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名古屋高等裁判所 平成16年(行コ)33号 判決 2005年4月13日

控訴人兼附帯被控訴人(1審被告)

Y(以下「控訴人」という。)

上記訴訟代理人弁護士

宇都木寧

市川洋一郎

森康人

当審控訴人参加人

南勢町長Y(以下「参加人」という。)

上記訴訟代理人弁護士

西澤博

楠井嘉行

川端康成

赤木邦男

加藤明子

今井潔

中西正洋

被控訴人兼附帯控訴人(1審原告)

X(以下「被控訴人」という。)

主文

1  本件控訴に基づき,原判決中控訴人敗訴部分を取り消す。

2  被控訴人の請求を棄却する。

3  本件附帯控訴を棄却する。

4  訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。

事実及び理由

第1  当事者の求めた裁判

1  控訴人

主文と同旨

2  被控訴人

(1)  原判決主文第2項を次のとおり変更する。

(2)  控訴人は,南勢町に対し,57万6154円及びこれに対する平成13年11月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

(3)  本件控訴を棄却する。

(4)  訴訟費用(参加費用を含む。)は,第1,2審とも控訴人の負担とする。

第2  事案の概要

1  本件は,南勢町(以下,単に「町」ということもある。)の住民である被控訴人が,1審被告南勢町長(当審における参加人)が原判決別表記載の南勢町町民文化会館(以下「本件会館」という。)の使用に関してその使用料を恣意的に免除しており,地方自治法244条3項,憲法14条に違反し,その一部は憲法89条にも違反するなどと主張して,1審被告南勢町長(参加人)に対しては,地方自治法242条の2第1項2号に基づき,使用料免除の取消しを,町長である控訴人に対しては,平成14年法律第4号による改正前の地方自治法242条の2第1項4号に基づき,町に代位して免除額合計57万6154円の損害賠償及び最終の使用日の後である平成13年11月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。

原審は,被控訴人の1審被告南勢町長(参加人)に対する訴えは,被控訴人による本件会館使用料の減額または免除は行政処分であるとは認められないから不適法であるとして却下し,被控訴人の控訴人に対する請求は,6万4350円及びこれに対する平成13年11月1日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるとしてその限度で認容し,その余は棄却した。

原判決に対し,控訴人が控訴し,被控訴人が附帯控訴した。

なお,原判決のうち,被控訴人の1審被告南勢町長(参加人)に対する訴えを却下した部分は,被控訴人が控訴しなかったため確定したが,参加人は,当審において,控訴人のために本件訴訟に参加した。

2  争いのない事実等,主たる争点及び争点に対する当事者の主張は,以下のとおり当審主張を付加するほか,原判決の「第2 事案の概要」欄の1ないし3に記載のとおりであるから,これを引用する。

ただし,上記引用部分のうち「被告町長」とある部分は,いずれも「参加人」と改め,また,原判決9頁22行目<編注 本号178頁左段11行目>の「被告らの主張」を「控訴人の主張」と改める。

3  被控訴人の当審主張

(1)南勢町使用料条例(以下「使用料条例」という。)6条は,「町長は,本町の住民で公費の救助を受け,又は扶助を受けるものについて必要があると認めたときは,使用料を減額し,又は免除することができる。」と定めている。

したがって,本件条例8条2項に定める「特別な事由」の意義は,使用料条例6条に従い,当該事業ないし催しを主催する者が南勢町の住民で,かつ公費の救助を受け又は扶助を受けるものであって,町長が必要があると認める場合を意味すると解すべきである。

(2)  チャリティーショー開催後に南勢町等に対し寄付された金員は,あくまで寄付であって,使用料ではない。そして,使用料の免除は,寄付を条件になされたものでもない。

したがって,南勢町に対する寄付があったことをもって,南勢町の損害がてん補されたということはできない。

4  控訴人の当審主張

(1)  原審は,文化協会芸能部主催のチャリティーショーについては,その免除分の合計である4万4780円が南勢町の被った損害であるとし,社会福祉協議会に対し寄付した10万円(民踊保存会のチャリティーショー分を含む。)については特に考慮しなかった。

