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名古屋高等裁判所 平成19年(ネ)988号 判決 2008年4月15日

主文

1  原判決中,控訴人の敗訴部分を取り消す。

2  被控訴人Y2は,亡Aの相続財産につき相続権を有しないことを確認する。

3  被控訴人Y1及び同Y3に対する本件控訴をいずれも却下する。

4  訴訟費用は,控訴人と被控訴人Y2との関係では第1,2審とも被控訴人Y2の負担とし,控訴人と被控訴人Y1及び同Y3との関係では控訴費用を控訴人の負担とする。

事実及び理由

第1当事者の求めた裁判

1  控訴の趣旨

(1)  主文第1,2項同旨

(2)  訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人らの負担とする。

2  控訴の趣旨に対する答弁

(1)  本件控訴を棄却する。

(2)  控訴費用は控訴人の負担とする。

第2事案の概要

1  本件は,亡A(以下「被相続人」という。)の子である控訴人が,同じく被相続人の子である被控訴人ら(ただし,被控訴人Y3は被控訴人Y2の妻であり,被相続人の養女である。)に対し,原判決添付の被相続人作成名義の平成13年11月30日付け遺言書(以下「本件遺言書」といい,本件遺言書に記載された遺言を「本件遺言」という。)は被控訴人Y2(以下「被控訴人Y2」という。)が偽造したものであるとして,①本件遺言の無効確認,②被控訴人Y2が被相続人の相続財産について相続権を有しないことの確認を求めたところ,被控訴人らが,本件遺言書は被相続人本人が自書したものであり,被控訴人Y2が偽造したものではないとして,これを争った事案である。

原審は,本件遺言書は被相続人が自書したものとは認められないが,被控訴人Y2が偽造したものとも認められないとして,上記①を認容し,②を棄却したため,控訴人が②を不服として控訴した。

2  争いのない事実,争点及び争点に対する当事者の主張は,以下のとおり,原判決を補正し,当審における当事者の主張を付加するほかは,原判決「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要」1ないし3に記載のとおりであるから,これを引用する。なお,略語については原判決のそれによる(以下,同じ。)

(原判決の補正)

(1) 原判決2頁20行目,同23行目,同3頁1行目,同10行目,同16行目,同17行目,同23行目及び同25行目の各「本件遺言」をいずれも「本件遺言書」と改める。

(2) 同3頁2行目の「本件遺言」を「本件遺言書」と改める。

(当審における当事者の主張)

(1) 控訴人の主張

ア 筆跡鑑定人B(以下「鑑定人B」という。)は,本件遺言書の筆跡に作為性のないことを前提として,本件遺言書の筆跡は被控訴人Y2の自書ではないと鑑定した。しかし,遺書書のような重要な文書を偽造する際には,偽造者は,名義人の筆跡を模倣したり,自己の筆跡を隠そうとするのが通常であり,本件遺言書についても,偽造者が被相続人の筆跡を模倣したり,自己の筆跡を隠そうとして,作為性のある筆跡となっていると考えられる。

したがって,鑑定人Bの上記鑑定結果は前提を誤っているものであるから,そこから直ちに本件遺言書の筆跡が被控訴人Y2の自書ではないということはできない。

イ 被控訴人Y2が本件遺言書を偽造したことを推認させる間接事実について

(ア) 本件遺言書の発見及び保管状況について

本件遺言書が何者かに偽造されたことからすると,被控訴人Y2が本件遺言書を発見し,その後も保管していたという事実は,被控訴人Y2が本件遺言書を偽造したことを窺わせる間接事実である。

(イ) 本件遺言の内容について

① 本件遺言は,被相続人が所有する一切の財産を被控訴人Y2に相続させるというものであるから,本件遺言によって最も利益を得る被控訴人Y2には本件遺言書を偽造する強い動機があった。

