名古屋高等裁判所 昭和24年(控)1130号 判決 1949年12月05日
被告人
牧野武三
外一名
主文
原判決を破棄する。
以下省略
理由
右控訴趣意第一点について。
記録によれば本件公訴事実は「被告人両名は共謀の上昭和二十四年三月二十五日頃松阪市川井町二丁目九百六番地被告人中川定男方に於て西山健藏から本件物件を盜品と知り乍ら営利の目的を以て不当に高價な合計八万五千円で買受けの契約を爲し同日夜九時頃宇治山田市度会橋附近宮川堤に於てその引渡を受けた」というのであるが原判決では「被告人両名は共謀の上昭和二十四年三月二十五日頃宇治山田市内で西山健藏から右物件を盜品と知り乍ら不当に高價の代金八万五千円で買受けた」と認定したことは所論の通りであるが、犯罪の場所の如きはその構成要件とはならないので原審が審理の結果公訴事実に明示されたところと異つた場所でその犯罪が行われたものとして事実認定をしたからとて、これがため事実の同一性を何等害しないのは勿論訴因の変更を來たすものともなすべきではなく、殊に賍物故買罪の成立には賍物を受領することを要し單に買受を約しただけではいまだ成立しないものと解せられるのである原判決が右の如く事実を認定したからとてそれだけで同判決に所論の如き違法あるものとなすべきではなく、本論旨は採用に値しない。
(註) 本件は、結局理由不備及び擬律の違法により破棄自判