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名古屋高等裁判所 平成27年(ラ)442号 決定 2016年2月19日

抗告人

A

相手方

B

主文

1  原審判を取り消す。

2  抗告人と相手方との間の平成21年○月○日に成立した那覇家庭裁判所平成21年(家イ)第○○号夫婦関係調整調停事件の調停条項第2項

(3)のうち,平成26年○月以降に抗告人が相手方に支払うべき婚姻費用の分担金額を,同月及び同年○月を月額46万円,同年○月から同年○月までの間を月額49万円,同年○月以降を月額39万円に減額する。

3  手続費用は,原審及び当審を含めて,各自の負担とする。

理由

第1  抗告の趣旨

別紙「即時抗告申立書」に記載のとおり。

第2  事案の概要

1  事案の要旨

(1)本件は,夫である抗告人(昭和44年○月○日生)と妻である相手方(昭和44年○月○日生)との間の那覇家庭裁判所平成21年(家イ)第○○号夫婦関係調整調停事件(以下「前件調停事件」という。)において,平成21年○月○日,抗告人が,相手方に対し,当事者の別居期間中における婚姻費用の分担金として,毎月末日限り,①平成22年○月及び同年○月は月額15万円,②同年○月は月額35万円,③同年○月から当事者の同居又は婚姻を解消する月まで月額50万円を支払うとの調停(以下「前件調停」という。)が成立したところ,抗告人が,前件調停の成立後,交際相手との間に生まれた子を養育しているなどとして,相手方に対し,上記③に係る月額50万円の婚姻費用の分担金を月額20万円に減額するよう求めた事案である。

(2)原審が,抗告人の申立てを信義誠実の原則に反するなどとして却下したため,抗告人が即時抗告した。

略語は,特に断らない限り,原審判の例による。

第3  当事者の主張

1  原審における当事者の主張

次のとおり補正するほかは,原審判「理由」の「第2 申立ての理由等」の2及び3に記載のとおりであるからこれを引用する。

(原審判の補正)

(1)原審判3頁22行目の「前回調停」を「前件調停」に改める。

(2)原審判4頁4行目の「F」を「F」に改める。

(3)原審判4頁5行目の「G」を「G」に改める。

(4)原審判4頁5行目の「H」を「H」に,同行目の「I」を「I」に,6行目の「J」を「J」にそれぞれ改める。

2  当審における当事者の主張

別紙「即時抗告理由書」及び同「答弁書」記載のとおりである。

第4  当裁判所の判断

1  当裁判所は,抗告人の分担すべき婚姻費用額を,平成26年○月及び同年○月を月額46万円,同年○月から同年○月までの間を月額49万円,同年○月以降を月額39万円と定めた上,前件調停の調停条項第2項(3)をその旨変更するのが相当であると判断する。

その理由は,次の2以下のとおりである。

2  認定事実

次のとおり補正するほかは,原審判「理由」の「第2 申立ての理由等」の1に記載のとおりであるから,これを引用する。

(原審判の補正)

(1)原審判1頁22行目の「当庁」を「岐阜家庭裁判所中津川出張所」に改める。

(2)原審判1頁24行目の「申立人は相手方と」の次に「平成9年○月○日に」を加える。

(3)原審判1頁26行目の「もうけたが,平成18年○月に」を次のとおり改める。

「もうけた。その後,抗告人は,歯科医師(勤務医)として稼働しながら家族とともに××市などで居住していたが,平成17年○月頃,知人に誘われて××市にて歯科医院を開業することとし,同年○月,単身で××市に転居し,相手方は,同月以降,長男及び二男とともに,相手方の実家のある××市にて生活し,平成18年○月,長男及び二男を連れて,××市に転居し,以後,抗告人と同居するようになった。」