② 本件遺言書には,「宮崎県<以下省略>C」に「同封の金地金」を贈与する旨記載されている。したがって,本件遺言書を偽造した者は控訴人の存在を知っていたことになるが,この事実を知っているのは被相続人の戸籍を見た者等,極めて限定されるところ,被控訴人Y2はこれを知っていた(甲15)。

また,「同封の金地金」とは,株式会社スイスゴールドの金の預り証4枚のことであるが,当該預り証は同社の悪質な先物取引に用いられたもので無価値であることからすると,本件遺言書を偽造した者は,被相続人の相続による控訴人の利益を減少させることを企図していたと考えられる。そうすると,本件遺言書を偽造した者は,被相続人の相続に強い利害関係を有する被控訴人らに限られる。

(ウ) 本件遺言書に被相続人の実印が押印されていることについて

本件遺言書には被相続人の実印が押印されているが,本件遺言書は偽造されたものであるから,当該実印も被相続人の意思に基づかないで冒印されたものであるところ,当該実印を使用することができたのは,被相続人と同居していた被控訴人Y2及びその家族に限られる。

(エ) 被相続人と被控訴人Y3の養子縁組届出書について

被控訴人Y2は,平成17年6月7日,被相続人が進行した肺癌に罹患し死期が近いことを知った。そこで,被控訴人Y2は,被相続人の相続人を増やして控訴人の相続分を減らすことを企図し,被相続人の意思に基づかずに,被相続人と被控訴人Y3の養子縁組届出書の被相続人の署名欄に被相続人の氏名を自書した。

上記養子縁組届出書の作成目的は上記(イ)②の本件遺言書の偽造目的と共通しているところ,この事実は,被控訴人Y2が本件遺言書を偽造したことを推認させる。

(オ) 被相続人所有の田の売却について

被相続人所有の田を売却する際の委任状も偽造されたものと考えられるところ,この売却代金1450万円が被控訴人Y2の自宅の建築資金に充てられていることからすると,上記委任状を偽造した者は被控訴人Y2であると推認される。

(カ) 土地・建物賃貸借契約書(甲14,以下「本件賃貸借契約書」という。)について

本件賃貸借契約書は,被相続人が有限会社エムズ・コーポレーション(以下「有限会社エムズ」という。)に対して,被相続人所有の土地,建物を月額20万円で賃貸するというものである。

ところで,本件賃貸借契約書中の「A」及び「豊田市<以下省略>」の文字を記載した者と本件遺言書を偽造した者とは,その筆跡が酷似していることから同一人物であると考えられる。また,本件賃貸借契約書の末尾の数字は被控訴人Y2が記載したものであるから(甲31),本件賃貸借契約書の作成に被控訴人Y2が関与していることは明らかである。

上記の事実は,被控訴人Y2が本件遺言書を偽造したことを推認させる。

(キ) 根抵当権の設定について

被相続人と被控訴人Y2は,平成17年9月7日,豊田信用金庫との間で根抵当権設定契約を締結したが,当該根抵当権設定契約証書及び登記申請委任状の被相続人の署名部分は偽造されたものである。そして,上記偽造に被控訴人Y2が関与していたことは明らかであるところ,被控訴人Y2は,被相続人所有の土地に根抵当権を設定して,その価値を減少させようとしたものと考えられる。

上記根抵当権の設定目的は上記(イ)②の本件遺言書の偽造目的と共通しているところ,この事実は,被控訴人Y2が本件遺言書を偽造したことを推認させる。

(2) 被控訴人らの主張

ア 鑑定人Bは,本件遺言書は被相続人の自筆ではないと鑑定したが,この鑑定結果には疑問があり,被控訴人らは,現在でも被相続人が本件遺言書を自書したものと考えている。

特に,本件賃貸借契約書(甲14)中の「A」及び「豊田市<以下省略>」の文字は被相続人が自書したものであるところ,これらの文字と本件遺言書中の同じ文字とを対照検査すると,両者は同一人の筆跡であることが分かる。本件賃貸借契約書は上記鑑定の資料として採用されなかったが,鑑定資料として採用されていれば鑑定結果が異なった可能性がある。

