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名古屋高等裁判所 平成20年(ネ)468号 判決 2008年12月19日

控訴人(1審被告)

羽島市

同代表者市長

白木義春

同訴訟代理人弁護士

渡邉一平

小川洋子

三輪陽介

星野一郎

控訴人(1審被告)兼

控訴人(1審被告)新日本開発株式会社補助参加人

上記代表者法務大臣

森英介

同指定代理人

辻由起

水野富士夫

坂井良隆

長坂光弘

神後善二

岡部博昭

被控訴人(1審原告)

三井住友銀リース株式会社訴訟承継人

三井住友ファイナンス&リース株式会社

同代表者代表取締役

同訴訟代理人弁護士

今井和男

中村直

初瀬貴

中村克利

主文

1  原判決中、控訴人(被補助参加人)新日本開発株式会社、控訴人羽島市及び控訴人国の各敗訴部分をいずれも取り消す。

2  岐阜地方裁判所平成18年(ケ)第348号担保不動産競売申立事件につき、同裁判所が平成19年5月29日に作成した配当表のうち、原審被告横浜市に対する配当実施額63万7500円、同被告に対する配当実施額58万3300円を、いずれも0円に、控訴人国に対する配当実施額172万7672円を15万2200円に、控訴人(被補助参加人)新日本開発株式会社に対する剰余金交付額1641万6278円を1921万2550円にそれぞれ変更する。

3  上記1項取消にかかる被控訴人の控訴人らに対するその余の請求を棄却する。

4  訴訟費用は、第1、2審とも被控訴人の負担とする。

事実及び理由

第1当事者の求めた裁判

1  控訴人ら

(1)  控訴人羽島市

ア 原判決中控訴人羽島市敗訴部分を取り消す。

イ 被控訴人の請求を棄却する。

(2)  控訴人(被補助参加人)新日本開発株式会社(以下「新日本開発」という。)

ア 原判決中、控訴人(被補助参加人)新日本開発敗訴部分を取り消す。

イ 岐阜地方裁判所平成18年(ケ)第348号担保不動産競売申立事件につき、同裁判所が平成19年5月29日に作成した配当表のうち、原審被告横浜市に対する配当実施額63万7500円、同被告に対する配当実施額58万3300円を、いずれも0円に、控訴人国に対する配当実施額172万7672円を15万2200円に、控訴人(被補助参加人)新日本開発に対する剰余金交付額1641万6278円を1921万2550円にそれぞれ変更する。

ウ 訴訟費用は、第1、2審とも被控訴人の負担とする。

(3)  控訴人国

ア 原判決中、控訴人国敗訴部分を取り消す。

イ 岐阜地方裁判所平成18年(ケ)第348号担保不動産競売申立事件につき、同裁判所が平成19年5月29日に作成した配当表のうち、控訴人国に対する配当実施額を15万2200円に変更する。

ウ 訴訟費用は、第1、2審とも被控訴人の負担とする。

2  被控訴人

(1)  控訴人らの本件控訴をいずれも棄却する。

(2)  控訴費用は控訴人らの負担とする。

第2事案の概要

1  本件は、合併前の三井住友銀リース株式会社(根抵当権の権利者である「クリエイトファイナンス株式会社」の承継人で以下「被控訴人」という。)が、原判決別紙物件目録記載の不動産(以下「本件不動産」という。)について、根抵当権に基づき被担保債権の一部を請求債権として申し立てた担保不動産競売事件(以下「本件先行事件」という。)において、配当要求の終期後に、残余の被担保債権の一部を請求債権として、本件不動産について競売を申し立て、二重競売開始決定(以下「本件後行事件」という。)を得たところ、配当期日において、被控訴人が本件後行事件の債権者として配当を受けられないとされたことを不当として、配当(交付)を受けるものとされた控訴人ら及び債務者に対して異議を申し出て、配当異議訴訟を提起した事案である。

