名古屋高等裁判所 昭和24年(控)1064号 判決 1949年12月20日
被告人
小室忠
主文
原判決を破棄する。
被告人を罰金一万円に処する。
右罰金を完納しないときは金百円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
理由
依つて按ずるに物価統制令は今尚存続してあり且つ同令に附随する物価告示は其施行せられる時の経済状勢に応じて創定せられたものであつて右情勢の推移に応じ何時でも改廃せられることを予想したものであるから若し所論のように其施行中の違反行爲に就て改廃後の適用を排除するものとせば之等の法規は殆んど之を適用することが出來なくなり従つて其目的を達することも亦不可能に帰すると謂はなければならない。即ち前記物価庁告示は所謂限時法規の性質を有するものであつて斯る法規に対しては刑法第六條を適用すべき限りではないから此点の論旨は理由がない。また原審引用挙示の各証挙に依れば本件の所爲は依託加工を名目とする売買行爲であることが極めて明瞭であるから此点の論旨も亦理由がない。
〔註〕 本件は、結局、量刑不当にて破棄自判。