大判例

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名古屋高等裁判所 昭和24年(控)1225号・昭24年(控)1226号・昭24年(控)1227号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

(理由)

(イ)前略原審は被告人山岸己治より同淺香一夫に對する麻藥販賣行爲を犯罪の證明ありと認定しながら之と同一の事實である被告人淺香一夫の該麻藥購入の事實を犯罪の證明なしと認定し、同じく被告人小河市永の昭和二十三年六月中に於ける被告人淺香一夫より麻藥を購入した行爲を犯罪の證明なしとして無罪の宣告をしながら之と同一に歸すべき右淺香一夫の麻藥販賣行爲を犯罪の證明ありとして有罪の判決を下したのは理論上何れか一方に歸結すべき事實に就て一方には犯罪の證明ありとし、一方には犯罪の證明なしと認定したことに歸着し明に理由くいちがいの違法ありと謂はなければならない。

(ロ)原判決書の記載に依れば原審は、被告人小河市永に對し同人の麻藥購入及同使用の各處爲を併合罪として加重處斷してあるが右判決書に於て同人は麻藥中毒者であると判示してある點から看れば同人等の各麻藥購入の處爲は之を使用する目的を以て爲されたもの即ち手段結果の關係に立つ疑ひが濃厚である。然るに原審は此點について何等の取調べを爲さず右購入と使用とを漫然併合罪を認定したのは結局審理不盡に基く理由不備の違法あるに歸著する。

(ハ)原審第三回公判調書及檢察官の訴因の追加及變更書の各記載に依れば被告人小河市永の麻藥使用の點については原審第三回公判に於ける檢察官の訴因追加に依るものであることが明であるが飜つて刑事訴訟法第三百十二條を看るに訴因の追加は犯罪事實の同一性を害しない限度に於て許されるものであるから此點について考察するに麻藥の購入と之が使用とは行爲の性質、態樣全く異なるものであるから手段結果の關係に立つ場合は格別其の他の場合は全く別個の事實であるから訴因の追加に依り被告人に對し處刑を求めることは之を許さないものと解釋せなければならない。然るに原審は右追加を受理したのみならず此點に就て被告人に對し一言の辯解の機會も與へず、且つ檢事から何等の證據の申出も無いのに直ちに結審し且つ被告人に有罪の言渡を爲したのは明に訴訟手續を誤つた違法ありと謂はなければならない。

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