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名古屋高等裁判所 平成17年(う)134号 判決 2005年9月12日

主文

本件各控訴を棄却する。

理由

検察官の控訴の趣意は、検察官大〓玲子作成(検察官佐藤崇提出)の控訴趣意書に、これに対する答弁は、弁護人川口直也提出の答弁書にそれぞれ記載のとおりであり、被告人の控訴の趣意は弁護人川口直也提出の控訴趣意書に、これに対する答弁は、検察官佐藤崇提出の答弁書にそれぞれ記載のとおりであるから、これらを引用する。

検察官の論旨は、要するに、「原判決は、わいせつ略取・強盗強姦未遂3件(原判示第1ないし第3)、わいせつ略取・強盗強姦2件(第4、第8)、わいせつ略取誘拐・強盗強姦・窃盗・強姦1件(第5ないし第7)、強姦未遂1件(第11)、わいせつ略取・強盗強姦・窃盗・強姦1件(第12ないし第14)、窃盗1件(第9)及び道路運送車両法違反1件(第10)を認定した上、主文において、被告人を無期懲役及び罰金15万円に処した上、原審における未決勾留日数中400日をその懲役刑に算入するほか、30日を1日5000円に換算した上、罰金額に満つるまで罰金刑に算入するものとした。しかし、この罰金は、勾留状の発せられていない原判示第10の道路運送車両法違反の罪の刑であるところ、刑法21条の法意に照らし、2種の刑が言い渡された場合の未決勾留日数の算入については、まず、勾留状が発せられた罪に対する刑を本刑として未決勾留日数のうち通算すべき日数を算入すべきであり、特段の事情がない限り、勾留状が発せられていない罪の刑に未決勾留日数を算入することは許されないのであって、本件ではそのような特段の事情がないから、原判決は刑法21条の解釈適用を誤った違法があり、判決に影響を及ぼすことが明らかである。」というのである。

次に、弁護人の論旨は、要するに、被告人を無期懲役及び罰金15万円に処した原判決の量刑は重すぎて不当である、というのである。

1  検察官の論旨について

(1)  原審記録によれば、以下の事実を認めることができる。

被告人は、原判示第8事実と公訴事実の同一性が認められるわいせつ略取・強盗強姦罪により、平成15年3月31日に勾留され、同年4月18日同罪による公訴提起とともに同一罪名による新たな勾留状により勾留され、その後、別件勾留中として勾留状が発付されないままその余の罪が追起訴されて、平成16年11月17日に原判決の言渡しを受けた。そして、原判決書によると、原判決は、原判示第1ないし第14の各事実を認定し、法令の適用において、科刑上一罪の処理をするなどした上で、勾留されていない原判示第5の罪につき無期懲役刑を選択し、原判示第1ないし第4、第8、第12の各罪につき有期懲役刑を選択し、併合罪の処理をするに当たり、原判示第5の罪について無期懲役を選択しているため、刑法46条2項により罰金刑以外の刑を科さず、同法48条1項により勾留されていない原判示第10の罰金刑を併科して、その刑及び所定金額の範囲内で被告人を無期懲役及び罰金15万円に処し、未決勾留日数のうち、400日を無期懲役に、30日を1日5000円に換算して上記罰金額に満つるまで罰金刑に算入するとしていることが明らかである。

(2)  以上の事実からすれば、本件は、併合罪としての処理をした結果、勾留されていない罪の刑をもって処断すべきこととなり、その刑が2種類ある場合であるところ、その場合において、勾留状の発付されている罪の未決勾留をそのいずれの刑にも算入しないのは衡平の観点から少なくとも不当であるが、本件における問題は、いずれも勾留されていない罪の刑をもって併合罪の刑が定められている場合で、2種以上の刑が言い渡されているときに、未決勾留日数の算入の順序が刑法21条の解釈上定まっているか、という点である。

