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名古屋高等裁判所 昭和24年(控)871号 判決 1949年10月06日

被告人

所義一

主文

本件控訴は之を棄却する。

理由

前略

論旨第二点に就て、

憲法並に民法改正の結果男女同権が認められ妻の地位は夫と同列となつた結果夫と同棲する住居に対する妻の権利も從來の從属的関係では無く互に併行して存在することは之を認め得るが然し夫婦各独立の権利ではなく所謂共有の関係に立つものであるから仮に妻の承諾があつたとしても夫の承諾が無い場合に於ては夫の住居地を侵害することは自明の理である。

記録に基き審按ずるに被告人は石原としゑと姦通の目的を以て同人の夫石原淸一の邸宅に侵入したのであつて斯る行爲は通常人の夫たる者の容認しないところであるから反証なき限り被告人は右石原淸一の許諾なくして其邸宅内に侵入し以て同人の住居権を侵害したものと信ぜざるを得ないから此点に於ける論旨も亦理由がない。

以下省略

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