名古屋高等裁判所 昭和25年(う)2152号 判決
よつて案ずるに、原審では、検察官の冒頭陳述において、被告人に前科があることが明らかにされ、これが証拠として前科調書の取り調べが為されたことは所論の通りであるが、本件は特殊の窃盗で所謂掏摸であるから、被告人に窃盗の前科があることは、犯罪事実認定の情況証拠ともなり、累犯加重の原由その他犯罪の情状ともなるので、犯罪事実に関する直接の証拠調と同時に、右前科に関する調書の証拠調を為すことは、違法でなく、而かも被告人及び原審弁護人は、右証拠調の方法順序につき何等の異議をも申し立てていないから、当審で、これが違法を主張することは正当でない。論旨は、理由がない。