原判決は、この点につき、最高裁昭和30年12月26日判決を引用した上、その趣旨に照らし、刑法21条の問題としては、いずれの刑に先に未決勾留日数を算入すべきかについて、算入すべき順序まで定めているものではないとの判断をしているものと解される。これに対し、検察官が主張するところは、勾留されている罪が含まれている刑にまず算入しなければならないとし、その根拠として挙げる高裁判例の事案は、いずれも勾留されている罪に懲役刑を科すべき場合のものと解されるが、本件の場合は、勾留されている罪(原判示第8)の刑(有期懲役刑が選択されている。)を科さない場合なのであるから、その主張にかかる事例とは厳密には事案を異にするといわなければならない。

(3)  ところで、刑法45条前段の併合罪の場合において無期懲役刑を科す場合、同法46条2項において罰金、科料、没収以外の他の刑を科さない、としている趣旨は、ある罪につき無期懲役刑を科すときには、他の罪につき科すべき有期懲役刑(犯情の軽い無期懲役刑についても同じ。)等の自由刑は重ねて科す必要がない、という趣旨である。その趣旨に照らせば、本件は、確かに有期懲役刑を科すべき罪(原判示第8)による未決勾留であるから、同種の重い無期懲役刑にまず算入しなければならないと解することも考えられる。

しかしながら、勾留状により勾留されている罪に罰金刑の必要的併科が定められているような場合において、未決勾留日数をその罰金刑に算入することができないという見解は採られていない。また、罰金刑しかない罪につき勾留されている場合であるならば、罰金刑に算入が可能であることについても異論はない。なお、勾留されている甲罪(懲役と罰金の選択刑の定めのあるもの)につき罰金刑を選択する場合の未決勾留日数の算入方法につき、まず勾留されている罪の罰金刑に満つるまで算入してから、勾留されていない乙罪の懲役刑に残りを算入しなければならず、勾留されていない乙罪の懲役刑に甲罪により勾留されている未決勾留日数全部を算入することはできない、とするのは、少なくとも相当でないというべきである。

本件では、最初に起訴された罪(原判示第8)につき勾留され、他の罪については、その勾留があるために、別件勾留中として勾留されないまま起訴がされ、最初に起訴された罪の勾留がその余の罪を含む全部の罪の審理のために利用されているという状態になっている場合である。また、罰金刑の定めしかない罪(原判示第10の道路運送車両法違反の罪)についても、刑訴法60条3項により勾留すること自体は禁じられていないのであって、本件では、最初の起訴にかかる罪についての勾留はその審理のためにも利用されていることに何ら差異はない。そして、いずれの罪につき勾留状を発付し、いずれの罪につき発付しないかは、身柄拘束の必要という観点が充たされる限り、実務上適宜決められているという運用の実情をも踏まえると、未決勾留日数の算入が、いずれの罪により勾留されているかという偶然の事情により左右されるとすること自体にも、全く疑問がないわけではないというべきである。

(4)  このような点を考慮すると、本件のように、勾留されていない罪の刑に科せられる刑をもって1個の併合罪の刑として言い渡し、その結果2種以上の刑が科される場合において、未決勾留日数を算入する刑の順序についてまで、刑法21条の解釈として定められているという根拠は結局見出せないと解される。したがって、本件においては、勾留されている罪の刑により処断されない場合に該当し、かつ、その勾留が他の罪の審理にも利用されている場合であるから、その未決勾留日数をいずれの刑に算入することとしても、相当性についてはともかく、違法となるものではないと解するのが相当である。

そうすると、本件においては、1個の併合罪関係にある場合であり、一般的には重い無期懲役刑に算入するのが相当であるとは解されるものの、諸般の事情を考慮し、裁量により、まず、罰金刑に算入することとしても、それはあくまでも当否の問題にとどまり、これをもって違法ということはできないというべきである。