2  原審は、本件先行事件の配当要求の終期後で、代金納付前に本件不動産について二重競売開始決定を得た被控訴人は、配当手続において、本件後行事件で申し立てた請求債権についても配当を受ける資格が認められるとして、被控訴人の請求を認めて配当表を変更したので、控訴人らが控訴した。

なお、控訴人国は、同控訴人に対して配当されるべき金額は15万2200円であるとして不服の範囲を限定した。

3  前提事実(争いのない事実及び証拠等により容易に認められる事実)、争点及び争点に対する当事者の主張は、以下のとおり原判決を付加訂正し、当審における当事者の主張を付加するほかは、原判決の「第2 事案の概要」欄の1ないし4に記載のとおりであるから、これを引用する。

4  原判決の付加訂正

(1)  原判決3頁24行目末尾を改行して、次のとおり付加する。

「(10) 原審で被告であった横浜市は、平成19年6月8日及び同月11日に、本件不動産の所有者兼債務者であり、原審で被告であった新日本開発名義の銀行預金債権の差押処分を行い、その取立を同月27日までに完了したことによって、横浜市が新日本開発に対して有する租税債権は消滅したので、平成18年10月4日及び同月12日付け各交付要求書にかかる交付要求を解除し、国税徴収法84条2項に基づき、その旨を平成19年6月19日付け交付要求解除通知書により岐阜地方裁判所民事部に通知した(《証拠省略》)。」

(2)  原判決4頁12行目冒頭から同頁13行目末尾までを、以下のとおり改める。

「(3) 被控訴人は、根抵当権者として、本件不動産に極度額3億5000万円の範囲で優先弁済請求権を有し、本件後行事件の請求債権額3000万円についても、実体法上、優先弁済請求権を有しているのであるから、配当手続において、根抵当権が有する優先弁済請求権の効力に基づき、現存する被担保債権全額について配当を受領することができる。

(4) 被控訴人は、本件先行事件の差押え登記前に登記された抵当権(根抵当権)に基づいて二重競売開始決定を得た配当資格者であり、前記配当資格者については、一般債権者と異なり、二重競売の申立てをすべき時期的限界は条文上規定されていないし(法87条1項1号及び4号)、配当要求の終期後に二重競売開始決定がなされることは当然に予定されている(法47条3項)。したがって、配当要求の終期は、請求債権の残余について配当を受けようとする先行事件の申立担保権者が、配当受領資格を得るために二重競売を申し立てる際の時期的限界とはならない。

(5) 二重競売開始決定がされた場合であっても、先行事件が進行している限り、配当要求の終期の決定以後の手続は行われないため、二重競売開始決定によって手続が後戻りしたり、裁判の取消し、変更を生じることはないので、被担保債権の一部につき、担保権実行に基づく競売を申し立てた担保権者である被控訴人が、二重競売開始決定を得たうえで被担保債権の残額について配当を受けることとなっても、手続の安定性や迅速性は損なわれない。

(6) 担保権者は、実体法上の優先弁済請求権を有し、かつ担保権の存在、被担保債権額又は極度額等の権利の内容は登記簿上公示されているので、後順位担保権者等は、登記簿の記載により、登記された被担保債権額あるいは極度額の範囲内で、優先する権利を有する先順位の担保権者が存在することを認識することが可能である。したがって、被控訴人が、二重競売開始決定を得たうえで被担保債権の残額について配当を受けることとなっても、禁反言の原則等には反しない。

(7) 申立担保権者以外の担保権者は、債権届出書や債権計算書を提出しなかった場合でも、当該競売手続において配当受領資格を失うことがない。これに対し、被担保債権の一部の債権について先行事件を申し立てた担保権者が、配当要求の終期までに二重競売を申し立てなければ、残部の債権について配当を得ることができないとすることは、申立担保権者以外の担保権者の場合と比較して著しく均衡を失する。

