名古屋高等裁判所 平成7年(う)35号 判決 1995年8月08日
裁判所書記官
舩橋和彦
本籍
名古屋市守山区鳥羽見三丁目四〇九番地
住居
同市東区砂田橋三丁目二番 大幸東団地一〇七棟四〇二号
会社員(元代議士秘書)
落合進
昭和一七年一〇月三日生
右の者に対する政治資金規正法違反、所得税法違反被告事件について、平成六年一一月二一日名古屋地方裁判所が言渡した判決に対し、原審弁護人から控訴の申立があったので、当裁判所は、検察官田子忠雄出席の上審理し、次のとおり判決する。
主文
本件控訴を棄却する。
理由
本件控訴の趣意は、弁護に高山光雄、同増田聖子が連名で作成した控訴趣意書に記載のとおりであるから、これを引用する。
所論の要旨は、原判示犯罪事実第四、第五の各事実について、以下のとおりである。原判決「別表あ」ないし「別表か」記載の各納税義務者(以下「納税義務者」という)は、大谷忠雄を推薦し支持することを目的として設立された各政治団体に対して、現実に控訴趣意書「別表(あ)」ないし「別表(か)」記載の各金額(以下「現実寄附金額」という)を寄附している。したがって、右各現実寄附金額(ただし、所得税法七八条一項二号により右各金額から一万円を差し引いた金額)を、平成六年法律第四号による改正前の政治資金規正法(以下「政治資金規正法」という)所定の政治団体に対する正当な寄附として、平成五年法律第六八号による改正前の租税特別措置法(以下「租税特別措置法」という)四一条の一六を適用し、所得税法七八条二項に規定する特定寄附金とみなして、同条一項により課税されるべき総所得金額から控除した上、課税される所得金額、所得税額を算定し、ほ脱額を認定すべきである。ところが、原判決は、右納税義務者の各現実寄附金額が所得税法七八条二項に規定する特定寄附金とみなされることはないとして、これを総所得金額から控除することなく、原判決「別表あ」ないし「別表か」記載のとおり、課税される所得金額、所得税額を算定し、これによってほ脱額を認定したが、この認定は事実を誤認し、かつ、右関係諸法令の適用を誤ったものであって、これが判決に影響を及ぼすことは明らかである。このように主張する。
所論にかんがみ、原審で取調べられた関係各証拠を調査して検討するに、結論として、原判決が原判示第四、第五に記載のとおり、各納税義務者の各現実寄附金額を、所得税法七八条二項に規定する特定寄附金とみなさず、したがって同条一項により課税されるべき総所得金額から現実寄附金額を控除しないで、原判決「別表あ」ないし「別表か」記載のとおり、課税される所得金額、所得税額を算定し、ほ脱額を認定したことに所論指摘の事実誤認はなく、関係諸法令の適用にも誤りはない。右納税義務者の現実寄附金額が右特定寄附金とみなされることがないとの原判決の判断は、相当として是認することができる。以下所論に即して補足して説明する。
一 所論は、租税特別措置法が政治資金規正法一二条所定の収支報告書による報告を特定寄附金とみなすための要件としていることは、当該寄附が真実なされたかどうかを確認するためであるところ、各納税義務者が各現実寄附金額の寄附をしたことは真実であるから、各政治団体の収支報告書の寄附年月日、寄附名目の各欄に原判示第一、第二記載の各虚偽記入があったとしても、各納税義務者が真実に寄附した金額の限度では収支報告書による報告の要件を満たすものであるし、また、収支報告書に虚偽の記入をして報告したのは被告人であり、各納税義務者には責任がないから、右特定寄附金控除の適用を受けることができる、という。