(5)  なお、この問題は、主文の刑が刑法45条後段の併合罪であるため、2個以上の刑に分かれる場合の算入の問題や、原審や懲役刑及び罰金刑を宣告している事案につき控訴審で未決勾留日数の算入に当たりどの刑に算入するかを特定しないまま言渡しをした場合における刑の算入の順序の問題とは、次元を異にするものである。また、控訴審における未決勾留日数の法定算入の場合について、刑法45条前段の併合罪関係にある罪については一律に定める必要があることから、執行される重い懲役刑にまず算入すべきものとされ、そのように取り扱われていることは正当というべきであるが、だからといって、その解釈が裁量の幅の広い裁定算入の場合に直ちに当てはまるものとはいえない。

さらに、検察官は、未決勾留日数の裁定算入は、まず勾留されている罪の刑に算入すべきであり、それがその刑に満ちた場合などの特段の事情がない限り、勾留されていない罪の刑に算入することができないとする見解を前提としているが、実際には、勾留されている甲罪につき罰金刑を選択した場合に、勾留されていない乙罪に対応する懲役刑に未決勾留日数の裁定算入をすることも決して少なくないと解される(なお、刑罰を受けるという実感を抱かせるため、例えば勾留されていない乙罪の執行猶予付き懲役刑の方に未決勾留日数を算入し、勾留されている甲罪につき選択した罰金刑には算入しないことにすることも、刑政上の理由から少なからず行われているものと思われる。このような場合も特段の事情がある場合に当たるとするのは、広きに失するのではないかと考えられる。)。この点はしばらく措くとしても、検察官の挙げる判例は、上記のとおり、厳密には事案を異にすることに留意されるべきである。

(6)  したがって、本件における未決勾留日数の算入についての原判決の措置につき、その相当性につき問題になることはあり得るにせよ、その法令の解釈適用に誤りはないというべきであるから、論旨は理由がない。

2  本件の認定事実及び罪数関係についての職権判断

次に弁護人の量刑不当の論旨に先立ち、まず職権をもって本件の罪数関係及びその前提となる認定事実を点検する。

(1)  同一被害者に対する強盗強姦と強姦の関係について

原判決は、同一被害者に対する原判示第5のわいせつ略取誘拐・強盗強姦と第7の強姦とを併合罪として処理している。しかしながら、関係各証拠によれば、被告人は、平成15年2月1日午前1時45分ころに原判示第5及び第7の被害者を自車に乗せた後、暴行・脅迫によって反抗を抑圧してショルダーバッグなどを強取し、「俺を2回いかしたら、帰してやる。」などと申し向け、その後、同日午前4時30分ころまでの間、原判示第5記載のとおり、場所を移動しながら、被害者を2回姦淫したほか、断続的にわいせつ行為を加えたこと、強取したショルダーバッグ内の財布からキャッシュカードを見つけた被告人は、これを用いて現金自動預金支払機から現金を窃取することを目論み、朝になって同機が使用できる時間になるまで被害者を連れ回すこととし、その間に被害者に暴行を加えるなどしてキャッシュカードの暗証番号を聞きだしたこと、その上で、自車内に被害者を監禁したまま原判示第6記載のとおりの窃盗の犯行に及んだこと、車内に戻った被告人は、さらに同第7記載のとおり、反抗抑圧状態の続いている被害者を1回姦淫し、その後にようやく被害者を解放したことが認められる。被告人が、被害者を長時間にわたって車内に留めおいて各所に連れ回した目的は、現金自動預金支払機が使用できる時間まで被害の届出をさせないようにするためであるとともに、当然ながら自己の性的欲求をこころゆくまで満足させるためであったと認めるのが相当であり、被告人自身も捜査段階の供述調書においてその旨の供述をしている。そうすると、原判示第5記載の強盗強姦のうちの姦淫行為と同第7記載の姦淫行為は一連の犯意に基づくものであるとともに同一の強盗の機会において犯されたものと認められるから、1個の犯罪とみるのが相当である。なお、被告人は、同第7記載の姦淫行為に及ぶ前に同第6の窃盗に及んでいるが、そのことをもってして、一旦、強盗強姦の犯行が終了したと解するのは当時の被告人及び被害者双方の主観に照らして相当ではない。