以上より、被控訴人は、本件不動産について二重競売開始決定を得ているから、本件先行事件における配当を受ける地位を有している。」

(3) 原判決5頁6行目冒頭から同頁26行目末尾までを、次のとおり改める。

「(3) 申立債権者が競売申立て時点における請求債権額を拡張することは予定されていない。すなわち、民事執行法及び同規則(以下単に「法」あるいは「規則」という。)では、担保権の実行としての競売手続について申立主義が採用され、申立てにおける請求債権の範囲については当事者に処分権が与えられ、この申立てに基づいて競売開始決定がなされ、その後も申し立てられた請求債権額を前提として、手続が進行することが予定されている(法181条1項、規則170条1項)。これらの点に照らすと、担保権実行としての競売手続は、競売を申し立てた担保権者に、その申立債権額について満足を与えるための手続であって、競売手続を申し立てた担保権者が、当初の請求債権額を無制限に拡張することは予定されていない。

また、担保権の実行としての競売において、申立債権者が請求債権額を一部に限定して申し立てたのであれば、それは競売手続における優先弁済請求権の行使の範囲を自ら画したものとみることができる。そして、配当要求をする申立債権者以外の債権者は、上記の申立債権者は、残部については権利行使をしないものと予測し、それをもとに自らも配当を受けることができるかどうかを判断することになる。このように、申立債権額が、申立債権者以外の債権者にとって債権回収の可否にかかる判断基準として機能していることに照らして、申立債権者以外の債権者の前記予測に関する信頼は保護されなければならず、競売手続において、申立債権者が請求債権額を増額して変更することは信義則ないし禁反言の原則に反する。

(4) そして、執行裁判所が配当要求の終期の決定をする(法49条1項)のは、配当を受けるべき債権者について、その配当要求額を配当要求の終期において一応確定させることで、手続の安定性を確保し、それを前提に以後の売却条件を決定するという趣旨である。したがって、配当要求の終期後に請求債権の拡張を許せば、執行裁判所は売却条件の変更を余儀なくされるなど、競売手続を混乱させ、長期化させる危険性があるから、配当要求の終期後に請求債権を拡張することは許されない。

(5) 被控訴人のように、二重競売開始決定を得て、先行事件における請求債権以上の被担保債権の残部について配当を受けようとすることは、いったんなされた競売申立書の記載を、実質的に、別の申立てにより修正するものであり、先行事件における競売手続と後行事件におけるそれとは、実質的には一体のものとして取り扱われていることに鑑みると、いったん自ら行った一部実行の申立てを当該手続において覆すことにほかならないから、申立債権者が、二重競売開始決定を得ずに当初の請求債権額を拡張する場合と同様に、信義則ないし禁反言の原則に反する。また、申立債権者が、配当要求の終期後に二重競売開始決定を得た場合に、先行事件における請求債権以上の被担保債権の残部について配当を受け得るとすると、申立債権者が二重競売開始決定を得ずに当初の請求債権額を拡張する場合と同様に、それまでに提出された資料、申立債権者の申立債権額を基準とする各判断やこれらに基づいて積み重ねられた売却実施にかかる手続を無意味なものとし、競売手続の安定性が損なわれることとなる。」

5  当審における控訴人国兼控訴人新日本開発補助参加人国の主張

原審で被告であった横浜市は、平成19年6月8日及び同月11日に、本件不動産の所有者兼債務者であり、原審で被告であった新日本開発名義の銀行預金債権の差押処分を行い、その取立を同月27日までに完了したことによって、横浜市が新日本開発に対して有する租税債権は消滅したので、平成18年10月4日及び同月12日付け各交付要求書にかかる交付要求を解除し、国税徴収法84条2項に基づき、その旨を平成19年6月19日付け交付要求解除通知書により岐阜地方裁判所民事部に通知した。よって、本件先行事件について、岐阜地方裁判所が平成19年5月29日に作成した配当表のうち、原審被告横浜市に対する配当実施額63万7500円、同被告に対する配当実施額58万3300円を、いずれも0円に、控訴人国に対する配当実施額172万7672円を15万2200円に、控訴人(被補助参加人)新日本開発に対する剰余金交付額1641万6278円を1921万2550円にそれぞれ変更するのが相当である。

