名古屋高等裁判所 平成9年(ネ)692号 判決 1997年10月31日
控訴人(原告) 名城興産株式会社
右代表者代表取締役 A
右訴訟代理人弁護士 片山主水
同 中山敬規
被控訴人(被告) Y
右訴訟代理人弁護士 岡本弘
主文
一 本件控訴を棄却する。
二 控訴費用は控訴人の負担とする。
事実及び理由
一 当事者の求める裁判
1 控訴人
(一) 原判決を取り消す。
(二) 名古屋地方裁判所平成六年(手ワ)第五七号為替手形金請求事件につき同裁判所が平成七年三月一六日に言い渡した手形判決を認可する。
(三) 訴訟費用は、異議申立後の第一審及び第二審とも被控訴人の負担とする。
2 被控訴人
主文同旨
二 当事者の主張
当事者の主張は、原判決の「事実」欄の「第二 当事者の主張」の記載を引用する。
三 証拠関係
証拠関係は、本件記録中の書証目録及び証人等目録の記載を引用する。
四 当裁判所の判断
当裁判所も、控訴人の本訴請求は理由がないものと判断するものであり、その理由は、次のとおり訂正及び付加するほか、原判決の「理由」欄の記載を引用する。
1 原判決五枚目裏七行目の「売却した」を「売却したい」と訂正する。
2 同一〇枚目裏四行目と五行目の間に次を付加する。
「控訴人は、(1)被控訴人が農協職員や公務員であったから、通常人以上の知識を有すること、(2)被控訴人が極度額一億円の連帯保証をし(甲第一六号証の二)、被控訴人所有の土地について極度額一億円の根抵当権を設定した(甲第一七号証の一)のは、本件手形債務を負担したことが原因であること、(3)右甲第一六号証の二及び甲第一七号証の一の各書面に、一億円の金額が記載された後に被控訴人が署名押印していること、(4)被控訴人自身「一筆の土地の売買代金の金額で担保をやると思いました。」と別件で供述しているように担保権の設定を認識していたこと、(5)被控訴人は城から五〇〇万円もの大金を受取っているのであり、被控訴人が引受人として本件手形債務を負担する合理的理由があること、(6)被控訴人自身その本人尋問で認めているように、少なくとも本件売買代金(約一五〇〇万円)の限度で連帯保証をする意思はあったことを主張する。
しかし、被控訴人の勤務内容は、前記認定(引用する原判決の理由二1)のとおりの勤務状況であって、公務員などであったからといって、被控訴人が通常人以上の知識を有すること(右(1))、連帯保証あるいは根抵当権を設定したことが手形行為の原因となったこと(右(2))は本件全証拠によっても認めることはできないし、右(3)ないし(6)の主張によっても、なお前記認定(引用する原判決理由二15、16、三1)を左右することはできない。」
五 よって、本件控訴は理由がないから棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 渋川満 裁判官 遠山和光 河野正実)