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名古屋高等裁判所 平成16年(行コ)27号 判決 2005年2月01日

被控訴人 豊橋税務署長  前田憲昭

指定代理人 山岸誠次

同 佐藤雅典

同 松島一秋

同 根岸裕介

主文

1  本件控訴を棄却する。

2  控訴費用は控訴人の負担とする。

事実及び理由

第1控訴の趣旨

1  原判決を取り消す。

2  被相続人乙の平成12年9月19日相続開始に係る相続税について控訴人のした更正の請求に対し、被控訴人が平成14年9月4日付けでした同請求を棄却する旨の通知処分を取り消す。

3  訴訟費用は、第1、2審とも被控訴人の負担とする。

第2事案の概要

1  本件は、控訴人のした相続税の更正の請求に対して、被控訴人が棄却する旨の通知処分をなしたところ、控訴人が、同処分の根拠とされた相続税法の規定は、両親の死亡順序のいかんにより相続税額に大幅な差を生ずるものであるから違憲であると主張して、同処分の取消しを求めた抗告訴訟につき、原審が控訴人の請求を棄却したため、これを不服とした控訴人が控訴した事案である。

2  当事者間に争いのない事実等、本件の争点及びこれに関する当事者の主張の要旨は原判決「事実及び理由」欄「第2事案の概要」の「1」及び「2」に摘示のとおりであるからこれを引用する。

第3当裁判所の判断

1  当裁判所も、控訴人の請求は理由がないものと判断するが、その理由は、原判決「事実及び理由」欄「第3当裁判所の判断」に説示のとおりであるから、これを引用する。

ただし、原判決8頁13行目の末尾に行を改めて次のとおり付加する。

「なお、控訴人は、両親の死亡順序にかかわらず、相続人たる子が納付すべき相続税の総額を同額にすることが憲法14条に適合すると主張する。

しかし、両親死亡の各段階において、相続人は異なり、また相続の対象となる遺産も同一であるとは限らないのであって、2回の相続において相続人が納付すべき相続税の合計が当然に同額となるものでもないから、相続人たる子が納付すべき相続税の総額が、両親の死亡順序にかかわらず同額とならないとしても、憲法14条に定める法の下の平等に反するとはいえず、控訴人の上記主張は採用することはできない。」

2  以上によれば、控訴人の控訴は理由がないから、本件控訴を棄却することとし、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 野田武明 裁判官 丸地明子 裁判官 濱口浩)

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