(4)原審判2頁2行目の「訴えるようになり」を「訴えて心療内科に通院するようになり」に改める。

(5)原審判2頁4行目末尾に次のとおり加える。

「相手方が居住していた別居先のマンションの賃料月額4万9000円は,抗告人が支払っていた。」

(6)原審判2頁5行目の「同日」の次に「,長男及び二男とともに」を加える。

(7)原審判2頁6行目の「F」を「F」に改め,同行目から7行目にかけての「申立人」から,8行目末尾までを削る。

(8)原審判2頁9行目冒頭から17行目末尾までを次のとおり改める。

「(2)抗告人は,平成21年○月○日,相手方との離婚を望み,同人を相手方として,那覇家庭裁判所に対し,前件調停事件の申立てをした。

前件調停事件において,相手方は,抗告人から生活費として月額15万円の支払を受けているほかは収入がなく,抗告人から聞いた年収額2250万円を前提にすると,養育費として月額30万円の支払を希望する旨の回答書を提出していた。

前件調停事件において提出された平成20年分の確定申告書の写し及び給与所得の源泉徴収票によれば,抗告人は,「K」との屋号で歯科医院を経営しており,その事業によって年額1780万8288円(ただし,上記確定申告書における事業所得金額1569万4998円から社会保険料113万6710円を控除し,専従者給与控除260万円及び青色申告特別控除65万円を加算した金額)を得ていたほか,Mから給与所得(源泉徴収票の支払金額欄記載の金額)として年額781万円の支払を受けていた。

前件調停事件において,相手方は,離婚に応じず,長男及び二男を連れて××で生活し,××への転居費用を抗告人が負担することを希望したことから,抗告人と相手方との間で,平成21年○月○日,①当分の間別居すること(前件調停の調停条項第1項),②抗告人の分担する婚姻費用額につき,ⓐ相手方が転居するまでの平成22年○月及び同年○月の婚姻費用を月額15万円(同調停条項第2項(1)),ⓑ相手方が××市に転居する同年○月の婚姻費用を35万円(同調停条項第2項(2)),ⓒ相手方が転居した後の同年○月以降,同居又は婚姻解消の月までの婚姻費用を月額50万円(同調停条項第2項(3))と定め,これを毎月末日限り,相手方名義の通常貯金口座に振り込んで支払うこと,③抗告人は,相手方の××県内への転居に伴う費用につき,実費額を負担すること(同調停条項第3項)を内容とする前件調停が成立した。」

(9)原審判2頁20行目の「就労困難な状況にある」を「通院治療継続中である」に改める。

(10)原審判2頁22行目冒頭から24行目末尾までを次のとおり改める。

「(4)前件調停成立後の平成22年○月○日,抗告人とFとの間の子であるGが出生した。

抗告人,F及びGは,平成24年○月○日,××市内の別のマンションに転居するなどして同居していたが,平成25年○月○日,FがGを連れて別のマンションに転居して抗告人と別居した。

抗告人は,同年○月○日,Gを認知し,同年○月○日,Fとの間で,抗告人が,Fに対し,同年○月からGが成人するまでの間の育児費用として,月額15万円を支払うことなどを内容とする「育児費用に関する誓約書」を作成し,同月以降,これを支払っているが,その支払を確認できない期間もある。

(5)抗告人は,Hと交際し,平成26年○月頃から同居しており,同年○月○日,Hが妊娠していた子(双子)を胎児認知した。同月○日,抗告人とHとの間の子であるI及びJが出生した。抗告人は,現在も,H,I及びJと同居している。」

(11)原審判2頁25行目の「(5)」を「(6)」に改める。

(12)原審判3頁1行目の「「課税される所得金額」から同行目末尾までを次のとおり改める。

「「事業所得金額」は2218万3934円,「不動産所得金額」は108万0089円,「雑所得金額」は2100円である(合計2326万6123円)。」

(13)原審判3頁2行目の「(6)」を「(7)」に改め,3行目の「相手方は」から12行目末尾までを次のとおり改める。

「 相手方は,平成23年○月○日,婚姻費用が減額されたことを知り,抗告人に対して,前件調停どおり支払ってほしい旨の電子メールを送信したが,抗告人はこれに応じなかった。

(8)抗告人は,平成26年○月○日,婚姻費用の減額を求める調停を岐阜家庭裁判所多治見支部に申し立て,同調停事件は,岐阜家庭裁判所中津川出張所に回付された(同出張所平成26年(家イ)第○○号婚姻費用分担(減額)調停申立事件。