しかし,社会福祉協議会は,社会福祉法109条に基づき,社会福祉を目的とする事業の企画・実施,社会福祉に関する活動への住民の参加のための援助,社会福祉を目的とする事業に関する調査・普及・宣伝・連絡・調整・助成等を行い,南勢町と連携しながら福祉行政の一翼を担う組織である。

したがって,上記10万円の寄付は,社会福祉協議会への寄付を通じて,南勢町の福祉行政に寄与・貢献しているという意味においては,南勢町への寄付と同視することができる。

よって,南勢町が被った損害はてん補されている。

(2)  原審は,文化協会芸能部主催のチャリティーショーについては,その免除分の合計である4万4780円が南勢町の被った損害であるとした。

しかし,文化協会芸能部は,南勢町に対し,平成16年8月31日付けで7万円の寄付採納願をし,南勢町は同日付けで7万円を一般寄付として受領した。

したがって,南勢町が被った損害はてん補されている。

(3)  原審は,民踊保存会のチャリティーショーについては,その免除分の合計である1万9570円が南勢町の被った損害であるとした。

しかし,民踊保存会は,南勢町に対し,平成16年8月31日付けで3万円の寄付採納願をし,南勢町は同日付けで3万円を一般寄付として受領した。

したがって,南勢町が被った損害はてん補されている。

第3  当裁判所の判断

1  当裁判所は,被控訴人の控訴人に対する請求は,理由がないから棄却すべきものと判断するが,その理由は,以下のとおり原判決を付加訂正し,当審主張に対する判断を付加するほか,原判決の「第3 当裁判所の判断」欄の1ないし4に記載のとおりであるから,これを引用する(ただし,引用部分のうち「被告町長」とある部分は,いずれも「参加人」と改める。)。

2  原判決の付加訂正

(1)  原判決18頁6行目<編注 本号180頁右段35行目>冒頭から同頁16行目<同180頁右段50行目>末尾までを削除する。

(2)  原判決18頁17行目<同180頁右段51行目>冒頭から同行<同180頁右段52行目>末尾までを「1使用料免除の適法性について」と改める。

(3)  原判決18頁23行目<同181頁左段7行目>冒頭から同19頁1行目<同181頁左段13行目>末尾までを,以下のとおり改める。

「  この「特別な事由」の意義は,本件会館は行政財産であること,及び同会館の設置目的が,町民の文化,教養の向上及び福祉の増進を図り,住みよい地域社会を形成することにある(本件条例2条)ことを考慮すると,当該事業ないし催しに対する南勢町の関わり合いの程度,当該事業ないし催しの主催者の性格及び主催者と南勢町の関わり合いの程度,当該事業ないし催しの目的・内容,当該事業ないし催しにつき主催者が使用料免除を受ける必要性の程度等の事情を総合考慮し,公益性の観点から使用料を免除する必要性ないし相当性が特に高いと認められる場合を意味すると解される。」

(4)  原判決21頁8行目<同181頁右段39行目>の「しかし」から同頁14行目<同181頁右段48行目>末尾までを,以下のとおり改める。

「しかし,文化協会芸能部主催のチャリティーショーについて南勢町は共催も後援もしていない。また,チャリティーショーに出演した団体の演目の内容は,南勢町の文化や伝統等に関するものもあるが,出演した団体が,演目の普及啓発のために南勢町から助成金ないし補助金を受けていたわけではない。そして,社会福祉法人南勢町社会福祉協議会に対する寄付を目的としたチャリティーショーを開催するために使用料免除を受ける必要性はそれほど高いものとはいえない。したがって,文化協会は,町民の文化向上に貢献すること等を目的とする団体であり,南勢町は同会に対し補助金を支給していることを考慮しても,公益性の観点から使用料を免除する必要性が特に高いとまでは認められない。