第3当裁判所の判断

1  当裁判所は、本件不動産について、根抵当権に基づいて被担保債権の一部を請求債権として申し立てた本件先行事件の差押債権者である被控訴人は、配当要求の終期後に、残余の被担保債権の一部を請求債権として競売を申し立て、本件不動産について二重競売開始決定を得たとしても、本件先行事件の配当期日において、本件後行事件の請求債権額については債権者として配当を受けることはできないと解すべきであると判断する。その理由は以下のとおりである。

2  被控訴人は、本件担保権の登記は競売にかかる差押え登記よりも前になされているので、「差押えの登記前に登記がされた抵当権で売却により消滅するものを有する債権者」(法87条1項4号)に該当し、かつ、本件不動産について本件担保権の残余の被担保債権を請求債権として二重競売の申立てをし、不動産競売開始決定を受けたものであるところ、二重競売の申立てについては時期的な制約は条文上、規定されていないので、当該申立てが配当要求の終期後になされたものであっても、本件先行事件における配当を受け得るものである旨主張するので検討する。

(1)  まず、規則179条1項4号で被担保債権の一部について担保権の実行としての競売申立てをすることができることが明文で規定されており、担保権実行としての不動産競売において、被担保債権の一部のみについての担保権の実行であると表示して、競売開始決定を得た担保権者が、後に債権計算書等で、当該一部又は一定額の債権を超える額の債権を被担保債権として配当を求めることが許されるかどうかについては、競売換価手続に申立主義が取られ、その処分権は当事者が有するのであるから、債権者が、自ら、競売申立ての段階で請求債権を一部に絞って限定した以上、それに拘束されることになってもやむを得ないものというべきである。その理由は、申立債権者の請求債権額は、競売手続において、超過売却になるかどうか(法73条、188条)、無剰余になるかどうか(法63条、188条)等の判断の基準となり、競売手続は、申立債権者の請求債権額に基づいて、一つずつ手続を積み重ねて進行していくものであるから、配当段階に至って、申立債権者に請求債権を拡張することを認めると、これらの判断を無意味なものとし、手続の安定を害することになるうえ、他の債権者としても、申立債権者の請求債権額を目安にして、配当要求をすべきかどうか、債権届出をすべきかどうかあるいは他の債権回収手段を採るべきかどうか等の判断をしているのであるから、他の債権者の予測を害することになってしまい、信義誠実の原則ないし禁反言の原則に反する結果となるからである。したがって、担保権者が請求債権を被担保債権の一部に限定して競売手続を申し立て、当該競売手続が開始された以上、競売を申し立てた担保権者は、自ら申し立てた請求債権に拘束され、後に請求債権を拡張することは許されないと解するのが相当である。

(2)  次に、担保権者は、請求債権を被担保債権の一部に限定して競売を申し立てたからといって、残余の被担保債権について担保権の効力が消滅するわけではないから、その部分について第2の競売申立てをすることは可能であり、配当要求の終期までに残余の被担保債権を請求債権として二重競売の申立てをすれば、その額について先行事件での配当を受けることができるものというべきである。

(3)  さらに、担保権者が二重競売の申立てをするについて時期的な制限があるかどうかが問題となる。この点につき、被控訴人は、担保権者は一般債権者と異なり、二重競売の申立てをすべき時期的限界は条文上規定されていないし(法87条1項1号及び4号)、配当要求の終期後に二重競売の申立てがなされ二重競売開始決定がなされることは当然に予定されている(法47条3項)ので、先行事件の申立担保権者が配当受領資格を得るために、二重競売の申立てをすることについて、配当要求の終期は時期的な限界とはならない旨主張する。

