠を明らかにしてもらいたかっのですが、ほとんど覚えていなかったが、更正時点の調査額の決定に当たっては是は是で非は非で正しくおこなっていると更正した本人として証言されています。さらに被告主張の預貯金の一部についてその時点では正しく調査しているが、どのような経過で現在の明細に変えられたか、解らないと当初の調査と違う事を証言されています。更正の本当の理由を明らかにすべきです。

2、同法220条2号に該当する。

更正処分をされたのだから更正処分の調査書類を閲覧する権利を有している。

3、同法220条3号に該当する。

更正処分の前提として法律上当然に作成が予定された文書であると原告は主張します。

利益文書に該当する。被告は、戊が乙や家族の名前でB銀行の貸付信託をしていたから、戊の財産であると主張している。そしてBの担当者にこれは乙の名義であるが、戊の財産であると陳述させている、「戊」の実印を使用した貸付信託は戊の財産であると主張しながら、それは遺産明細の中に乗せられていない(乙が取得)。1方母丁の貸付信託については、母の実印を使用し、マル優を申告し又、Bの顧客番号が1番で家族の中で一番最初に口座を開設した事が明らかな母丁の遺産については、戊の遺産だと主張している。乙の取得財産に課税がされていない分が原告らに課税されているので利益文書に該当します。

文書の表示

被告が更正処分をした、調査額、およびその内訳書

(平成12年10月18日、調査担当者丙さんの尋問調書32頁から33頁の証言により。)

添付 書類

決定書

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例