したがって,文化協会芸能部のチャリティーショー開催及び準備のための使用について使用料を免除したことにつき,特別な事由があるとはいえないから,控訴人は,裁量権を逸脱したといわざるを得ない。」

(5)  原判決24頁6行目<同182頁右段37行目>の「町」から同頁7行目<同182頁右段38行目>の「免除することは」までを,以下のとおり改める。

「体育祭を主催した体育協会は,各種スポーツの健全な普及発展を図ること等を目的とする団体であり,南勢町から補助金を受け取っていること,南勢町も体育祭を後援していること,及び体育祭開催のために本件会館の使用料を免除することは」

(6)  原判決24頁15行目<同182頁右段39行目>の「スポーツ推進に資するものであるから」を,以下のとおり改める。

「スポーツ推進に資するものであり,また入場料等の収入を徴収する催しでもなかったのであるから,使用料を免除してかかる活動を援助する必要性もあったことを考慮すると」

(7)  原判決24頁21行目<同183頁左段3行目>の「意味があり」の次に,「また,補助金を支給している同協会の活動を使用料を免除してさらに支援するということに相当性もあるから」を付加する。

(8)  原判決29頁3行目<同184頁左段49行目>の「しかし」から同頁9行目<同184頁右段5行目>末尾までを,以下のとおり改める。

「しかし,民踊保存会が出演した文化協会芸能部主催のチャリティーショーについて南勢町は共催してない。また,民踊保存会がチャリティーショーにおいて出演した演目(創作民踊「剣の魂」)の内容は,南勢町の文化や伝統等に関するものであるが,民踊保存会は,南勢町から助成金を受けていたわけではない。そして,民踊保存会がチャリティーショーに出演するためには,使用料の免除を受ける必要があったと認めるに足りる証拠はない。以上によれば,民踊保存会がチャリティーショーに出演するための使用について,公益性の観点から使用料を免除する必要性が高いということはできない。

したがって,民踊保存会が文化協会芸能部主催のチャリティーショーのリハーサルのために本件会館を使用した際の使用料を免除したことにつき,特別な事由があるとはいえないから,控訴人は,裁量権を逸脱したといわざるを得ない。」

(9)  原判決29頁24行目<同184頁右段25行目>の「しかし」から同30頁4行目<同184頁右段33行目>末尾までを,以下のとおり改める。

「しかし,みやび会,さざ波会,宿田曽有志会共催のチャリティーショーについて南勢町は共催していない。

また,宿田曽有志会がチャリティーショーにおいて出演した演目(なぶら太鼓)の内容は,南勢町の文化や伝統等に関するものであるものの,南勢町がなぶら太鼓の普及啓発のために同会に対し助成金を交付しているものではない(弁論の全趣旨によれば,南勢町は宿田曽有志会に対し活性化グループ活動事業補助金を交付していることが認められるが,これは宿田曽地区における同会の活動一般を支援するもので,なぶら太鼓の普及啓発を目的とするものとは認められない。)。

また,さざ波会がチャリティーショーにおいて出演した演目の内容は,ふるさと民踊に関するものであったと推測されるが,さざ波会は南勢町から助成金ないし補助金を受けていたわけではない。

さらに,みやび会がチャリティーショーにおいて出演した演目の内容は不明であるが,仮に南勢町の文化や伝統に関するものであったとしても,みやび会は南勢町から助成金ないし補助金を受けていたわけではない。

そして,みやび会,さざ波会,宿田曽有志会が,チャリティーショーを開催するためには使用料の免除を受ける必要があったと認めるに足りる証拠はない。

以上によれば,みやび会,さざ波会,宿田曽有志会に対し,チャリティーショーの開催及び準備のために公益性の観点から使用料を免除する必要性が高いとはいえない。

したがって,みやび会,さざ波会,宿田曽有志会のチャリティーショー開催及び準備のための使用について使用料を免除したことにつき,特別な事由があるとはいえないから,控訴人は,裁量権を逸脱したといわざるを得ない。」

