大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

名古屋高等裁判所 昭和25年(う)847号 判決 1950年7月20日

被告人

山田聖会こと

具聖会

主文

本件控訴は之を棄却する。

理由

弁護人高野貞三の控訴趣意について。

依つて記録を調査するに(一)原審第一回公判調書の記載に依れば、原審第一回公判は弁護人の立会が無かつたこと並びに右公判は單に被告人の人定尋問に終つたことは所論の通りと認められる。依つて按ずるに刑事訴訟法第二百八十九条は同法第一条所定の「個人の基本的人権の保障を全する」意味に於て規定せられたものであるから此趣旨に反しない。所謂人定尋問に止まる場合は公判を開廷しても差支がないものと解せなければならない。換言すれば刑事訴訟法第二百八十九条に所謂「審理」とは本案事件を審理する公判を指称するものに外ならないから、原審が弁護人立会なくして被告人の人定尋問を行なつたからと謂つて何等の違法が無い。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例