したがって、原判示第5と同第7の各事実は、一つのわいせつ略取誘拐・強盗強姦として処理されるべきである。

同様に、原判決は同一の被害者に対する原判示第12のわいせつ略取・強盗強姦と同第14の強姦を併合罪として処理しているが、これも同一の理由から社会的に見て一つの行為であると解すべきであり、一つのわいせつ略取・強盗強姦として処理されるべきである。

したがって、これらの点において原判決には事実の誤認及び法令適用の誤りを認めることができる。

(2)  わいせつ略取ないしわいせつ略取誘拐と強盗強姦ないし同未遂の関係について

原判決は、法令の適用において原判示第1ないし第3の各わいせつ略取と各強盗強姦未遂、同第4、第8、第12の各わいせつ略取と各強盗強姦、同第5のわいせつ略取誘拐と強盗強姦の関係をいずれもいわゆる観念的競合の関係であるとしている。

確かに、略取・誘拐罪の保護法益は人の身体の自由であり、したがって、その法益侵害が続いている限りにおいて犯罪もまた継続しているという趣旨において継続犯とみるのが相当と解される。そうすると、上記の各わいせつ略取ないしわいせつ略取誘拐は、各被害者の身体の自由を奪った時点から解放に至るまで継続しており、その間に各被害者らへの財物強取や姦淫行為(あるいはそれらの実行の着手)がなされているから、双方の間には場所的・時間的な重なり合いがあると認めることができる(もとより訴因に記載されている範囲でしか事実を認定することはできないが、この点は別論である。)。

もっとも、略取・誘拐の実行行為は被害者の身体の拘束とその後の連れ回しであると認めるべきであり、財物強取行為や姦淫行為そのものは略取・誘拐とはまた別個の行為と解するのが相当であって、略取・誘拐の合間に強盗強姦の実行行為がなされたからといって、これをもってして社会通念に照らし一つの行為と解することはできない。したがって、これらを観念的競合の関係にあるとみた原判決の法令の適用には誤りが存する。

強盗強姦は、強盗罪と強姦罪の結合犯であるが、性犯罪としての一面を有する罪であることはいうまでもなく、わいせつ略取ないしわいせつ誘拐が被拐取者をわいせつ行為の対象となす目的を要求する目的犯であることに照らせば、わいせつ略取ないしわいせつ略取誘拐と強盗強姦との間には、手段結果の関係があるとするのが相当であり、双方はいわゆる牽連犯の関係にあると解される。

(3)  以上の事実誤認あるいは法令適用の誤りが判決に影響を及ぼすか否かを検討する。

まず、(2)項記載の点は、いずれの解釈をとるにせよ、各行為を科刑上一罪として処理することになるから、判決に影響を及ぼすものではない。

(1)項記載の罪数の点も、本件では犯罪の件数が多いことが重要な犯情の一つとして考慮されているとはいえ、認定される社会的事実としては格別に異なる点はなく、結局、全体を併合罪処理することで処断刑自体にも差異がないことに照らすと、判決に影響を及ぼすことは明らかであるとはいえない。よって、これらの事実誤認及び法令適用の誤りのゆえに、原判決を破棄するまでの必要は認められない。

3  弁護人の量刑不当の論旨について

本件は、被告人が、約8か月の間にわいせつ略取(略取誘拐を含む。)・強盗強姦4件、わいせつ略取・強盗強姦未遂3件、強姦未遂1件を反復累行し、さらに強取したキャッシュカードを用いたCD盗2件、わいせつ略取などの準備工作としてのナンバープレート盗1件と盗んだナンバープレートを自車に用いたとの道路運送車両法違反1件にも及んでいたという一連の犯罪である。

本件が動機、経緯においては酌むべき点はなく、態様においては、凶悪であるとともに計画性が高く、強盗強姦等の被害者となった8名の女性の人格を全く無視した卑劣なもので、被害者らの物心両面における被害程度が極めて甚大であることは、原判決が「量刑の理由」において詳述したとおりである。

