名古屋高等裁判所 昭和26年(う)964号 判決
関税法第八十三条第一項によれば、密輸出を図つた貨物又はその犯罪行為に供した船舶で、犯人の所有又は占有に係るものは、沒収しなければならないことになつていて、被告人平木の関係で、原判決が沒収した汽船第一新興丸が本件密輸出行為に供せられたものであり、押収の第十一号乃至第十七号の貨物が密輸出されようとした貨物であつたことは、一件記録によつて明らかに認められるところである。而してこれ等沒収物件が果して被告人平木の所有又は占有に係るものかどうかについて案ずるに、右物件が被告人平木の所有物であつたことについての証拠はないが、被告人平木は、本件密輸出を計画したもので、輸出しようとした貨物の蒐集、これを積載する汽船第一新興丸の傭船について、他の共犯者と共に積極的に活動して居り、傭船契約者村上清十郞と打合せ、愛媛県八幡浜から同船に乗り込み、沖繩に行く予定をしていたものであつて、本件密輸出行為の共犯者中重要な地位を占めていたものであることが同被告人に対する原判決挙示の証拠によつて、十分に認めることができる。果して然らば、被告人平木も、共犯者船長安川敏雄等と本件汽船第一新興丸及び積載貨物を共同して占有していたものと解すべきであつて、原判決が被告人平木に対しても原判決の通り沒収刑を科したのは相当で、この点について事実誤認又は法令の適用の誤りはなく、論旨は理由がない。