大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

名古屋高等裁判所 昭和27年(う)1344号・昭27年(う)1345号 判決

よつて案ずるに論旨の中には、弁護人は原審で「被告人は犯行時並に現在において心神耗弱の状況にあつたものである」と主張したが、原審はこれに対し、何等の判断を示さなかつたと謂う点があるけれども、原審第一、第二回公判調書(第二回公判調書は判決宣告に関する調書)を見るに原審弁護人は、最終の弁論において「被害品からして、犯行当時の被告人の精神状態が普通でなかつた等種々有利な弁論をなした」との意見を開陳したのみで、他には被告人の精神状態を心神耗弱の状況にあつたものと主張した形跡もなくこれが主張を裏付けるに足る証拠調の請求又は原審が取調べた証拠に対する意見の陳述もしないところから見て、弁護人の前記弁論の趣旨は、被告人が心神耗弱の状況にあつたものとして、刑の減軽を求めたものでなく、被告人の犯罪の情状として健全な精神の持主でなく同情すべき心理状態にあつたものであると論じたものと認めることができるから、原判決において、被告人が心神耗弱者であつたか否かについて判断をしなかつたのは違法ではない。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!