しかしながら、本件のように配当要求の終期を経過し、本件不動産の売却許可決定後に本件不動産について二重競売開始決定を得た被控訴人が、本件不動産の換価の結果得られた金銭の配当を受けることができるとすることは、(1)で判示した場合と同様に、本件不動産の換価価値に利害関係を有する控訴人らの信頼や予測に反することになるものであって、他の債権者との関係で禁反言の原則に反することになるのみならず、執行手続全体の安定性を害することとなる。そして、確かに、この二重競売の申立てをなすべき時期的限界について、明確に定めた規定は見当たらないが、法87条1項1号、2号が、強制競売や一般先取特権の競売申立債権者や配当要求債権者が配当受領資格を取得するための、差押えや配当要求の時期的限界を配当要求の終期までに区切っているのは、結局、自ら差押えや配当要求などをし、当該執行手続から配当を得ようとする者は、その配当要求の終期までにその要求内容を確定させるべきであるとする趣旨であると解されるので、実質的には請求を拡張して配当を得る手段としての二重競売の申立ても、配当要求の終期までになされなければならないと解するのが相当である。また、このように解しても、自ら一定額の債権額を申し出て当該執行手続に参加した担保権者は、自ら配当を受け得る額を制限して手続に参加したのであるから、このような債権者について、一定の場合に、権利の行使に制限を加えても手続法による実体権の行使の制限として許容される限度内にあるというべきである。

以上に述べたところからすると、先行事件の申立担保権者である被控訴人が、先行事件で請求債権として限定した被担保債権を超える残余の被担保債権について先行事件で配当を受けるためには、先行事件の配当要求の終期までに、残余の被担保債権を請求債権として、二重競売の申立てをしなければならないというべきである。したがって、本件不動産の売却許可決定後に本件不動産について二重競売の申立てをし、二重競売開始決定を得たに過ぎない被控訴人は、本件後行事件における請求債権について、本件先行事件における配当を受けることはできないというべきである。

(4)  これに対し、被控訴人は、上記のように解することは、申立担保権者以外の担保権者は、債権届出書や債権計算書を提出しなかった場合でも、当該競売手続において配当を受ける資格を失うことがないことと比較して均衡を失すると主張する。

しかしながら、申立債権者以外の差押え登記前に登記された担保権者は、債権届出の催告の相手方となり(法49条2項2号)、配当要求の終期までに債権届出をすべき義務を負っていて(法50条1項、188条)、故意過失により債権届出をしなかったときや不実の届出をしたときは、それにより生じた損害を賠償すべき責任を負っている(法50条3項)のであるから、損害賠償責任が課される危険を負担しながら、申立債権者が主導する手続を利用して自己の権利の実現に与ることができるに過ぎない。これに対し、被控訴人は、自己に有利な時期に担保権の実行を企画し、自ら、申立ての段階で、被担保債権の優先弁済請求権を行使する範囲を根抵当権の被担保債権の一部に限定して、当該競売手続を主導したものであるから、自ら表明した権利行使の範囲に拘束されることになったとしても、これをもって、申立債権者以外の差押え登記前に登記された担保権者と比較して均衡を失するとはいえないというべきである。したがって、この点に関する被控訴人の主張は採用し難い。

以上のとおり、被控訴人の主張はいずれも理由がない。

3  なお、前記(付加訂正後の原判決)のとおり、原審で被告であった横浜市は、平成19年6月8日及び同月11日に、本件不動産の所有者兼債務者であり、原審で被告であった新日本開発名義の銀行預金債権の差押処分を行い、その取立を同月27日までに完了したことによって、横浜市が新日本開発に対して有する租税債権は消滅したので、平成18年10月4日及び同月12日付け各交付要求書にかかる交付要求を解除し、国税徴収法84条2項に基づき、その旨を平成19年6月19日付け交付要求解除通知書により岐阜地方裁判所民事部に通知したことが認められ(《証拠省略》>、また、控訴人国は、不服の範囲を15万2200円の範囲に限定している。

そうすると、本件先行事件について、岐阜地方裁判所が平成19年5月29日に作成した配当表のうち、原審被告横浜市に対する配当実施額63万7500円、同被告に対する配当実施額58万3300円を、いずれも0円に、控訴人国に対する配当実施額172万7672円を15万2200円に、控訴人(被補助参加人)新日本開発に対する剰余金交付額1641万6278円を1921万2550円にそれぞれ変更するのが相当である。

第4結論

よって、以上と結論を異にする原判決を取り消し、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 高田健一 裁判官 尾立美子 堀禎男)

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