名古屋高等裁判所 昭和24年(控)1559号 判決 1950年1月12日
被告人
今村政一
主文
本件控訴を棄却する。
理由
次に控訴趣意においては、原審公判調書の記載は、虚僞であると主張するが、これは、弁護人の單なる主張だけのことでこれを認むるに足る証拠その他の資料は毫も存在しない。公判調書には、刑事訴訟規則第四十四條に基き、公判期日における審判に関する重要な事項を記載すればよいのであつて、弁護人、被告人又は証人等が述べたことを速記又は録音するように細大洩さず記載することを要しないものである右記載に異議があるときは、刑事訴訟法第五十一條に基いて、異議の申立を爲すべくこれを爲さずに、控訴審において、はじめて何等の資料によることなく、原審公判調書は虚僞又は僞作であると主張することは許されないもので、右主張は、無責任な放言と謂うべく論旨は全く採用することができない。