(10)  原判決30頁18行目<同184頁右段51行目>の「しかし」から同頁23行目<同185頁左段7行目>末尾までを,以下のとおり改める。

「しかし,伊勢志摩舞踊会主催のチャリティーショーについて南勢町は共催をせず,後援しているにとどまる。また,伊勢志摩舞踊会がチャリティーショーにおいて出演した演目の内容は不明であるが,仮に南勢町の文化や伝統等に関するものであったとしても,伊勢志摩舞踊会は南勢町から助成金ないし補助金を受けていたわけではない。そして,伊勢志摩舞踊会がチャリティーショーを開催するためには使用料の免除を受ける必要があったと認めるに足りる証拠はない。

以上によれば,伊勢志摩舞踊会に対し,チャリティーショーの開催及び準備のために公益性の観点から使用料を免除する必要性が高いとはいえない。

したがって,伊勢志摩舞踊会のチャリティーショー開催及び準備のための使用について使用料を免除したことにつき,特別な事由があるとはいえないから,控訴人は,裁量権を逸脱したといわざるを得ない。」

(11)  原判決38頁8行目<同187頁左段51行目>冒頭の「3」を「2」と改める。

(12)  原判決38頁14行目<同187頁右段9行目>冒頭から同頁18行目<同187頁右段16行目>末尾までを,以下のとおり改める。

「 控訴人は,上記の本件会館使用料の免除につき,いずれも特別な事由があると判断したものである。しかし,上記のとおり各チャリティーショーの開催及び準備のための使用料を,公益性の観点から免除する必要性が特に高いとまでは認められない。

したがって,控訴人が上記チャリティーショーについて特別の事情があると判断したことに合理的な理由はなく,他に控訴人がかかる判断をしたことにつき相当の理由があったと認めるに足りる具体的な証拠もない以上,控訴人が上記の使用料を免除したことには過失があるというべきである。」

(13)  原判決38頁19行目<同187頁右段17行目>冒頭の「4」を「3」と改める。

(14)  原判決38頁23行目<同187頁右段22行目>末尾を改行の上,以下のとおり付加する。

「 控訴人は,文化協会芸能部が社会福祉協議会に寄付した10万円は,南勢町への寄付と同視することができ,これにより南勢町が被った上記損害はてん補された旨主張する(当審主張(1))。

上記認定のとおり,文化協会は,平成13年5月7日に社会福祉法人南勢町社会福祉協議会に10万円を寄付したことが認められる。

しかし,社会福祉協議会は,市町村の区域内において,区域内における社会福祉を目的とする事業を経営する者及び社会福祉に関する活動を行う者が参加して,地域福祉の推進を図ることを目的とする団体であって(社会福祉法109条1項),南勢町とは別の法人格を有する団体である。

したがって,社会福祉協議会が,社会福祉を目的とする事業の企画及び実施等,社会福祉法109条1項各号所定の目的を有する団体であることを考慮しても,社会福祉協議会と南勢町を同一視することはできないし,社会福祉協議会に対する寄付を南勢町に対する寄付と同一視することもできない。

また,控訴人は,文化協会芸能部は平成16年8月31日付けで南勢町に対し7万円を一般寄付したので損害がてん補された旨主張する(当審主張(2))。

証拠(乙ロ4,5)によれば,文化協会芸能部は,南勢町に対し,平成16年8月31日付けで寄付採納願をし,南勢町は,同日付けで7万円を一般寄付として受領したことが認められる。

上記寄付採納願は,上記損害の支払を命じた原審判決の言渡し(平成16年8月12日)の後になされたものであることを考慮すると,上記寄付は,実質的には上記損害をてん補するものとして行われたものと認められる。

