名古屋高等裁判所 昭和24年(控)509号 判決 1949年9月24日
被告人
大塚勇
主文
原判決を破棄する。
本件を一宮簡易裁所判に差戻す、
理由
前略
論旨第一点について
原判決挙示の各証拠を考覈するのに、その判示第三の事実の認定につきこれが証拠となるものは、被告人の原審公廷における供述と被告人に対する司法警察官作成の供述調書であつて他に何等証拠となるものは存在しない、そして右の各証拠は孰れも被告人の自白をその内容としている、しからばこれらのみによつて判示第三の事実を認定できないことは刑事訴訟法第三百十九條第二項によつて明らかであるといわねばならない。故にこの点において、原判決には刑事訴訟法第三百七十八條第四号の理由を附せず又は理由にくいちがいがある違法が存在するものというべきであつて、到底破棄を免れない、よつて論旨は理由があるから、他の点に対する判断を省略し刑事訴訟法第三百九十七條第四百條本文に則り主文の通り判決する。