名古屋高等裁判所 昭和26年(う)203号 判決
所説のように沒収は附加刑でその言渡には主刑の存在を前提としなければならないことは刑法第九条第十九条煙草専売法第五十七条その他の法令における各規定に徴して明らかなところである。而して原判決における記載によれば私製たばこ用巻紙一万四千七百枚の沒収の言渡されていることが明らかであり又一件記録に徴するに、昭和二十三年十二月三十一日附名古屋地方専売局大蔵事務官松本守の作成に係る差押目録に同日名古屋市中川区下之一色町一丁目北の切十番地の被告人(の露店)方で右非売渡巻紙一万四千七百枚の差押えられた旨の記載があるけれども、その所持の点は所説のように本件公訴事実の何処にも謳われていなく従つて又原判決がその事実を犯罪事実として判決することなくよつて之につき主刑の言渡をしていないことが認められるので冒頭説示の理由によつて右たばこ用巻紙一万四千七百枚についてはその沒収を言渡すことができないのにも拘らず原判決が右のように漫然之が沒収の言渡をしたのは所説のように審判の請求を受けない事件について判決をした場合又はその理由にくいちがいのある場合にあたるので原判決は刑事訴訟法第三百九十七条第三百七十八条第三号又は同第四号によつて破棄を免れない。