以下「本件調停事件」という。)。

(9)相手方は,同年○月○日,抗告人を債務者とする過去の婚姻費用に関する債権差押命令(那覇地方裁判所平成26年(ル)第○○号)の発令を受けた。

これに対し,抗告人は,同年○月○日,上記差押命令の債務名義である前件調停の調停調書について,那覇家庭裁判所に請求異議訴訟(同裁判所平成26年(家ヘ)第○○号。以下「本件請求異議訴訟」という。)を提起した。

(10)本件調停事件は,平成27年○月○日,調停不成立となり,審判手続に移行した。

(11)那覇家庭裁判所は,同年○月○日,本件請求異議訴訟につき,抗告人の請求を棄却するとの判決を言い渡した。」

3  検討

(1)事情変更の有無について

ア 婚姻費用の分担額の減額は,婚姻費用分担の程度若しくは方法について協議又は審判があった後,事情に変更を生じたときに認められるものであるところ(民法880条参照),上記「事情の変更」とは,協議又は審判の際に考慮され,あるいはその前提とされた事情に変更が生じた場合をいい,協議又は審判の際に既に存在し,判明していた事情や,当事者が当然に予想し得た事情が現実化したにとどまる場合を含むものではない。

イ  上記2の認定事実(補正して引用した原審判第2の1。以下同じ)によれば,抗告人は,前件調停成立後に出生したG,I及びJを認知し,その扶養義務を負うに至っており,前件調停成立後,抗告人が扶養義務を負う未成年の子の数に変更が生じたことが認められ,これは,婚姻費用の分担額の減額を認めるべき「事情の変更」に該当するものである。

これに対し,相手方は,重婚的内縁関係から派生した婚外子の存在を考慮するのは,信義則に反すると主張するが,G,I及びJは,長男及び二男と同様,抗告人から等しく扶養を受ける権利を有するから,上記主張は採用できない。

また,相手方は,Fが,前件調停時に既にGを妊娠していた可能性があるから,同人の出生が,抗告人に予見し得た事情にとどまると主張するが,Gは平成22年○月○日に出生したものであり,前件調停が成立した平成21年○月○日の時点で,抗告人が,Fの妊娠を認識していたとはいえないから,上記主張は採用できない。

したがって,抗告人がG,I及びJに対する扶養義務を負うことを前提に,その分担すべき婚姻費用額を算定すべきである。

ウ また,上記2の認定事実によれば,前件調停が成立した平成21年○月○日当時,長男は10歳,二男は7歳であったことに加え,相手方が,心療内科に通院していたことから,前件調停においては,相手方が無収入であることが前提とされていたものと推認される。

しかし,本件申立てがされた平成26年○月○日の時点では,長男は14歳,二男は12歳であり,長男及び二男を養育する必要から,相手方の就労が困難であるとはいえない。また,上記2の認定事実によれば,相手方は,精神疾患が平癒しているとはいえないものの(乙4,11),不定期ながら託児の仕事を請け負って収入を得ており,稼働能力がないとはいえない。

これは,前件調停の成立後,当事者が前提としていた相手方の稼働能力の点に変更が生じたものであるから,婚姻費用の分担額の減額を認めるべき「事情の変更」に該当するものである。

そして,相手方は,精神疾患が平癒したとはいえないこと,抗告人との同居期間中は基本的に専業主婦であったこと,平成26年○月の本件申立て当時44歳であったことを考慮すると,相手方には,平成26年賃金構造基本統計調査報告第3巻第13表「短時間労働者の年齢階級別1時間当たり所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額」産業計・企業規模計・女子40歳~44歳の年収額119万9582円(1時間当たりの所定内給与額1023円×1日当たりの所定内実労働時間5.4時間×実労働日数17.5日×12か月+年間賞与等3万9500円)の半額程度(60万円)の収入を得られる稼働能力があることを前提に,抗告人が分担すべき婚姻費用額を算定すべきである。

エ その他,抗告人は,上記事情の変更に該当する事由として,①相手方との別居期間が長期化していること,②前件調停時,月額50万円の婚姻費用を分担する期間を限定したこと,③抗告人が自営業者であるため,その収入が変動し得ることを主張する。

しかし,上記①については,上記2の認定事実によれば,前件調停事件において,相手方は抗告人との離婚に応じないまま,その後,長男及び二男を伴って××市に転居していることが認められ,その後,別居解消について協議されたことをうかがわせる事情もないから,別居期間が長期化することは,前件調停事件係属時に当事者双方が予見し得た事情といえる。

