大判例

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名古屋高等裁判所 昭和25年(う)2057号 判決

原判決によれば原審は一、司法警察員の検証調書中の記載その添附の図面並びに写真二、医師永井進の鑑定書の記載三、証人永井進に対する尋問調書中の供述記載四、司法警察員に対する伊藤あき子の供述調書中の供述記載五、原審第七回公判調書中の証人伊藤あき子の供述記載六、原審第七回公判調書の証人伊藤巳年の供述記載七、原審第十二回公判期日における証人伊藤巳年の供述八、原審第三回公判調書中の証人山下たつの供述記載九、証人山下たつに対する尋問調書中の供述記載十、原審第三回公判調書中の証人水谷つねよの供述記載十一、証人水谷つねよに対する尋問調書中の供述記載十二、原審第九回公判調書中の証人市川ひなの供述記載十三、原審第八回公判調書中の証人奥野光雄の供述記載十四、原審第三回公判調書中の証人田中洋子の供述記載十五、証人田中洋子に対する尋問調書中の供述記載十六、証人白木さゑに対する尋問調書中の供述記載十七、原審第三回公判調書中の証人川島伝市の供述記載十八、検事に対する中山常治の供述調書中の供述記載十九、原審第八回公判調書中の証人前田早苗の供述記載二十、原審第三回公判調書中の証人渡辺昭の供述記載二十一、原審第十三回公判期日における証人多賀義太郎の供述二十二、司法巡査高橋進作成の小崎俊郞強盜殺人自供に対する事実調査の件復命と題する書面の記載二十三、証人小崎みつ子に対する尋問調書中の供述記載二十四、原審第四回公判調書中の証人勝田吉平の供述記載二十五、証人佐野喜平に対する尋問調書中の供述記載及び二十六、司法警察員に対する被告人の第三回供述調書中の供述記載を綜合して被告人が昭和二十四年九月三十日いつもの如く午前五時頃四日市市内近畿日本鉄道株式会社川原町駅から電車で大阪市え赴き朝鮮人某から紙巻たばこを仕入れ同日午後二時十五分頃右川原町駅に下車し仕入れて来た青テープ巻の紙巻煙草千八百本を売却する為め予て取引関係のあつた四日市市新浜町千六百二十二番地伊藤たけ(その当時数え年六十七才)方え立寄つたが不在であつたので同家に右たばこを差し置いた儘一旦同家を立去り同日午後七時過頃右たばこの代金を受取るため再び同家に立寄り帰宅していた同女に右代金を請求したところ同女はたばこを預つておらぬと言い張つたので被告人と同女との間に口論を交えるに到つたが当時被告人方は家計不如意の上所得税滞納のため四日市税務署から住宅を差し押えられ不日公売に附されることになつており兎角焦慮していた折柄のこととて同女の態度にいたく激昂し遂に同女を殺害してその鬱憤を霽さうと決意し同日午後八時頃矢庭に同女の頸部を両手で絞めて人事不省に陥らしめた上更に有り合せの細布紐(証第一号)を以てその頸部を緊縛し因て同女をして急性窒息死に到らしめたとの事実を判示しているのであるが右挙示の証拠によれば該判示事実は優にこれを認めうるところである而して憲法第三十八条第三項に所謂自白が唯一の証拠というのはその自白の外にこれを補強すべき証拠の存しない場合をいうのであり且つ右補強証拠は必ずしもその自白に係る全事実について存することを要せず尚該自白の内容が真実なることを認めうる程度に存すれば足りると解すべきところ司法警察員に対する被告人の第三回供述調書の自白の外原審の右に挙示する一乃至二十五の各証拠は該自白を補強するに足ることが明かであり論旨は右と異なる見解の下に原審の措置を非難するものであつて採用し難い。

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