イ 仮に本件遺言書が被相続人の自書したものではないとすると,被相続人以外の者が自書したことになるところ,控訴人は,いくつかの間接事実を挙げて,被控訴人Y2が本件遺言書を偽造したものと推認される旨主張している。しかし,鑑定人Bは,本件遺言書の文字と被控訴人Y2が作成した対照資料の多数の文字とを対照検査して,両者の筆跡は別人によるものであると鑑定しているのであるから,被控訴人Y2が本件遺言書を偽造したとの推認は成立する余地がない。

ウ また,被控訴人Y2の意を受けた何者かが本件遺言書を偽造した可能性もあり得ない。その理由は以下のとおりである。

(ア) 仮に被控訴人Y2以外の者で被控訴人Y2の意を受けた者が本件遺言書を偽造する場合には,偽造者は必ず被相続人の筆跡をまねようとし,かつ,自分の書き癖を隠す作為をするはずである。しかし,鑑定人Bは本件遺言書について作為性を否定している。したがって,標記の可能性は否定される。

(イ) 被控訴人Y2の周囲には,本件遺言書の偽造に加担するような人物は存在しない。特に,遺言書の偽造は私文書偽造罪に該当するから,他人のためにあえてそのような危険を犯す者はいない。

(ウ) 仮に被控訴人Y2が本件遺言書を偽造しようとしたとすれば,それは他人に知られてはならない極秘事項であるから,自分1人で行ったはずであり,他人に依頼することは考えられない。

エ 被相続人と被控訴人Y3の養子縁組届出書は,被控訴人Y2が,被相続人の依頼を受けて,その署名を代行したものであり,偽造文書ではない。控訴人が提起した養子縁組無効確認訴訟においても,上記のとおり認定され,控訴人の請求は棄却されている。

第3当裁判所の判断

当裁判所は,本件遺言書は被控訴人Y2が自ら偽造したか,第三者と共謀して偽造したものと推認するのが相当であるから,被控訴人Y2が被相続人の相続財産について相続権を有しないことの確認を求める控訴人の請求は理由があるものと判断する。その理由は,以下のとおりである。

なお,「第2 事案の概要」1のとおり,控訴人の本件遺言無効確認請求を認容した原判決の主文第1項については,被控訴人らから控訴がされず確定しているため,当審の審理対象は,本件遺言を被控訴人Y2が偽造したかの点に限られる。

1  本件遺言書の筆跡に関する前提事実について

(1)  原判決の4頁3行目の「証拠(鑑定の結果)」から5頁16行目までを引用する。ただし,同部文中の一部を次のとおり,改める。

原判決4頁4行目,同8行目,同11行目,同13行目,同17行目,同20行目,同23行目,同5頁3行目,同4行目,同5行目,同11行目から12行目にかけて,及び同13行目の各「本件遺書」をいずれも「本件遺言書」と改める。

(2)  以上の引用のとおり,本件遺言書は被相続人が自書したものとは認められない。

なお,被控訴人らは,控訴はしていないながらも,本件賃貸借契約書(甲14)中の「A」及び「豊田市<以下省略>」の文字は被相続人が自書したものであるところ,これらの文字と本件遺言書中の同じ文字とを対照検査すると,両者は同一人の筆跡であることが分かるから,本件遺言書は被相続人の自書である旨主張している。この主張の結論部分は当審では意味がないが,その前提部分は,後記2の争点にかかわる重要な事情であるので,言及すると,次のとおりである。

すなわち,本件賃貸借契約書中の上記各文字が被相続人の自書であることを認めるに足りる証拠は存在しない上,本件賃貸借契約書と本件遺言書の例えば「●」の文字の「一」の部分には書き癖の違いが見られ,同一人の筆跡か定かでないし,他方で,同じ文字の両文書における筆跡の大部分が類似しているところを見ると,被相続人でない者が被相続人の筆跡に似せて書こうとして,微妙な違いが出てしまったものとも窺われ,いずれにしても,被控訴人らの上記主張は採用できない。