また,上記②は,それ自体,前件調停の成立後に事情が変更したことをいうものではない。

さらに,上記③については,抗告人は,前件調停事件係属前から歯科医院を経営する自営業者であり,前件調停成立後,その経営状況に大きな変更があったことを認めることはできず,上記2の認定事実によっても,抗告人の収入に大きな変動があったとは認められないから,前件調停によって合意された婚姻費用額を減額すべき程度に,事業所得金額の変動が生じたとはいえない。

したがって,抗告人の上記①ないし③の主張は,いずれも「事情の変更」に該当する事由とはいえず,採用できない。

(2)婚姻費用減額の始期

上記2の認定事実によれば,抗告人は,平成26年○月に本件申立てをしているところ,平成22年○月○日にGが出生し,平成25年○月○日にGを認知していることが認められるから,婚姻費用減額の始期は平成26年○月とするのが相当である。

(3)婚姻費用額の算定

抗告人が分担すべき婚姻費用の額を算定するに当たっては,いわゆる標準算定方式及び標準算定表(判例タイムズ1111号285頁)に依拠して検討するのが相当である。

ア 抗告人の総収入及び基礎収入

上記2の認定事実及び証拠(甲24)を前提にすると,抗告人の平成26年度の総収入は,同年度の確定申告書に記載された事業所得金額,不動産所得金額及び雑所得金額の合計2326万6123円から,社会保険料103万7710円を控除し,青色申告特別控除額65万円を加算した2287万8413円となる。

上記総収入額は,標準算定方式における自営業者の総収入額1409万円を約800万円上回るものであるところ,その基礎収入割合を42%とするのが相当と判断する。そうすると,基礎収入は960万8933円(2287万8413円×0.42)となる。

この点,相手方は,抗告人がNに加入しておらず,接待交際費が発生するはずがないこと,Lに対する仕入原価及び広告宣伝費が水増しされてHへの生活費に充てられていることを理由に,これら費用を抗告人の総収入に加算すべきであると主張するが,一件記録上,抗告人に接待交際費が生じていないこと,上記仕入原価と広告宣伝費が水増しされてHの生活費に充てられたことを認めることはできず,上記主張は採用できない。

イ 相手方の総収入及び基礎収入上記3(1)ウにおいて説示したとおり,相手方の平成26年度の総収入(給与所得)は,60万円であり,その基礎収入割合を42%とするのが相当であるから,基礎収入は25万2000円(60万円×0.42)となる。

ウ 生活費指数等

(ア)相手方は,平成26年○月の時点において,長男(平成11年○月○日生)及び二男(平成14年○月○日生)を養育しており,抗告人が分担すべき婚姻費用額を算定するに当たり,抗告人及び相手方の生活費指数をいずれも100,長男の生活費指数を平成26年○月及び同年○月は55,同年○月以降は90,二男の生活費指数を55とするのが相当である。

(イ)また,抗告人は,平成26年○月の時点において,G(平成22年○月○日生,平成25年○月○日認知)を養育する義務を負っているところ,上記2の認定事実によれば,抗告人が,Fとの間で,平成24年○月からGが成人するまでの間,育児費用として,月額15万円を支払うことを合意し,同月以降支払っているが,その支払を確認できない期間もあること,上記合意の際,抗告人が,相手方に対する婚姻費用の分担額をどの程度考慮したかは不明であることから,これをそのまま抗告人の基礎収入から控除するのは相当ではない。

したがって,Gの生活費指数は,標準算定方式における15歳未満の子の生活費指数55を,抗告人の基礎収入額と,Gの母であるFの基礎収入額とで按分するのが相当である。

そして,Fが昭和51年○月生まれの女性であり,その稼働能力に特段の問題があることをうかがわせる証拠もないから,Gが平成26年○月当時,3歳であることを考慮しても,平成26年賃金構造基本統計調査報告第3巻第13表「短時間労働者の年齢階級別1時間当たり所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額」産業計・企業規模計・女子35歳~39歳の年収額125万8224円(1時間当たりの所定内給与額1058円×1日当たりの所定内実労働時間5.5×実労働日数17.3×12か月+年間賞与5万0200円)程度の総収入を得られる稼働能力があると認めるのが相当である。