確かに、関係各証拠によれば、所論指摘の各納税義務者合計延べ一〇九名のうち九三名の者が平成二年から四年にかけて選挙管理委員会の確認印のある当該「寄付金控除のための書類」(その寄附金額、寄附年月日の記載は、原判示第一、第二の各収支報告書の記載と一致する)を受領した前後に、寄附の相手方はとかく、所論指摘の現実寄附金額の寄附(控訴趣意書「別表(あ)」ないし「別表(か)」の氏名、実際の寄附金額のとおり)をした事実を認めることができる。しかし、政治団体に対し寄附をした場合でも、直ちにその寄附金が所得税法上の優遇措置の対象となるものではない。政治資金規正法三二条の二は、「個人が政治活動に関する寄附をした場合において、当該寄附についてこの法律又は公職選挙法の規程による報告がされたときは租税特別措置法(昭和三二年法律第二六号)で定めるところにより、当該個人に対する所得税の課税について特別の措置を講ずる」と定め、当該寄附が租税特別措置法四一条の一六により所得税法七八条二項に規定する特定寄附金とみなされ、課税されるべき総所得金額から控除が認められるためには、政治資金規正法一二条所定(一三条の場合を含む。以下同様)の収支報告書により、その明細が報告されたことを要件としている。そして、政治資金規正法一二条の立法趣旨は、政治団体の会計責任者に対し当該政治団体の年間の収支の状況を記載した報告書を都道府県の選挙管理委員会等に提出すべきことを義務づけ、政治団体の政治活動に伴う政治資金の収支の状況を国民の前に公開し、当該政治団体の政治資金の実情に関する判断の資料を国民に提供することにより、政治資金の面をとおして、その政治活動を国民の不断の監視と批判のもとに置き、政治資金の公明と公正を確保しようとするところにある。この趣旨に則り同法一二条は、収支報告書中の収入について、寄附を受けた政治団体の会計責任者に対し、寄附者の氏名・住所・職業、当該寄附の金額及び年月日について真実に基づいた記載を要求している。報告書に虚偽の記入をすることに対しては罰則(同法二五条)がある。本件についてみるに、各収支報告書は、原判示第一、第二に認定の寄附年月日に寄附名目額の金額を寄附したとする記載内容になっていて、報告書の必要的記載事項中、最も基本的かつ重要な各寄附者の寄附年月日、寄附金額について、各納税義務者の現実の寄附のそれとは全く一致してないことが関係証拠によって明らかである。このような記載内容の収支報告書では、各納税義務者の現実寄附金額が真実であったとしても、その具体的内容が国民の前に明示されているとはいえないから、本件各収支報告書をもって、各現実寄附金額について、同法一二条に基づき提出された適法な報告書と認めることは、前記立法趣旨に鑑み到底許されないと解すべきである。
また、各納税義務者らは、被告人や大谷忠雄から、各現実寄附金額を上回る金額の寄附をしたものとして課税上の優遇措置である寄附金控除が受けられるとの説明を受けてこれを了承し、事実に合致しない金額を寄附金額とする「寄付金控除のための書類」と題する書面を渡されているが、右書類の中に「この寄付金は、政治資金規正法一二条……の規程による報告書により報告されたものです」と記載されているのであって、各納税義務者らは、当然当該報告書の内容は受領した右書類のそれと一致している旨を熟知しながら確定申告のためにこの書類を所轄税務署に提出しているのである。これらのことから、各納税義務者らが右報告書の記載内容につき関知せず責任がないとはいえない。
以上の理由により、各納税義務者につき各現実寄附金額の限度において政治資金規正法所定の収支報告書による報告の要件を満たすものであるとか、各納税義務者は虚偽の報告につき責任がないから、課税上の特定寄附金として寄附金控除が受けられるとの所論は採用の限りではない。
二 さらに、所論は、東海政経研究会、未来中部政経文化研究会、昭和会、大谷忠雄後援会及び大谷忠雄を励ます会の大谷五団体は、いずれも真に大谷忠雄の政治活動を支援するために結成された政治団体で、しかも政治資金規正法に規定する届出も経たものであり、現にそのように活動し、各納税義務者はその活動を支援するために献金をしていたものであるのに、原判決が「事実認定の補足説明」一項2あるいは(量刑の理由)中で、五団体が脱税のための手段として設立された政治団体であり、献金は脱税を目的としていたものであるから、これら政治団体に対する寄附金を租税特別措置法四一条の一六によって所得税法七八条二項に規定する特定寄附金とみなすことはできないと認定判断したのは、事実を誤認し、法令の解釈適用を誤ったものである、という。
