名古屋高等裁判所 昭和26年(う)421号 判決
よつて案ずるに、被告人には、黙否権又は供述拒否権があるが、任意に供述する場合には、証拠調に入る前であろうとその後であろうと、何時でも供述することができるし、裁判官も被告人に対し質問を発して、供述を求めることができるのである。ただ証拠調前においては、公訴事実の内容の詳細に亘つて、質問することは慎しんだ方が妥当であると謂うに過ぎない。本件において、原審裁判官は、証拠調に入る前に、被告人に質問して、供述を求めているが、供述を強制したことは認め難く、而も、本件の争点を明らかにするため、質問したことが明らかに認められるから、原審の訴訟手続に違法又は不当の点はない。論旨は理由がない。