そして,その基礎収入割合は41%とするのが相当であるから,Fの基礎収入は,51万5871円(125万8224円×0.41。1円未満切捨て。以下同じ)である。

したがって,Gの生活費指数は,次の計算式のとおり52となる。

(計算式)

55×960万8933円/(960万8933円+51万5871円)=52

(ウ)さらに,抗告人は,平成26年○月以降,I及びJを養育する義務を負っているところ,同人らについても,Gと同様,標準算定方式における15歳未満の子の生活費指数55を,抗告人の基礎収入額と,I及びJの母であるHの基礎収入額とで按分するのが相当である。

そして,Hは,Lの代表取締役であり,役員報酬として年額240万円の支払を受けており,その基礎収入割合を39%とするのが相当であるから,Hの基礎収入は,93万6000円(240万円×0.39)である。

したがって,I及びJの生活費指数は,次の計算式のとおりそれぞれ50となる。

(計算式)

55×960万8933円/(960万8933円+93万6000円)=50

エ 婚姻費用額の算定

上記アないしウを前提に,婚姻費用額を算定すると,次のとおり,平成26年○月及び同年○月が月額45万5702円,同年○月から同年○月までの間が月額48万6121円,同年○月以降が月額38万4085円となる。

(ア)平成26年○月及び同年○月

相手方が養育している長男が14歳(生活費指数55),二男が12歳(同55)であり,抗告人が養育する義務を負っている認知している子はG(同52)のみであるから,相手方に割り振られるべき婚姻費用は,次の計算式のとおり,572万0430円であり,ここから相手方の基礎収入25万2000円を差し引くと,抗告人が支払うべき婚姻費用は,年額546万8430円(月額45万5702円)である。

(計算式)

(960万8933円+25万2000円)×(100+55+55)/{(100+55+55)+(100+52)}=572万0430円572万0430円-25万2000円=546万8430円546万8430円÷12か月=45万5702円

(イ)平成26年○月から同年○月まで

相手方が養育している長男が15歳(生活費指数90),二男が12歳(同55)であり,抗告人が養育する義務を負っている認知している子はG(同52)のみであるから,相手方に割り振られるべき婚姻費用は,次の計算式のとおり,608万5462円であり,ここから相手方の基礎収入25万2000円を差し引くと,抗告人が支払うべき婚姻費用は,年額583万3462円(月額48万6121円)である。

(計算式)

(960万8933円+25万2000円)×(100+90+55)/{(100+90+55)+(100+52)}=608万5462円608万5462円-25万2000円=583万3462円583万3462円÷12か月=48万6121円

(ウ)平成26年○月以降

相手方が養育している長男が15歳(生活費指数90),二男が12歳(同55)であり,抗告人が養育する義務を負っている認知している子はG(同52),I及びJ(いずれも生活費指数50)であるから,相手方に割り振られるべき婚姻費用は,次の計算式のとおり,486万1023円であり,ここから相手方の基礎収入25万2000円を差し引くと,抗告人が支払うべき婚姻費用は,年額460万9023円(月額38万4085円)である。

(計算式)

(960万8933円+25万2000円)×(100+90+55)/{(100+90+55)+(100+52+50+50)}=486万1023円486万1023円-25万2000円=460万9023円460万9023円÷12か月=38万4085円

(4)抗告人が分担すべき婚姻費用額

以上のほか,本件に顕れた一切の事情を考慮すれば,抗告人が分担すべき婚姻費用額を平成26年○月及び同年○月を月額46万円,同年○月から同年○月までの間を月額49万円,同年○月以降を月額39万円とするのが相当である。

4  まとめ

以上の次第で,前件調停の調停条項第2項(3)を上記3(4)のとおり変更するのが相当である。

第5  結論

よって,抗告人の本件申立てを却下した原審判を取り消し,前件調停の調停条項第2項(3)を上記第4の4の趣旨に変更することとして,主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 揖斐潔 裁判官 池田信彦 裁判官 片山博仁)

別紙

即時抗告申立書<省略>

即時抗告理由書<省略>

答弁書<省略>

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