しかしながら、原判決の(事実認定の補足説明)一項2における東海政経研究会が脱税のための手段として設立した政治団体である旨の、また、(量刑の理由)中における各団体は政治資金規正法上の寄附金額の制限を免れることを主な目的に設立されたものである旨の認定判断は、大谷五団体が同法所定の政治団体に当たるものであることまで否定した趣旨ではなく、同団体、とくに東海政経研究会設立の経緯及び活動状況をはじめ、各納税義務者らが内容虚偽の「寄付金控除のための書類」の発行を受け、これを利用して所得税確定申告を行い脱税のために利用していた寄附の実体について説示しているものと解されるところ、その実体に関する原判決の認定判断に所論指摘のような事実の誤認はない。そして、各納税義務者らの各現実寄附金額の献金が政治活動に関する寄附と認められるとしても、政治資金規正法一二条の規程により報告されたものと認める余地がないから、結局、これを課税上の優遇措置の対象となる特定寄附金とみなすことができない旨の原判決の判断は、結論として是認することができる。論旨は理由がない。
また、所論は、<1>本件起訴にかかる以前の年度に正当な「寄付金控除のための書類」を受け取っていた者、<2>現実寄附金額がほ脱税額を超えている者がいるのであって、これらの者まで脱税の手段として寄附をしたものとは考えられないと主張する。
関係各証拠を検討すると、確かに、各納税義務者の中には、<1>本件起訴にかる年度以前の平成二年度には寄附をした金額に見合う適正な「寄付金控除のための書類」を受け取っていた者(神山峰司)があり、<2>ほ脱額が現実に出捐した金額より少なかった者(中川信男の平成二年分、渡辺義達の平成二ないし四年分、上野隆の平成三年分、小川一郎の平成三、四年分、森田佳穂の平成二、三年分、神山峰司の平成三、四年分)もある。
しかしながら、右<1>の神山峰司についても、本件起訴にかかる平成三、四年度には、現実寄附金額は各年二〇〇万円であるのに脱税のために各年三団体に合計四〇〇万円寄附した旨の内容の各「寄付金控除のための書類」によって寄附金額を所轄税務署に申告し、右申告に基づき税額の認定を受けており、右<2>の中川信男ほか五名の者も、いずれも各「寄付金控除のための書類」記載の寄附金額より相当少額の金員を出捐した(中川、小川、森田、神山については、現実寄附金額は名目寄附金額の半分、渡辺については、現実寄附金額は一一〇万円ないし九〇万円で名目寄附金額は一五〇万円、上野については現実寄附金額は名目寄附金額の二割)だけであるのに、名目寄附金額をもって寄附金控除を所轄税務署に申告し、右申告に基づき税額の認定を受けたが、総所得から各種の所得控除を経て課税所得額を確定し所得税額を算出していった結果、これら各納税義務者ら、当該年度においていずれも不当に寄附金控除を受けるという脱税の目的をもって各現実寄附金額を上回る虚偽の金額の寄附をしたものとしてその旨の記載のある「寄付金控除のための書類」を利用して、寄附金控除を受け脱税をしたものであることは、他の納税義務者の場合と異なるところはない。
以上のとおりであって、原判決には、各納税義務者の各現実交付金額を、租税特別措置法四一条の一六により所得税法七八条二項に規定する特定寄附金とみなさなかったことに関し、所論指摘の事実の誤認あるいは法令適用の誤りはない。論旨は理由がない。
よって、刑訴法三九六条により本件控訴を棄却することとし、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 土川孝二 裁判官 松村恒 裁判官 柴田秀樹)
平成七年(う)第三五号
○控訴趣意書
政治資金規正法違反、所得税法違反被告事件 被告人 落合進
右被告人に対する頭書被告事件につき、平成六年一一月二一日名古屋地方裁判所が言い渡した判決に対し、被告人から申し出た控訴の理由は、左記の通りである。
平成七年四月二六日
右被告人弁護人 高山光雄
同 増田聖子
名古屋高等裁判所刑事第一部 御中
記
