名古屋高等裁判所 昭和25年(う)371号 判決 1950年5月15日
被告人
高木義和
外一名
主文
本件各控訴を棄却する。
当審において被告人等のために国選弁護人に各支給した日当及び報酬は夫々当該被告人の負担とする。
理由
被告人両名の弁護人(国選)滝川正澄の控訴趣意について。
原判決が被告人等の本件犯罪事実の認定につき原審公判における証人八田妻市(被害者)の証言を証拠に採つていることは所論の通りであつて、同公判(第二回)調書によれば同証人尋問において裁判官と同証人との問に論旨摘録の如き問答の行われたことを看取し得べく、右問答中証人の所論供述部分が原判決において右認定の資料に供されたことを認め得るのであるが、該供述部分が、右の如き問答の経過においてなされたことによつて直ちに誘導的方法による任意性のないものと断じ得ないのみならず、同公判調書中同証人の供述記載全部の内容趣旨に照してみれば、右供述部分が所論の如くいわゆる誘導尋問によつてなされたものであり、任意性を欠くものとは到底認めることはできない、故にこの点に関する所論は採るに足らない。