名古屋高等裁判所 昭和26年(う)85号・昭26年(う)86号 判決
本件麻薬の使用の点に付ての被告人の自白は他の証拠に依り補強されてゐないこと所論の通りであるが本件は被告人が麻薬を使用したこと自体を処罰するのではなく之に関する記録を作成保存しなかつたことを処罰するのであるから麻薬の使用の点は犯罪事実の一部に過ぎない其一部の事実に付自白の補強証拠がなくても他の点に付補強証拠があり且被告人の自白と右補強証拠と相待つて全体として犯罪事実を認定し得る場合には必ずしも被告人の自白の各部分につき一々補強証拠の存することを必要としないと解すべきであり本件に於て被告人の検察官に対する自白と之が補強証拠たる証第二号の存在とに依り判示事実を認定し得ること前記説明の通りであるから原判決には所論のやうな違法はなく論旨は結局何れもその理由がない。
(註 本件は量刑不当により一部破棄自判)