第一 原判決は、その第四及び第五に適示する事実中、別表 あ ないし か 記載の各納税義務者の「課税される所得金額」「所得税額」の事実について、以下の通り誤認(刑訴法三八二条)があり、かつ、租税特別措置法の適用をしなかった誤りがあり、これが判決に影響を及ぼすことは明らかである。以下、詳論する。
一 原判決添付時の別表 あ ないし か 記載の納税義務者は、別紙(あ)ないし(か)記載の通り、各該当年度において、前愛知県議会議員であり、現在衆議院議員である大谷忠雄を推薦し、支持することを目的として設立された政治団体「東海政経研究会」「未来中部政経文化研究会」「昭和会」「大谷忠雄後援会」「大谷忠雄を励ます会」(以下、「大谷五政治団体」と総称する)に対し、右各記載の金員を現実に寄附している。これらは、政治資金規正法に規定する正当な寄附として、平成五年法律第六八号による改正前の租税特別措置法四一条の一六の適用を受け、所得税法七八条一項(二項一号)によって、各人の課税されるべき総所得金額から右各寄附金額(或るいは、各種の所得金額の二五%のいずれか少ない方)から一万円を差し引いた額が控除されるべきであるから、右別表 あ ないし か 記載の各納税義務者の「課税される所得金額」は、右金額を控除していない点で誤認があり、右誤った被課税金額を基準とした所得税額、ほ脱税額もとより誤りである。
二 原判決は、右各納税義務者の寄附の事実については認めながらも、(判決は、特段、寄附の事実は否定していないし、証拠中、各納税義務者及び被告人の寄附の事実に関する記述は一致し、これを覆すに足る証拠はない)これらの寄付は、改正前の租税特別措置法四一条の一六第一項により、所得税法七八条二項に規定する特定寄附金とは、みなされることはないと判断している。
しかしながら、改正前の租税特別措置法四一条の一六が優遇措置の適用要件として定めているのは、以下の三点であり、以下の通り、本件ではこれを充足している。
(一)個人の寄附
個人がする政治資金規正法第四条四項に規定する政治活動に関する寄附であること
(二)寄附の相手方
同法<1>ないし<4>号に掲げる政治団体又は公職の候補者に対する寄附であること
(三)収支報告書への記載
三 まず、別紙(あ)ないし(か)記載の各納税義務者は、すべて大谷五政治団体に対して現実に寄附をしたものであり、大谷五政治団体は、いずれも政治資金規正法に規定する届出のなされた政治団体であるから、右すべての寄附行為は、右の要件(一)(二)を充足していることは、明らかである。
しかるに、原判決が、右優遇措置の適用を否定したのは、つまるところ
<1> 収支報告書に虚偽事実が記載されていること
<2> 「東海政経研究会」は、脱税のための手段として設立した政治団体であり、拾亥志会会員及びその関係者の行った献金は、脱税に利用する水増し領収書をもらうための手段として行われたものであり、即ち脱税という犯罪を目的としていたものであって、献金者もそのことを十分認識していたのであるから、課税上の優遇措置の対象となる「政治活動に関する寄附」とは言えない。
以前の正当に寄附をし、その後水増し領収証の交付を受けて献金を継続した者も、本件起訴にかかる献金時においては、水増し領収証を利用して脱税する意思で献金し、両者が対価的関係にあることを十二分に認識認容の上で献金していたのであるから、脱税の手段として献金したことは、拾亥志会会員らと同様である。の二点である。
四 まず、<1>について反論する。
確かに、収支報告書に原判決第一、第二摘示の虚偽記入があったことは認める。
しかしながら、これらの記述は、すべてが全くの作り話やでっちあげではない。各人が、別紙(あ)ないし(か)記載の内容で当該年度に献金をしたという限度では、真実に合致しているのである。逆に言えば、各寄附月日、寄附金額において、虚記事項が含まれているにすぎないのである。特に、拾亥志会会員については、寄附月日もほとんどがほぼ真実に合致しており、金額が増加しているだけである。
租税特別措置法が収支報告書への記載をその要件として定めているのは、当該寄附が真実なされているかどうかを確認するためである。本件の各寄附については、各寄附者の捜査機関による取調べ、被告人の捜査機関、裁判所による取調べによって、真実なされていることが確認されている。