すなわち、被告人は、自らの無計画さゆえに消費者金融への返済金に窮するに至るや、若い女性を襲って強盗をすることを企て、その際、妻との夫婦関係に格別の問題があったわけでもないのに、アダルトビデオで見たような陵辱を自ら実行してみようなどと思い立ち、そのために使用するガムテープや当初の犯行ではカッターナイフ等の道具をそろえ、原判示第1を除きいずれも深夜に自車を走らせながら目星をつけた女性を襲い、更に途中からは計画をより巧妙なものに練り直し、上記各犯行を繰り返していたものである。そして、何よりも重視すべきは、本件では8名の女性を襲撃しており、件数が甚だ多いという点である。しかも、各被害者らは、いずれもたまたまその場を通りかかったというだけで標的にされたもので、7人の強盗強姦の被害者については強盗の点がすべて既遂となっているのみならず、うち4人は強姦の点も既遂となっており、これら被害者はいずれも単に姦淫されたというだけでなく、長時間にわたって車内に緊縛されたままで留めおかれ、絶え間ない暴行、わいせつ行為、おぞましい変態行為にまでさらされ続けたもので、その間の恐怖や絶望の大きさは想像を絶するものがある。しかも、原判示第5事実の被害者は結婚を控えた身でありながら、強姦の結果として妊娠しており、中絶したとはいえ、同女がそれを暗い秘密として抱えながら今後の人生を過ごすことを余儀なくされており、その悲劇が永く続くものであることは容易に理解できる。無論、他の被害者らも被害によって癒やし難い心の傷をそれぞれに受けており、同女らが被告人に対して被害の程度に見合った厳罰を希望するのは、当然の理である。

本件が地域社会を震撼させた連続的犯行であることもまた、原判決の述べるとおりである。

他方、傷害を被った被害者もいるが、軽傷に留まっており、さらに、被告人に前科前歴がないこと、検挙後は反省の念を深めていること、親族らが被告人の更生を願っており、26万円余を贖罪寄附したことなど、被告人にとって酌むべき事情も認められる。

しかしながら、これらの有利な情状やさらに原判決後に31万円を贖罪寄付した事実を併せ考慮しても、本件では、罪質の重大な犯行を反復累行していること、その結果の重大さや態様の悪質さ、被害者がそれぞれに蒙った深刻な衝撃等に照らすと、無期懲役に処するのは誠にやむを得ないというべきであり、有利な情状は量刑に対して決定的影響力を持つとは言い難く、なお刑法改正前の有期懲役刑の上限である懲役20年をもってしては被告人の責任の重さを到底評価し尽くせないというべきである。

所論は、被告人の家族に指導監督能力が存し、被告人の再犯可能性は少ないから、無期懲役を選択するのは重きに失するという。確かに、原判決が家族の状況を述べて将来における指導監督者がないことを指摘し、これを不利な事情として摘示している点は、いずれにせよ受刑を経た相当先の将来の状況に関するものであり、内容としても相当とは言い難いものである。また、被告人の再犯可能性が高いとする点も十分な根拠があるとは言い難い。その意味において原判決の説示には一部適切とは言い難い点も含まれることは所論指摘のとおりである。しかしながら、被告人の家族の状況等は、特別予防的見地から考慮すべき一事情になるとはいえ、本件のように結果の重大な凶悪事犯において、無期懲役を科すべきかどうかに当たり量刑を左右するような事情になると解することはできず、所論は採用できない。

そうすると、被告人を無期懲役及び罰金15万円に処した原判決の量刑は、誠にやむを得ないものであって、これをもって重きに失するとは認められない。量刑不当の論旨には理由がない。

4  結論

以上の次第で、検察官及び被告人の各控訴はいずれも理由がないから、刑訴法396条により本件各控訴をいずれも棄却し、当審における訴訟費用は同法181条1項ただし書を適用して被告人に負担させないこととし、主文のとおり判決する。

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