大判例

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名古屋高等裁判所 昭和24年(控)1357号・昭24年(控)1358号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

(要旨)

記録に基き審接するに原判决書の記載によれば原審は本件犯罪事實を認定した證據として原審證人小川義吉竹中淸美林庄一土田利久細田二夫の各證言を引用擧示してあるがひるがえつて原審公判調書を通看するに各證人の中小川義吉竹中淸美、林庄一の三名は第三回即ち被告人林順龍の事件について取調べ、土田利之、細田二夫の兩名は第五回即ち被告人佐藤志げ外三名と右林順龍との各事件を併合審理した際取調べ、第六回公判に至つて初めて被告人と右五名との各事件を併合審理したことが明認せられるばかりでなく、右小川義吉、竹中淸美、林庄一、土田利之、細田二夫の供述調書を被告人張大須に對し夫々書證として刑訴法所定の手續を履踐しなかつたことも又明かである。惟うに併合前における他の被告人の事件は全く別個の事件であるから該事件によつて取調べた證據を引用して併合後における爾余の被告人に對する暴證に供せんとする場合には須らく刑訴法第三二〇條以下の規定に從い夫々所定の手續を履踐しなければならないのであつて無條件に轉用し得るものではないのである。即ち前記證人小川義吉、竹中淸美、林庄一の各供述は被告人林順龍に對しては證言であるが爾余の被告人に對しては供述記載となり、右小川義吉外四名の供述は被告人張大須に對しては全部供述記載の關係に立つものであるから原審は檢察官の請求又は職權を以て右證言の内容を記載した公判調書を刑訴法第三二一條一項一號の書面として提出し、所定の手續を經なければ林順龍以外の各被告人に對する斷罪の資料として採用することができないのである。この事は被告人の反對尋問を根幹とする刑訴法第三二〇條以下の精神に徴し自明の理であつて從つて同法第三二一條二項の規定は被告人に反對尋問の機會が與えられた場合即ち同一事件の場合であると解すべきであるから原審が前記の手續を採らず直に林順龍以外の各被告人に對し前記證人の供述をそのまま引用し、以て罪證に供したのは明に判决に影響を及ぼすべき採證法則の違反あるものといはなければならない。

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