又、収支報告書に虚偽記入をしたのは、被告人であり、各納税義務者には、責任がない。真実なされた寄附である以上、租税特別措置法の適用を受けてしかるべきである。
五 次に、<2>について反論する。
まず、原判決の事実認定の補足説明二(2)ないし(4)記載の東海政経研究会設立に至る経緯、同(6)記載の活動状況は、事実を誤認するものである。
即ち、「東海政経研究会」は、拾亥志会の会員が専ら同会員を中心として、真に大谷忠雄議員を支援するために設立した政治団体である。被告人は、昭和六一年一一月末頃、日下を訪ねて一〇万円の寄附をすれば、一五〇万円の領収証がもらえると話をしたことはないし、(被告人の平成六年六月八日付記述調書二八丁~三一丁)同年一二月一九日に開かれた拾亥志会忘年会において、「一〇万円を出してくれれば、一五〇万円の領収書を差し上げますから、一〇万円以上税金が少なくなったり、還付を受けたりできます。皆さんも税金が少なくなって得しますし、大谷も資金を得ることができるので、是非協力していただきたい。ただ、税金を少なくするためには政治団体の選管の確認のある領収書を渡しますから、それで確定申告して下さい。ただ、税務署の調査があったときにばれないように、本当に一五〇万円寄附したようにするため、年内に預金から一五〇万円引き出した形をとっておいて下さい。」などと説明した事実もない。(被告人の平成六年五月二日付供述調書三四丁~三八丁、同六月八日付供述調書三四丁~三五丁)そもそもかかる団体を結成することに同意を得られていない段階で、しかも、多くの人が参集する場で、かかる脱税のお願いをしたとするのは常識でも考えられないことである。
東海政経研究会は、設立後、他の四団体と同時に「大谷会」なる名称で、時局講演会、県政報告会、社会見学会などを行っている。原判決が認定するような脱税のための手段として、設立された政治団体ではない。拾亥志会会員は、まず、大谷議員の政治活動を支援するために独自に東海政経研究会を結成し、これに寄附したのであり、その結果として、領収書が水増しされていたものであって、水増し領収書をもらうための手段として寄附したのではない。
これは、拾亥志会会員以外の納税義務者の場合はなおさらである。他の四団体も、すべて、真に大谷議員の政治活動を支援するために結成され、活動していたものであり、献金者は、その活動を支援するために、献金していたのである。とくに、判決も認めている通り、例えば、神山峰司氏のように本件起訴以前には正当に寄附とし、正当な領収書を受けとっていた者もいる。偶々、起訴された年に水増し領収書を受領したため、それを申告に使用したにすぎないのである。前年と同様、本件起訴された年にも、献金は、真に政治活動を支援する目的でなされたものである。かかる場合にまで、なにゆえ、献金の目的が脱税の手段に変わったと認定されてしまうのか論理の飛躍も甚だしい。
又、中川信男氏、渡辺義達氏、上野隆氏、小川一郎氏、森田佳穂氏、神山峰司氏らは、現実の寄付金額がほ脱税額をこえているのである。原判決の認定するように脱税の手段として献金するのであれば、ほ脱税額をこえる額を寄付するはずがない。決して先に脱税目的があったのではない事の表われである。
よって、原判決が、このような誤った事実を前提に、改正前の租税特別措置法の適用をしなかったのは誤りである。
第二 以上の通り、各納税義務者の現実の寄附金額を租税特別措置法四一条の一六の適用により控除をされることによって、減少するほ脱税額は、各人それほど大きいものではない。しかしながら、判決は右適用を排除したのと同様の倫理で大谷五政治団体がいずれも全く実体がなく、政治資金規正法上の寄附金額の制限を免れることを主な目的に設立されたものと断じて被告人の量刑を判断しているから、これが、判決に影響を及ぼすことは明らかである。 以上
別表(あ)
<省略>
別表(い)
<省略>
別表(う)
<省略>
別表(え)
<省略>
別表(お)
<省略>
別表(か)
<省略>