2  本件遺言書の作成者(被控訴人Y2に対する本件控訴)について

(1)  原判決の5頁21行目の「証拠(鑑定の結果)」から同6頁5行目までを引用する。ただし,同部分中の一部を次のとおり改める。

同5頁22行目,同24行目,同6頁2行目及び同4行目の各「本件遺言」をいずれも「本件遺言書」と改める。

(2)  以上引用のとおり,本件遺言書と鑑定に用いられた対照資料(被控訴人Y2の筆跡であることに争いのない物)とは,全体的に見れば,同一人筆跡といえる範疇に入る筆跡とみても不自然ではないが,個別の文字の対照検査によれば,書き癖が異なっている。

そこで,その他の事情を検討する。

(3)ア(ア) 当事者間に争いのない事実及び証拠(甲2,4ないし7,15,20,23,24,乙1)並びに弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。

① 控訴人は,被相続人とDとの間の子として昭和54年○月○日に出生した。被相続人は,同年7月13日に控訴人を認知したが,控訴人はDによって養育された。

② 被相続人と被控訴人Y2は,昭和56年3月ころから,愛知県豊田市<以下省略>所在の被相続人宅で一緒に生活するようになった。そして,被控訴人Y2が昭和60年に被控訴人Y3と結婚し,長男,長女,二男が出生した後も,被相続人と被控訴人Y2の家族は上記被相続人宅で一緒に生活していた。

③ 被相続人は,平成17年6月7日,肺癌に罹患していることが判明し,翌8日,トヨタ記念病院に入院した。しかし,検査の結果,肺癌はかなり進んでおり手術は無理であったため,同年7月1日に退院し,同日,有料老人ホーム「aホーム」に入所した。その後,被相続人は,症状が悪化したことから,同年11月11日,トヨタ記念病院に再入院し,同年12月17日,肺癌により同病院で死亡した。

④ 被控訴人Y2は,平成18年3月31日,名古屋家庭裁判所岡崎支部に本件遺言書の検認を申し立てた。そして,被控訴人Y2は,同年5月8日の遺言書検認期日において,本件遺言書の発見及び保管状況について,要旨,「平成17年8月ころ,遺言者の自宅を片付けていたときに同人のカバンを発見し,そのままの状態で申立人の自宅のクローゼット内に保管し,平成18年2月10日,カバンの中に入っていた物を出してE司法書士事務所に持参した際,同司法書士が封緘されていた本件遺言書を開封した。その後,申立人は,本件遺言書を自宅のクローゼット内の金庫に保管していたが,同月15日,被控訴人ら代理人弁護士に本件遺言書を交付し,それ以降は同弁護士がこれを管理していた。」旨陳述した。

(イ) そこで検討するに,被控訴人Y2がE司法書士の事務所に持参した本件遺言書は,上記④の被控訴人Y2の陳述どおりであれば,被控訴人Y2と関係のない第三者が偽造して,これを被相続人の自宅内にあった被相続人のカバン内に密かに入れておいたということになる。しかし,そうしたことがないとは断定できないとしても,その可能性よりも,被控訴人Y2が関与して本件遺言書を偽造し,これをE司法書士事務所に持参した可能性の方が高いと考えられる。

イ(ア) 甲6及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。

① 本件遺言は,被相続人が所有する一切の財産を被控訴人Y2に相続させる,同封の金地金を控訴人に贈与するというものである。

② 上記同封の金地金は,株式会社スイスゴールド発行の,昭和54年1月27日付け200万円相当の金の預り証,同年5月30日付け金5kgの預り証,同年9月29日付け400万円相当の金の預り証及び同年11月9日付け160万円相当の金の預り証のことであるが,これらの預り証は同社の先物取引に用いられたもので,現在では無価値である。

(イ) 上記認定事実によれば,本件遺言によって実質的な利益を得るのは被控訴人Y2のみであり,何の利益も得られない第三者が,被控訴人Y2と無関係に,私文書偽造の犯罪を犯すとは考え難い。