したがって,南勢町が被った上記損害はてん補されたというべきである。」

(15)  原判決38頁26行目<同187頁右段26行目>末尾を改行の上,以下のとおり付加する。

「 控訴人は,民踊保存会は平成16年8月31日付けで南勢町に対し3万円を寄付したので,南勢町が被った損害はそれぞれてん補された旨主張する(当審主張(3))。

証拠(乙ロ6,7)によれば,民踊保存会は,南勢町に対し,平成16年8月31日付けで寄付採納願をし,南勢町は,同日付けで7万円を一般寄付として受領したことが認められる。

上記寄付採納願は,上記損害の支払を命じた原審判決の言渡し(平成16年8月12日)の後になされたものであることを考慮すると,上記寄付は,実質的には上記損害をてん補するものとして行われたものと認められる。

したがって,南勢町が被った上記損害はてん補されたというべきである。」

3  被控訴人の当審主張に対する判断

(1)  当審主張(1)について

被控訴人は,本件条例8条2項に定める「特別な事由」の意義は,使用料条例6条に従い,当該事業ないし催しを主催する者が南勢町の住民で,かつ公費の救助を受け又は扶助を受けるものであって,町長が必要があると認める場合を意味すると解すべきである旨主張する。

証拠(甲11)によれば,使用料条例には以下の規定がおかれていることが認められる。

第1条(目的)

この条例は,本町の財産及び営造物の使用料に関して定めることを目的とする。

第5条(徴収)

使用料は,営造物又は財産の使用を許可したときに徴収する。ただし,次に掲げるものについては,町長が別に定める。

(1) 法令の規定に基づくもの

(2)  使用が1月以上にわたるもの

(3)  その他特別の事情があるもの

第6条(使用料の減免)

町長は,本町の住民で公費の救助を受け,又は扶助を受けるものについて必要があると認めたときは,使用料を減額し,又は免除することができる。

使用料条例の1条によれば,同条例は,南勢町の財産及び営造物の使用料に関して適用されるものと解されるが,上記(引用にかかる原判決,付加訂正後のもの)のとおり,本件条例は,南勢町民文化会館の管理に関する規定であることを考慮すると,南勢町民文化会館の使用料に関しては,使用料条例ではなく,特別規定である本件条例が適用されると解するのが相当である。

そして,本件条例8条2項の「特別な事由」の意義についても,本件条例の目的等を考慮して検討するのが相当であって,使用料条例6条と同様の規定であると直ちにいうことはできないところ,「特別な事由」の意義については,上記(引用にかかる原判決,付加訂正後のもの)のとおり,当該事業ないし催しに対する南勢町の関わり合いの程度,当該事業ないし催しの主催者の性格及び主催者と南勢町の関わり合いの程度,当該事業ないし催しの目的・内容,当該事業ないし催しにつき主催者が使用料免除を受ける必要性の程度等の事情を総合考慮し,公益性の観点から使用料を免除する必要性ないし相当性が特に高いと認められる場合を意味すると解するのが相当である。

したがって,被控訴人の主張は理由がない。

(2)  当審主張(2)について

被控訴人は,南勢町に対する寄付があったことをもって,南勢町の損害がてん補されたということはできない旨主張する。

しかし,チャリティーショーの開催後間もないうちにチャリティーショーに関連して南勢町に寄付されたものについては,使用料免除と牽連性を有する寄付として,損害のてん補性を肯定しうるというべきである。

したがって,上記(引用にかかる原判決,付加訂正後のもの)のとおり,みやび会,さざ波会及び宿田曽有志会がチャリティーショーに関連して南勢町に寄付した15万円並びに伊勢志摩舞踊会がチャリティーショーに関連して南勢町に寄付した25万円については,損害のてん補性を肯定することができるというべきである。

また,平成16年8月31日付けでなされた文化協会芸能部及び民踊保存会の各寄付(文化協会芸能部について7万円,民踊保存会について3万円)についても,上記(引用にかかる原判決,付加訂正後のもの)のとおり,損害のてん補性を肯定することができる。

したがって,被控訴人の主張は理由がない。

第4  結論

よって,以上と結論を異にする原判決を変更することとし,主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官・青山邦夫,裁判官・坪井宣幸,裁判官・田邊浩典)

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