ウ 上記イ(ア)で認定したとおり,本件遺言書には,控訴人に同封の金地金を贈与する旨記載されていたのであるから,本件遺言書を偽造した者は,控訴人の存在を知っており,かつ,20年以上も前の金地金の預り証を入手していたことになる。そうすると,本件遺言書を偽造した者は,被相続人の身分関係を良く知っている人物で,かつ,金地金の預り証を入手し得る立場にある者ということになるところ,被控訴人Y2は控訴人の存在を知っていたし(甲15),被相続人と同居しており,被相続人が平成17年6月8日に肺癌で入院した後は,金地金の預り証を容易に入手し得る立場にあった。そして,他にこのような条件をすべて満たす者は見当たらない。

エ(ア) 甲6,15によれば,以下の事実が認められる。

① 本件遺言書には被相続人の実印が押印されていた。

② 被控訴人Y2は,被相続人が実印をタバコケースの中に入れて保管しているのを知っていた。

(イ) 上記認定事実によれば,被控訴人Y2は,被相続人が平成17年6月8日に肺癌で入院した後は,被相続人の実印を容易に使用することができたものと推認される。

(4)ア  そうすると,上記(2)のとおり,本件遺言書の筆跡と被控訴人Y2の筆跡が全体として類似,個別には異なる点に照らし,被控訴人Y2自身が被相続人の筆跡に似せて本件遺言書を作成したという可能性も少なからず否定できず(この場合には,作為性を否定する鑑定の結果を,その限度で採用しない。),あるいは,被控訴人Y2が第三者とりわけ事情を知らない第三者に依頼して,本件遺言書の文言を記載させたものと認めるのが相当である。

イ  ところで,被控訴人は,仮に被控訴人Y2以外の者が本件遺言書を偽造する場合は,偽造者は必ず被相続人の筆跡をまねようとし,かつ,自分の書き癖を隠そうとするはずであるところ,鑑定人Bは本件遺言書について作為性を否定しているのであるから,被控訴人Y2以外の者が本件遺言書を偽造した可能性は否定される旨主張している。

しかしながら,依頼の仕方によっては,事情を知らない第三者が偽造する意識なしに,すなわち作為性なしに事務的に文言を記載することも可能であり,本件遺言書を直接作成した者が必ず被相続人の筆跡をまねようとし,かつ,自分の書き癖を隠そうとすると断定することはできないから,被控訴人らの上記主張は採用できない。

ウ  次に,被控訴人らの主張ウの(イ),(ウ)は,いずれも上記アの推認を覆すに足りないものである。

(5)  以上によれば,被控訴人Y2には民法891条5号の相続欠格事由が存在することになるから,被控訴人Y2は,被相続人の相続財産について相続権を有しない。

3  被控訴人Y1及び被控訴人Y3に対する本件控訴について

控訴人の被控訴人らに対する本件遺言の無効確認請求は原審において認容されている。そして,本件控訴は,被控訴人Y2が被相続人の相続財産について相続権を有しないことの確認請求が原審において棄却されたため,これを不服としてなされたものであるところ,同確認請求については被控訴人Y1及び被控訴人Y3はいずれも当事者適格を有しないものである。

そうすると,被控訴人Y1及び被控訴人Y3に対する本件控訴は,いずれも控訴の利益を有しないものであるから,却下を免れないものである。

第4結論

以上のとおり,控訴人の被控訴人Y2に対する,被控訴人Y2が被相続人の相続財産について相続権を有しないことの確認請求は理由があり,これと結論を異にする原判決は相当でないから,主文第1項,第2項のとおり判決することとする。

また,控訴人の被控訴人Y1及び被控訴人Y3に対する本件控訴は,いずれも控訴の利益を欠く不適法なものであるから,主文第3項のとおり判決することとする。

そして,訴訟費用については,主文第4項のとおり判決する。

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